60歳雇用延長で給料ダウンは合法か
給付金のあらまし
60歳定年再雇用制度を採用している会社には、最大で対象の従業員一人当たり月収の15%約37,500円が国から支給されます。
ここでは、59歳で年収900万円(月収75万円、賞与なし)の部長だった従業員が60歳から年収300万円の嘱託(月収25万円、賞与なし)として再雇用されたケースをもとに考えてみます。
この給付金をもらうためにはいくつかの条件があります。
細かく分けるとわかりにくいので、一番単純なケースで説明します。
1.毎月の月収が25%以上ダウンしていること
25万円÷75万円=33%の月収 ⇒ 67%の月収ダウンというもらえる条件を満たしています。
2.本人が毎月もらえる給付金額
毎月の月収の15%
25万円 × 15% = 3万7500円/月
毎月3万7500円が60歳から65歳までの5年間に本人に支給されることになりますから、総額で225万円が本人に支払われることになります。
会社は本人が65歳まで毎月25万円しか支払わなくても、本人は毎月28万5千円貰えることになります。これは本人にとってありがたいことですね。
支給額には上限があります。
年収1200万円の部長が60歳で給料が1/3の年収400万円(33万円/月)になったら、33万円の15%=4万9500円を貰えるかというと、支給額に上限があるためそれはできません。
支給額の上限は年によって増減しますが、おおむね【月収+給付金月額】が34万円/月と考えてください。
なるべく多くの金額を本人に受け取ってほしい場合
すると65歳まで本人に毎月34万円の収入を得てもらおうとすると、会社は毎月本人にこれだけ支払えばいいことになります。
会社⇒本人 295,000円
国(給付金)⇒本人 44,250円 (295,000円×15%)
合計 339,250円
これが国から貰える最大額になります。
給付金の存在を知らなかったら29万5千円しか貰えなかった給料が、国に申請するだけで約34万円貰えることになりますね。
会社の負担をできるだけ少なくして、毎月25万円受け取る
本人には何とか月25万円は貰ってほしいのだが、会社もそこまで余裕がないというときは、このようになります。
会社⇒本人 218,000円
国(給付金)⇒本人 32,700円 (218,000円×15%)
合計 250,700円
従業員の方にはこのように説明できます。
【会社としては、65歳まであなたが毎月25万円受け取れるようにしました。】
でも会社の負担は218,000円です。
この方法を知らない会社は結構多いです。会社が損をすることはありませんのでぜひご利用ください。
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