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薮崎秀實

不動産や相続の悩みに応える認知症対策と家族信託のプロ

薮崎秀實(やぶさきひでみ) / 宅地建物取引士

株式会社 あいしん不動産

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コラム

相続税節税に生前贈与を検討するなら3年内加算ルールに要注意

2019年11月1日

テーマ:生前贈与

コラムカテゴリ:住宅・建物

2015年に施行された相続税及び贈与税の税制改正で、遺産にかかる基礎控除額が減額されました。この改正により、それまでは相続税は無縁と思っていた人にとっても、考えざるをえない状況となっています。
そこで今回は相続税負担を少しでも軽減するための方法として注目されている生前贈与について、その概要と注意すべき点についてご紹介します。

節税対策としての生前贈与が注目される背景

あまり考えたくはないことではありますが、親が高齢になってきたら検討しなくてはいけないことの一つとして遺産相続があります。

2015年に施行された相続税及び贈与税の税制改正により、相続税課税の対象となる被相続人はそれまでに比べ大幅に増えています。

国税庁が毎年公開している「相続税の申告状況について(2017年分)」を見ると、税制改正前の2014年に課税対象となった被相続人の割合は4.4%ですが、2017年には8.3%と約1.9倍に増えています。

遺産相続といえば、親の遺産を譲り受けることができるため、頭を悩ませる必要はないと思うかもしれません。しかし現在では遺産を相続することで、かえって自分の資産を減らすことにもなりかねないケースも増えています。

これを回避する方法として注目を集めているのが生前贈与です。言葉自体を知っている人は多いと思いますが、具体的にどういったものかはご存じでしょうか?

生前贈与とは、親が亡くなってしまう前に財産の贈与を行うものですが、相続に比べ被相続人の意思を強く反映できることや、相続税と贈与税では税制や税率が異なることから、将来的に相続税を支払う相続人の負担を軽減する効果があります。

もともと、相続税の節税対策として利用されることの多かった生前贈与ですが、なぜ今新たに注目を浴びるようになったのか。それは2015年に施行された相続税及び贈与税の税制改正が大きく影響しています。

この税制改正では、相続税の基礎控除額が5,000万円から3,000万円に、そして法定相続人比例控除も1,000万円×法定相続人の数から、600万円×法定相続人の数に引き下げられています。

これだけでも「相続ではなく生前贈与に」と思われるかもしれませんが、それだけではなく、「特別贈与財産」が新たに設けられたことも生前贈与が注目される要因です。

この特別贈与財産とは、20歳以上の成人が直系尊属から贈与を受ける場合、金額が410万円以上であれば一般贈与に比べ税率が優遇されるものです。特に基礎控除額を超える遺産総額があるケースでは、相続税よりも贈与税のほうが税負担が軽くなることで、これまで以上に生前贈与が相続税の節税対策として利用されるようになっているのです。

生前贈与を検討するうえで気をつけたい3年加算ルール

相続税の節税に大きな効果を発揮する生前贈与ですが、デメリットがないわけではありません。

例えば生前贈与でも現金ではなく土地や不動産を贈与する場合、登録免許税や不動産取得税がかかってしまいます。またもう一つ、気をつけなければいけないのが3年加算ルールです。

3年加算ルールとは、相続税の節税を目的に親が余命宣告を受けてから急に生前贈与を行うといったことを防ぐためのものです。

具体的には、相続権を持つ直系卑属に対して生前贈与を行ってから3年以内に、被相続人である本人が亡くなって相続が発生した場合、生前贈与を行った額がそのまま相続財産に加算され、相続税の課税対象になるというルールです。

例えば6,000万円の財産を持っている親が相続権を持つ子に毎年、贈与税が非課税になる100万円を5年間にわたって贈与していたとします。その親が亡くなった場合、その時点での財産が5,500万円でこれを子がすべて相続するとして、相続税は5,500万円に対してではなく、贈与を行っていた3年前からの額300万円を足した5,800万円から、基礎控除額を差し引いたものに対して課税されます。

ただし毎年の贈与額が贈与税課税額を超えて贈与されていた場合、その時点で支払っていた贈与税は差し引いてうえで相続税の計算をします。

税負担軽減を考えるのであれば早めの決断を

人生、何が起きるかわかりません。

病気ではないとしても、事故により亡くなってしまう可能性もゼロではありません。そういった意味で、生前贈与によって相続税対策を行いたい場合、できるだけ早い決断をすることがもっとも重要だといえます。

ただ3年加算ルールを回避する方法は、できるだけ早めに贈与を開始する以外にも方法があります。例えば相続権のある子ではなく、孫に贈与を行えば3年加算ルールは適用されません。さらに孫であれば被相続人の直系卑属になるため、特別贈与財産の税率が適用され、より節税効果があります。

もう一つの方法は、贈与を行う相手を増やすことです。贈与税が非課税になるのは、合計金額ではありません。つまり1人に対し、300万円を贈与すれば贈与税がかかりますが、3人に100万円ずつ贈与すれば非課税となり、贈与税はかからないのです。もちろんそれぞれの方法にも条件はありますので、専門家に相談のうえ、早い決断をすることが節税のポイントといえるでしょう。

この記事を書いたプロ

薮崎秀實

不動産や相続の悩みに応える認知症対策と家族信託のプロ

薮崎秀實(株式会社 あいしん不動産)

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