【本の紹介】子どもに手をかけすぎていませんか?『戦略的ほったらかし教育』から考える自立する力

原田恭兵

原田恭兵

テーマ:書籍紹介

「宿題は終わった?」

「明日の準備はした?」

「次はこれをやった方がいいんじゃない?」

子どものためを思って、
毎日のように声をかけている
保護者の方は多いと思います。

忘れ物をしないように。

勉強で困らないように。

失敗しないように。

子どもが少しでも困らずに
成長してほしいと思うのは、
自然なことです。

しかし、
ここで一つ考えてみたいことがあります。

子どものために大人がしていることは、
本当にすべて子どものためになっているのでしょうか。

今回紹介するのは、
岩田かおりさんの著書
『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』
です。

この本では、
子どもの自主性や学ぶ力を育てるために、
親の手出し・口出し・先回りを
どのように見直すかが取り上げられています。

「ほったらかし」という言葉だけを見ると、
子どもを放っておくような
印象を受けるかもしれません。

しかし、
本書が提案しているのは、
単に子どもへの関わりを
減らすことではありません。

子どもが自分から学び、
行動するために、
大人がどのような環境を作るのか。

今回は、
この本をきっかけに、
家庭での子どもとの関わり方について
考えてみたいと思います。

子どものためにしていることが、考える機会を減らしていないか

例えば、
子どもが宿題を
始めようとしているとき。

「まず漢字からやりなさい」

「次は算数をしよう」

「難しい問題は後回しにしたら?」

と、大人が順番を決めてしまうことがあります。

確かに、
その方が
効率よく終わるかもしれません。

子どもも迷わず取り組めるでしょう。

しかし、
それが毎日続いたらどうでしょうか。

子どもは宿題をすることには慣れても、
何から始めるかを
自分で考える機会は少なくなります。

勉強で大切なのは、
問題を解くことだけではありません。

どの教科から始めるか。

どのくらい時間がかかりそうか。

難しい問題に出会ったらどうするか。

予定通りに進まなかったら、
どう調整するか。

こうした判断も、
学習を進めるうえで必要な力です。

ところが、
大人が先にすべてを決めてしまえば、
子どもは判断する必要がなくなります。

大人が答えを用意するほど、
子どもが自分で答えを考える場面は
減ってしまうことがあります。

もちろん、
小学校に入ったばかりの子どもに、
いきなりすべてを任せるのは難しいでしょう。

最初は一緒に決める必要があります。

ただ、
いつまでも大人が決め続けるのではなく、
少しずつ子ども自身に任せる部分を増やしていく。

それが、
自分で学習を進められるようになるための
第一歩ではないでしょうか。

「ほったらかし」と「放任」は何が違うのでしょうか

『戦略的ほったらかし教育』というタイトルを見て、
最も気になるのはここだと思います。

「子どもに任せる」と
「何もしない」は
同じなのでしょうか。

私は、
この二つは違うと
考えています。

例えば、
小学1年生の子どもに、

「今日から宿題は全部自分でやりなさい」

と言って、
大人が一切関わらなくなったとします。

宿題の内容が分からない。

何から始めればいいか分からない。

困っていても、
どう質問すればいいか分からない。

そんな状態であれば、
子どもは自分で考えるどころか、
何もできずに終わってしまうかもしれません。

これは、
自立を促すこととは違います。

一方で、
子どもが自分で取り組めるように、
宿題をする場所を整えたり、
必要なものを用意したりする。

困っているときには相談に乗る。

でも、
できるところまで
大人が代わりにやってしまわない。

このような関わり方なら、
子どもは安心して自分で挑戦できます。

子どもに任せるということは、
大人が責任を手放すことではなく、
子どもが自分でできる部分を
少しずつ増やしていくことだと思います。

そのためには、
大人が子どもの様子を
よく見ている必要があります。

今は一人でできそうなのか。

少し手伝えばできるのか。

まだ大人の支えが必要なのか。

子どもの成長に合わせて、
関わり方を変えていくことが
大切です。

子どもに「自分で考えなさい」と言うだけでは、自主性は育たない

子どもに自分で考えてほしいと思ったとき、

「自分で考えなさい」

と言いたくなることがあります。

しかし、
それだけで子どもが
考えられるようになるとは限りません。

これまで何でも大人が決めていた子に、
突然、

「今日から全部自分で決めていいよ」

と言っても、
何を基準に決めればよいのか
分からないことがあります。

大切なのは、
子どもが自分で決められる場面を、
日常生活の中に少しずつ作っていくことです。

例えば、宿題を始めるとき。

「漢字と算数、どちらから始めたい?」

と聞いてみる。

慣れてきたら、

「今日はどんな順番で進める?」

と聞いてみる。

さらに慣れてきたら、

「今日の勉強の予定を自分で考えてみようか」

と任せてみる。

最初は二つの選択肢から
選ぶだけでも構いません。

その経験を重ねることで、
少しずつ自分で決められることが
増えていきます。

そして、
ここでもう一つ大切なのが、
子どもの決めたことを
大人がすぐに否定しないことです。

大人から見ると、
もっと効率のよい方法が
あるかもしれません。

しかし、
子どもが考えて決めた方法であれば、
まずはやってみることにも意味があります。

予定通りに進まなかったら、
次はどうすればいいか考えればいい。

自主性を育てるためには、
子どもに選ばせるだけでなく、
子どもが選んだことを
大人が尊重する姿勢も必要です。

もちろん、
安全に関わることや、
守るべき約束まで
自由に決めさせる必要は
ありません。

大人が責任を持つ部分と、
子どもに任せる部分を
分けることが大切だと思います。

子どもが自分から学びたくなる環境を作る

子どもの興味や関心を育むための
仕掛けづくりや、
日常生活の中から学ぶことなどが
紹介されています。

この視点は、
未来舎が大切にしている考え方とも
