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井上昇哉

子どもたちの思考力を高め、未来の選択肢を広げるプロ

井上昇哉(いのうえしょうや) / 塾講師

学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす

コラム

『共通テストでの“失敗”にどう対処すべきか』

2023年1月10日

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

こんにちは。与一の井上です。

年も明け、いよいよ共通テストの本番が今週末に迫ってきました。
今までの努力が実を結び、皆さんが思い通りの点数が取れることを心より祈っております。

ですが残念ながら、受験生全員が理想的な点数が取れることはあり得ません。
寧ろそうした生徒の方が少ないという厳しい現実があります。
そこで今回は“共通テストで満足な点数が取れなかった場合、本人は・周りはどう対処するべきか”についてお伝えしたいと思います。
「せっかく本番前に気合が入っているのに、ネガティブなことを言うな」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが防災しかり、保険しかり、不幸な出来事は先になすべき行動を考えておくことによって、より適切な行動を取れることは間違いありません。
一度そうした気持ちを飲み込んで、今日の話に目を通してもらえれば嬉しいです。

生徒は?「とにかく切り替える」

共通テストで“失敗”してしまった場合、一番ショックを受けるのは生徒本人である。これは間違いありません。
今までの努力が報われなかった悔しさ、自分の力を疑ってしまう無力感、将来への不安、周りに対する怒り、あらゆる負の感情に苛まれるでしょう。
ですが無理を承知で敢えて言います。ひとしきり悔しがった後はすぐに気持ちを切り替えて下さい。
共通テストで失敗してしまったからこそ、次に向けていち早く動き出さないといけません。
次の2点に向けて、行動を開始しましょう。

①合格判定を確認するために、志望校の選択肢を増やす
まずは冷静に自分の点数と向き合いましょう。
その上で傾斜配点を掛けた自分の点数でいける大学を探し、二次試験の受験科目を確認し、出願大学の選択肢を可能な限り考えなければなりません。
大学ごとの合格判定を知るために、恐らく全ての高校で、共通テスト翌日の月曜日に学校で自分の点数を記入し、複数の予備校に送ることになります。
その際に選べる学部・学科は、予備校にもよりますが多くて国公立私立を合わせて8つ、少なくて4つ程度です。
あとから「あの大学の合格判定も知りたかった」とならないよう、月曜日までに選択肢を用意しておく必要があるのです。

②できる勉強をすぐにでも開始する
もう一度言います。失敗してしまったからこそ、早く動き出さないといけません。
共通テストの終わったその瞬間から、二次へ向けての対策期間は始まっています。
志望校を変えずに二次での逆転を狙う、志望校を落としてでも国公立合格を目指す。
いずれにしても思った通りの点数が取れた場合と較べれば、困難な状況であることは間違いないでしょう。
だからこそ無理にでも気持ちを切り替え、先に述べたように二次試験の受験科目を確認した上で、もうすぐにでも勉強を始めるべきです。
出願する大学が決まらないと勉強が始められないと思っていますか?そんなことはありません。
必要な科目にもよりますが、英単語や長文、理系科目の問題を解き始めることはどの大学に出願するにしても必要な勉強です。

近年ではネットで自分の点数を入力することで、どの大学ならどの位置に自分がいるのかを見られるサービスを各予備校が提供しています。ですがサービス開始までにはしばらく時間があります。それまでに自分の方向性を決めるためにも、いち早く動き出しておくべきです。
ライバルに先んじるためにも、いつまでもひきずっていても仕方ありません。
無理にでも気持ちを切り替え、次の一歩を早く踏み出しましょう。

難しければこんな時こそ周りに頼りましょう。
今まで受験勉強を一人でよく頑張ってきました。でも周りの助けをもらうことは決して恥ずかしいことではありません。
自分が困っていることを恥ずかしがらずに伝え、保護者の方、学校の先生、塾の先生などに助けを求めましょう。
他人の意見はあなたに客観的な視点を与え、きっと冷静さを取り戻す助けとなります。
最後はみんなで、一緒に受験でのゴールを目指しましょう。

保護者は?「本人よりも絶対に冷静でいる」

自分の子どもが頑張っている姿を見てきた保護者の方は、その努力が実を結ばなかった姿を見れば、本人同様ショックを受けるでしょう。
心配・不安・困惑・悲しみ・悔しさ…様々な感情でいっぱいになるでしょう。
ですが決して感情的になってはいけません。いえ、感情的に子どもに接してはいけません。
「どうしてもっと頑張らなかったの」「こんな点数でどこに行くの」「もう自分で考えなさい」
こうした言葉を自分の感情に任せて子どもにぶつけること、これは絶対にあってはなりません。

子ども達は大小あれ、また成否の差はあれ、テスト本番まで頑張ってきました。これは間違いありません。
だから今度は保護者の番です。内心の様々な不安を押し隠し、努めて冷静に、子どもの失敗を受け止めてあげましょう。
子どもが進路の相談をしてくる。これは自分の不安を受け止めて欲しいと親に頼っているのです。
そんな時に先のような言葉を掛けられれば子どもはどう思うでしょう。
「もう受験なんてやめる」「どこでも行ければいいわ」こんな風に投げやりになってしまっても仕方ありません。
そうならないよう、子どもの話をきちんと聞きましょう。

