【小学生】「忘れ物が多い」はだらしないから?忘れたときこそ身につけたい「自分で考える力」

原田恭兵

原田恭兵

テーマ:教育

「また忘れたの?」

「昨日、ちゃんと準備しなさいって言ったよね?」

「何回言ったら分かるの?」

子どもの忘れ物が続くと、
ついこんな言葉をかけたくなることが
あります。

教科書を忘れる。

宿題を持っていくのを忘れる。

水筒を忘れる。

学校から持って帰るはずのものを忘れる。

保護者からすると、

「前の日に準備すればいいだけなのに」

と思うかもしれません。

そして何度言っても同じことを繰り返していると、

「だらしない」

「注意力がない」

「自分のことなのに何も考えていない」

と感じてしまうこともあるでしょう。

もちろん、
忘れ物をしないように
準備することは大切です。

でも私は、
子どもの忘れ物を考えるとき、
「どうすれば忘れないか」
だけでは少し足りないと思っています。

どれだけ気をつけていても、
人は忘れることがあります。

大人だって忘れます。

だから
子どもたちに身につけてほしいのは、
「忘れないために工夫する力」と、
忘れてしまったときに「じゃあ、どうする?」と
考える力の両方です。

今回は、
子どもの忘れ物を通して
「自分で考えて行動する力」について
考えてみたいと思います。

「忘れ物が多い=だらしない」とは限らない

同じものを何度も忘れていると、

「本人が気をつけていないから」

と思ってしまいます。

でも、
本当にそれだけでしょうか。

小学生の場合、
翌日の時間割を確認して、
必要な教科書を考えて、
宿題を確認して、
提出物を入れて、
体操服などの持ち物も準備する。

大人にとっては簡単に見えても、
実際にはいくつものことを
順番に確認する必要があります。

さらに、

「明日は図工があるから絵の具が必要」

「先生から今日渡されたプリントも出さないといけない」

「いつもの持ち物に加えて水筒もいる」

など、その日だけの予定が
加わることもあります。

忘れ物の多い子に、

「ちゃんと準備して」

と言うだけでは、
実は何をどうすればいいのか
分かっていないこともあります。

また、
準備を始めても
途中で別のことに気を取られ、
そのまま忘れてしまうこともあるでしょう。

だから最初から、

「この子はだらしない」

と決めつけるのではなく、

「どこで忘れているんだろう?」

と考えてみる。

時間割を確認していないのか。

確認はしているけれど、
ランドセルに入れていないのか。

学校から持ち帰ること自体を忘れているのか。

準備の途中でほかのことを始めてしまうのか。

原因が違えば、必要な方法も変わります。

忘れ物という「結果」を叱るだけではなく、
忘れるまでの過程を見る。

まずはそこから始めてもいいのではないでしょうか。

「忘れないようにしなさい」ではなく、忘れても気づける仕組みをつくる

忘れ物をした子に、

「次から気をつけなさい」

と言うことがあります。

でも、
「気をつける」というのは
意外と難しいものです。

次の日には、
また別のことを考えています。

そこで大切になるのが、
記憶だけに頼らないことです。

たとえば、
翌日の時間割を見る。

持ち物を一つずつ確認する。

準備ができたものにはチェックをつける。

学校から帰ったら、
まずプリントを決めた場所に出す。

特別な持ち物は目につくところに置いておく。

こうした仕組みをつくることです。

大人も同じではないでしょうか。

大切な予定はカレンダーに入れる。

忘れそうなことはメモする。

買い物に行くなら
買い物リストをつくる。

仕事では予定表や
チェックリストを使う。

私たち大人も、
すべてを頭の中だけで覚えて
生活しているわけではありません。

それなのに子どもには、

「自分のことなんだから覚えておきなさい」

と求めてしまうことがあります。

忘れない人になることより、
忘れないための方法を自分で使える人になる。

その方が、これから先も役立つ力になると思います。

親が全部確認すれば、忘れ物は減る。でも、それがゴールではない

子どもの忘れ物をなくす
一番簡単な方法があります。

親が毎日確認することです。

「国語入れた?」

「算数は?」

「宿題入ってる?」

「明日は体育あるよ」

「水筒忘れてるよ」

ここまで確認すれば、
忘れ物はかなり減るかもしれません。

小学校低学年のうちは、
大人が一緒に確認することも必要でしょう。

ただ、
それをずっと続けていると
どうなるでしょうか。

子どもは、
「お母さん(お父さん)が言ってくれるから大丈夫」
と思うようになるかもしれません。

すると、
忘れ物は減っていても、
実際には
親が忘れ物を防いでいるだけ
という状態になります。

だから私は、

親がやる
→ 一緒にやる
→ 子どもがやって親が確認する
→ 子どもに任せる

と、少しずつ役割を
変えていくことが大切だと
思っています。

最初は、
「明日は何時間割?」
と一緒に見る。

次は、
「明日の準備できた?」
だけ聞く。

さらに慣れてきたら、
何も言わず本人に任せてみる。

もちろん、
そこで忘れることもあるでしょう。

でも、
その失敗も含めて
自分で準備できるようになっていく。

目の前の忘れ物をゼロにすることより、
「自分で準備できるようになること」をゴールにする。