つながります。

子どもに、

「もっと勉強しなさい」

「いろいろなことに興味を持ちなさい」

と言ったからといって、
すぐに興味が生まれるわけでは
ありません。

しかし、
実際に見たり、
触れたり、
体験したりすることで、
今まで知らなかったことに
興味を持つことはあります。

例えば、実験をしてみたら、

「どうしてこうなるの?」

と疑問が生まれる。

工作をしてみたら、

「もっと難しいものを作りたい」

と思う。

初めての体験を通して、

「これ、面白い!」

と感じる。

そんな小さなきっかけから、
自分で調べたり、
考えたりすることに
つながるかもしれません。

大人がすべてを教え込まなくても、
子どもが自分から学び始めることはあります。

ただし、
何かを体験させれば
必ず興味を持つわけではありません。

大人が面白いと思ったものでも、
子どもは興味を示さないことがあります。

それでもいいと思います。

大切なのは、
子どもが自分の興味を見つけられるように、
さまざまなものに出会う機会を用意することです。

「学びなさい」と言い続けるだけでなく、
子どもが「もっと知りたい」と思える環境を作ることも、
大人の大切な役割です。

未来舎の学童で
さまざまなイベントやカリキュラムを
考えているのも、
こうした理由からです。

子どもたちが多くの経験をする中で、
自分の好きなことや
興味のあることを
見つけてほしいと考えています。

「任せること」は、大人にとっても簡単ではない

ここまで
子どもに任せることの大切さを
書いてきましたが、
実際には大人にとっても
難しいことだと思います。

子どもが時間をかけて考えていると、

「こうした方が早いのに」

と思うことがあります。

なかなか答えが出ないと、

「もう教えてしまおうか」

と思うこともあります。

特に忙しい毎日の中では、
子どもが自分で考えるのを待つより、
大人がやってしまった方が
早いことも多いでしょう。

しかし、
子どもが自分でできるようになるためには、
時間がかかることもあります。

例えば、明日の学校の準備。

親がすべて確認すれば、
忘れ物は少なくなるかもしれません。

でも、
子ども自身が準備をするなら、
最初は時間がかかるでしょう。

何かを忘れることもあるかもしれません。

そんなときに、
毎回大人が代わりに
準備してしまうのか。

それとも、
一緒に確認する方法を考え、
少しずつ任せていくのか。

この違いは大きいと思います。

もちろん、
忘れ物によって子どもが大きく困る場合や、
安全に関わる場合には、
大人が支える必要があります。

失敗を何でも
経験させればいいわけではありません。

ただ、
子どもが自分でやり直せる範囲のことまで、
すべて大人が先回りする必要はないのではないでしょうか。

子どもが自分でできるようになるまで待つことも、
大人に求められる大切な関わり方の一つです。

そして、
うまくできなかったときには
責めるのではなく、

「次はどうしたらいいかな?」

と一緒に考える。

その繰り返しが、
少しずつ子どもの自信に
つながっていくのだと思います。

未来舎が大切にしている「自分で考え、自分で進める」学び方

未来舎では、
子どもたちが自分で考えて
学習を進めることを大切にしています。

例えば、
勉強の進め方についても、
大人がすべてを決めるのではなく、
子ども自身が考える機会を作っています。

どの教科から始めるのか。

どのくらいのペースで進めるのか。

どこを重点的に勉強するのか。

もちろん、
最初からすべてを
自分で決められる子ばかりでは
ありません。

必要なときには、
講師が一緒に考えます。

ただ、
いつまでも大人の指示がなければ
勉強できない状態には
したくありません。

なぜなら、
子どもたちは将来、
誰かに言われなくても
自分で学ばなければならない場面に
出会うからです。

分からないことを自分で調べる。

うまくいかなければ方法を変える。

必要なときには人に相談する。

そうした力は、
テストの点数だけでは測れない
大切な力だと思っています。

また、
未来舎の学童「NEXT佐古」でも、
宿題や学習のサポートに加え、
さまざまなイベントや体験活動を通して、
子どもたちが自分で考え、
行動する機会を大切にしています。

大人が何でも決めるのではなく、
子ども自身が選び、挑戦し、考える。

そして、
必要なときには大人が支える。

未来舎が目指しているのは、
言われたことを上手にこなす子どもではなく、
自分で考え、自分から行動できる子どもです。

「ほったらかし」という言葉には、
少し驚くかもしれません。

しかし、
子どもを信じて任せることと、
何もせず放っておくことは違います。

何を大人が支え、
何を子ども自身に任せるのか。

そのバランスを考えることが、
子どもの自立につながっていくのでは
ないでしょうか。

今回紹介した
『戦略的ほったらかし教育』は、
そんな親子の関わり方を見直すきっかけになる
一冊だと思います。

【今回紹介した本】

『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』

著者:岩田かおり

出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

発売日:2025年5月23日

子どもの自主性や学ぶ力を育てるために、親の手出し・口出し・先回りを見直し、子どもが自分から学べる環境づくりを考える教育書です。

『戦略的ほったらかし教育』を見る

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原田恭兵
専門家

原田恭兵(塾講師)

学童塾 (株)未来舎

子ども達一人一人をよく見ること、いいところがあったらすぐ褒めること、コミュニケーションをしっかり取ることを重視しています。だからこそ、それぞれの伸ばすべき個性を生かし、人間力と学力を育みます。

原田恭兵プロは四国放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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