パワハラ防止について昨今の話題

河野創

河野創

テーマ:法改正 パワハラ

テレビドラマでも頻繁に取り上げられるようになりましたが、政府のほうでも平成30年11月に「パワハラ防止措置の義務化」について「第11回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」。において、今後の取りまとめに向けた方向性が示されました。

誰もがひと目でわかるような、セクハラと異なりパワハラはわかりにくいですね。
被害者本人がパワハラだと訴えても、加害者からは教育指導の一環とされるなど、被害の特定が難しいこともあります。
したがって方向性は示されても、具体的に何がどうなるのかまではなかなかはっきりしませんね。

とりあえず議論のポイントだけは押さえておきましょう。それほど難しい話でもないので対応がとれるようなら今から対応してもいいでしょう。

――パワーハラスメント防止対策等の在り方について(取りまとめに向けた方向性)――

<パワハラ防止対策等の方向性>

■職場のパワーハラスメントの防止対策について

1.職場のパワーハラスメントを防止するため、事業主に対して職場のパワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を講じることを法律で義務付けるべきではないか。

要するに会社にパワハラ窓口を設置しろということです。将来はセクハラ同様、総務部や総務部長が窓口になるのでしょうか。

2.事業主に対して措置を義務付けるに当たっては、男女雇用機会均等法に基づくセクシュアルハラスメント防止の指針の内容を参考としつつ、職場のパワーハラスメントの定義や事業主が講ずべき措置の具体的内容等を示す指針を策定すべきではないか。

冒頭でも述べましたが、パワハラは範囲が広いので、何をもってパワハラとするのか大変難しく、今後どういった議論がされるのか興味深いところです。
とりあえず現段階でできることはありません。

3.男女雇用機会均等法に基づくセクシュアルハラスメント防止対策と同様に、職場のパワーハラスメントに関する紛争解決のための調停制度や、助言や指導等の履行確保のための措置について、併せて法律で規定すべきではないか。

セクハラ同様の法律をパワハラについても作りましょうということです。

■職場のパワーハラスメントの定義

そして、私たちが最も知りたい、防止対策の前提にもなる「職場におけるパワーハラスメントの定義」についても、次のような方向性が示されました。

職場におけるパワーハラスメントの定義については、次の3つの要素を満たすものとしてはどうか。
①優越的な関係に基づく
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
③就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

なんとなくハッキリしない定義です。言い換えれば
①上司が部下に
②仕事上の問題に限って淡々と注意・指導すべきところ、怒鳴ったり、小突いたり、嫌味を言ったり、本人の性格を引き合いに出したりして
③部下に身体的、精神的な苦痛を与えること
を指すのでしょうか。

■今後の方向性

パワハラ防止措置の義務化が決まったかのような報道もありましたが、実際には、セクハラほどハッキリした定義を作るのが難しく、まだ方向性が示された段階で、本格的な議論はこれからといったところです。
労働者側は義務化してほしいと訴えていますが、使用者側は拡大解釈を恐れて慎重なスタンスをとっています。そんな事情ですので今後、双方の意見をどのように取りまとめていくのかがポイントになります。
同分科会では、そのほか、「セクハラ」や「カスハラ(カスタマーハラスメント:顧客や取引先等からの著しい迷惑行為)」についても、今後の取りまとめに向けた方向性が示されました。
この分科会では、パワハラをはじめ、企業実務に大きな影響を及ぼす事項の議論が進められています。

■まとめ
現段階では、コンプラ講習等で、

①上司が部下に
②仕事上の問題に限って淡々と注意・指導すべきところ、怒鳴ったり、小突いたり、嫌味を言ったり、本人の性格を引き合いに出したりして
③部下に身体的、精神的な苦痛を与えること はやめましょうと周知するくらいが適当でしょう。

会社にパワハラがおきていいことはありませんので、何かあったら総務部までご相談くださいと、相談窓口をつくっておくのもいいでしょう。

■パワハラの定義より大事なこと
パワハラが起きるのは職場の雰囲気が悪いこと、もっといえば職場のコミュニケーション不足に問題があります。
 職場のコミュニケーションが円滑であれば、そもそもパワハラは起きません。
 職場のコミュニケーションを良くする方法はいくつかありますが、なかなか経営者や総務担当者ががんばるだけでは改善できないのが実情です。
 こうしたときは、第3者が入ることで、劇的に職場のコミュニケーションが改善することもあります。
 売り込むわけではありませんが、職場のコミュニケーション不足にお困りの場合も、ぜひ人事、労務の専門家である私たちにご相談ください。必ず納得いただける解決策を提案できると確信しています。

➤ご質問はこちらの問い合わせページから

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河野創
専門家

河野創(社会保険労務士)

青山人事労務

前職で、人事評価制度の見直しにとり組んだ経験で、中小企業の働き方改革に強みを発揮する。また、自身の海外駐在経験から、日本の労務管理では対応できない海外駐在員の人事労務のノウハウを持つ。

河野創プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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