そう考えると、
大人の関わり方も
少し変わってくるのではないでしょうか。

忘れてしまったときに「届けてもらう」以外の方法を考える

そして、
今回一番考えたいのがここです。

どれだけ準備しても、
忘れることはあります。

そんなとき、どうするか。

たとえば学校で定規が必要なのに、
家に忘れてしまったとします。

子どもからすると困ります。

でも、そこで終わりではありません。

先生に相談できないか。

学校で借りられるものはないか。

友達に貸してもらえないか。

今日は別の方法でできないか。

いくつか方法を考えられるかもしれません。

ところが、
忘れ物をするたびに
親が学校まで届けてくれたら
どうでしょう。

子どもは困らずに済みます。

授業にも支障が出ません。

目の前の問題としては解決しています。

でもその一方で、
「困った。じゃあ、どうしよう?」と
自分で考える機会を一つ失っているとも
考えられます。

もちろん、
何でも「届けない方がいい」という話では
ありません。

忘れたものによっては、
その日どうしても必要なものもあります。

子どもの年齢や
状況によっても違います。

大切なのは、
親が届けるか届けないかという
二択ではなく、
子ども自身が
「どうしたらいいと思う?」と
考える時間を持つことです。

忘れ物をした。

困った。

でも、
誰かがすぐ解決してくれるのを
待つのではなく、
「今、自分にできることは何だろう?」
と考えてみる。

私は、
この経験も
子どもの成長にとって
大切だと思っています。

忘れ物は「失敗」で終わらせず、次の方法を考える材料にする

忘れ物をした日の夜に、

「だから昨日言ったでしょ」

と叱って終わってしまえば、
その日の出来事は「怒られた経験」になります。

でも、
少し聞き方を変えることもできます。

「今日はどうしたの?」

「先生に言ったらどうなった?」

「次はどうしたら忘れないと思う?」

と聞いてみる。

すると、
「前の日にランドセルに入れておく」

「玄関に置いておく」

「時間割に書いておく」

「チェックする紙を作る」

など、子どもなりの方法が
出てくるかもしれません。

大人がすぐに、

「じゃあ玄関に置きなさい」

と正解を与えるのではなく、
まず本人に考えてもらう。

そして、
考えた方法を実際に試してみる。

それでもまた忘れたら、
「この方法ではうまくいかなかったね。
次はどうする?」
ともう一度考える。

忘れたことそのものより、
「忘れたあとに何を考えたか」を大切にする。


これは勉強にもよく似ています。

問題を間違えた。

予定通り勉強できなかった。

考えていた方法では解けなかった。

そんなとき、

「失敗したから終わり」

ではなく、

「じゃあ、別の方法はないかな?」

と考える。

忘れ物は、
そうした問題解決の練習にもなるのでは
ないでしょうか。

「忘れ物をしない子」より、困ったときに次の手を考えられる子へ

私たち大人は、
できれば子どもに失敗してほしくありません。

忘れ物もしてほしくない。

困ってほしくない。

学校で恥ずかしい思いもしてほしくない。

だから、つい先回りしてしまいます。

でも、
子どもがこれから成長していく中で、
すべての困りごとを
大人が先に取り除くことはできません。

勉強でも、友人関係でも、仕事でも、

「思っていた通りにいかなかった」

という場面には必ず出会います。

そのとき必要になるのは、

「誰か何とかして」

と待つことではなく、

「じゃあ、自分に何ができるだろう?」

と考える力ではないでしょうか。

だから、
忘れ物についても、
忘れ物をしないこと
だけをゴールにしなくてもいいと思います。

忘れないように自分で工夫する。

それでも忘れてしまったら、
今できることを考える。

家に帰ったら、
次に忘れない方法を考える。

そして、
自分で考えた方法を試してみる。

「忘れないために考える力」と
「忘れてしまったあとに考える力」。

どちらも身につけてほしい力です。

未来舎でも、
子どもが困っているときに、
大人がすぐに答えを出すのではなく、

「どうしたらいいと思う?」

と一度考えてもらうことを大切にしています。

すぐに正解できなくてもいい。

最初に考えた方法がうまくいかなくてもいい。

そのときに、

「じゃあ、次はどうしよう?」

ともう一度考えられる。

忘れ物をしない子にすること以上に、
忘れ物をしても自分で次の手を
考えられる子に育ってほしい。

忘れ物も、
見方を変えれば、
子どもが自分で考える力を身につける
一つの機会になるのではないでしょうか。

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原田恭兵
専門家

原田恭兵(塾講師)

学童塾 (株)未来舎

子ども達一人一人をよく見ること、いいところがあったらすぐ褒めること、コミュニケーションをしっかり取ることを重視しています。だからこそ、それぞれの伸ばすべき個性を生かし、人間力と学力を育みます。

原田恭兵プロは四国放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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