「そんなことを言われても、冷静に対処できる自信がない」そう思われる方もおいでるでしょう。
そんな方のために、今日このタイミングでコラムを書いているのです。
無用な不安を避ける為、本人は交えない方がいいと思いますが、今日にでもご夫婦で、またはご家族で、またはお一人ででも、“子どもが失敗した場合”のことを考えましょう。
これはネガティブな話し合いではありません。頑張った我が子がそれでも失敗した場合、次善の策を用意するためのポジティブな話し合いです。
志望校を下げることを認めるのか、私立を受けさせるのか、浪人をさせるのか(最近ではかなりこの選択肢は減っているようですが、個人的には“アリ”だと思っています)ありとあらゆる可能性について話し合っておきましょう。
事前に失敗に対して最善だと思われる対策を用意できていれば、きっと子どもの失敗にも冷静に対処できるでしょう。
また学校によっては共通テスト後に3者面談を行う場合もあります。
この場合にもただ先生の提案に従うだけでなく、家庭での話し合いをふまえた“対等な”話し合いをすることができるでしょう。

ただ一つ注意して欲しいことがあります。
できるだけ保護者の方から子どもに「こうしたらどうだ」を言うのは抑えておいて欲しいのです。
共通テストでの失敗を受け、思考停止に陥りがちな子供たちは、何か選択肢を与えられればそれを特に精査しないまま受け入れてしまいがちです。
まずは自分からではなく、子どもが苦しい状況でも自分で選択肢を見つけるのを待ち、それに対してあくまで“アドバイス”をするに止めておいて欲しいと思います。
こういうときだからこそ、共に苦しい中ではありますが、成長の機会だと思い子どもが答えを見つけるのを是非待ってあげて下さい。

[“失敗”こそが、成長へのチャンスである

学校や塾の先生はどうするでしょうか。
これに対しては私から何かを言うまでもないでしょう。
今までの経験に基づいた、最適な行動を取ってくれるに違いありません。

私はどうするか。実は毎年“生徒の失敗について言及する”ようにしています。
今までの話と矛盾するように思われますか?いえ、これは単に立場の違いによるものです。
ここまで生徒の頑張りを褒める論調で話をしてきましたが、大事なことが一つあります。
それは「成功も失敗も自分のおかげ/せいである」ということです。
受験に向けての勉強の中で成長をしてきたとは言え、まだまだ彼らは子どもです。
何かに成功すれば「自分が頑張ったから」、失敗すれば「親/学校/塾が悪いから」こう考える子は少なくありません。
ですが身も蓋もない言い方をすれば、失敗は「結局努力が足りなかったから」こう言えます。
いくら頑張って勉強をしてきた子でも、失敗してしまう子をよく見れば、夏休みさぼった・コツコツ努力をしなかった・苦手教科の克服を怠った・客観的な視野で勉強できなかった、など必ずどこかに失敗があります。
私はあえてこのタイミングでこれらに対して毎年指摘を行います。
何故か?それは結局一緒です。“気持ちを切り替えさせるため”です。

失敗に対し他者のせいにする子は、その気持ちを引きずりことあるごとにそれを持ち出します。
気持ちを切り替えて二次に向けての勉強をしていたはずなのに、「学校/塾が悪かったせいでこんなことをしないといけない」と言う。
または大学に入ってからも「別の学校/塾に行っていれば、もっといい大学に行っていたのに」と言う。
そうしない為にも、失敗の責任は自分自身にあることを自覚させなければならないのです。
失敗が自分のせいだとなれば、いつまでも責めていても仕方ありません。もう切り替えて次に進むしかありません。
失敗の原因を自覚し、同じことを繰り返さないよう気を付けて勉強し、第二希望の大学に受かる。
失敗の原因を自覚し、人間的に成長し大学、またはその後に大きく飛躍する。
そのために自分の失敗を自覚することが重要なのです。

第二志望の大学に合格した報告をしてくれる子、または志望大学でなくても在学中・卒業後に遊びに来てくれる子。
こうした子達が晴れやかな顔を見せてくれること、その後大きく飛躍してくれることは実は少なくないのです。

ですがこうした指摘は、保護者の方には難しいでしょう。どうしても自分の子どもゆえ、その指摘は客観的ではなく感情的になってしまうからです。
ずっと子どもの勉強を見てきた私達だからこそ、また“他人”であるからこそ客観的に指摘できるのです。

大学受験は人生における重要な岐路です。 ですが逆に言えば所詮通過点でしかありません。
重要な岐路における失敗は確かに痛手でしょう。本人にとっても、周りの人間にとっても。 ですがここはゴールではありません。長い目で見ればここでの失敗は、後の人生に向けての成長のこの上ないチャンスです。


「受験の失敗は、決して人生の失敗ではない」これを忘れず、失敗に負けず一人一人が最善の行動をし、後の成功に繋げていきましょう。

この記事を書いたプロ

井上昇哉

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井上昇哉(学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす)

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