日本独特の流通経路とは...
エコセメントとは、
私たちの生活ごみを清掃工場で焼却した際に発生する
焼却灰や汚泥等の各種廃棄物を主原料とした新しいセメントのことで、
2002年(平成14年)7月に、日本工業規格(JIS)に定められました。
その都市ごみ焼却灰には、セメント製造に必要な成分が全て含まれていて、
普通セメントの原料の「石灰石・粘土・けい石」の代替として、
「都市ごみ焼却灰・汚泥等」を原料として使用します。
都市ごみ焼却灰を有効活用することによって、
廃棄物を再資源化してごみ処理負荷を軽減することができ、
江東区など湾岸のゴミ埋め立てをめぐって争われた「ゴミ戦争」は、
このエコセメントの登場で解決したんですね。
しかし、良いことばかりではありません
このエコセメントプラントは多大な建設費用(約270億円)及び
維持費用(毎年約30億円)がかかるところに加え、
日本国内には千葉と奥多摩の2ヵ所しかないため、
1プラント当たりのコストが高くなってしまいます。
(ちなみに、エコセメントプラントは世界でもこの2ヵ所しかない)
さらに、複雑な工程を経て生産されるため、
きわめて高コストなエコセメント1トンあたりの市場価格は、
一般セメント1万円に対して、エコセメント5万円 との大差で、
到底市場で受け入れられるわけもなく
その差4万円を補助金という形の税負担として、
ようやく市場で販売できるというしくみです。
いくら「エコだ」「ごみ戦争解消」といっても
多大な建設費と維持費をプラント近隣市町村で負担して
さらに1トン当たり4万円も税負担して、ようやく販売できるというのでは、
今後いつまで持続可能か疑問があります。
エコセメントの登場によって、
国土の狭い日本都市部におけるゴミ問題が、
表面上劇的な進展を遂げたかのように思えますが、
方や年間9万トン程度の生産能力があるプラントが、
まだその生産能力には余剰があり、
方や東京都心地域では東京湾を埋め立ててゴミを処分し、
悪臭や埋立地の限界など喫緊の課題が山積している現状がある。
23区西部のゴミを、能力に余裕のあるエコセメントプラントで引き受ければ、
近隣市町村の負担金を軽減することも可能になるじゃないかとか考えられるが、
はたしてそれが正しい方向なのだろうか?
東北大震災・福島原発問題と
2011年はエコに対する考え方を根本的に見つめ直す時期に来ているんじゃないでしょうか。