“1~2歳のこだわる”時期に、とことん付き合ってあげないとどうなるか
「落ち着きがない」と心配する前に。乳幼児期の子どもの“動き”
小さなお子さまを育てていると、
「どうしてこんなに座っていられないのだろう」
「なぜこんなに落ち着きがないのだろう」
と、不安になることがあるかもしれません。
実際、保護者さまからもそのようなお声をいただくことがあります。
じっとしていない。
あちこち動き回る。
気になるものがあると、すぐに触りに行く。
一つのことにとどまらず、次々に興味が移っていく。
そのような姿を見ると、大人はつい
「落ち着きがない」
「集中力がないのでは」
と捉えてしまいがちです。
けれども、乳幼児期の子どもの姿は、表面的な行動だけで判断してはいけません。
発達の視点から見れば、それは単なる“困った行動”ではなく、その時期に必要な育ちの一場面であることが少なくないのです。
乳幼児は、身体を使って世界を学んでいる
乳幼児期の子どもは、まず身体を通して世界を知っていきます。
見て、触って、持って、動かして、落として、また別のものへ向かう。
一見すると落ち着きがないように見えるこうした行動は、子どもにとってはすべて「学び」です。
つまり、子どもは無意味に動き回っているのではありません。
自分の周囲にあるものを、全身を使って確かめ、経験値を積み上げているのです。
私は1歳8か月頃までを「わらべわざ期」と捉えます。
この時期は、周囲のあらゆるものに興味を持ち、見て、触って、試しながら、自分の中に世界を取り込んでいく大切な時期です。
発達の観点から見ても、この時期の子どもは感覚と運動を通して環境を理解し、自分なりの世界を築いていく段階にあります。
ですから、ウロウロと動き回ること、何でも触れて確かめようとすることは、未熟さの表れではなく、健やかな発達のプロセスとして捉えることができます。
「じっとしていない」ことを、すぐに問題にしない
保護者の方が不安になるのは、当然のことです。
周囲のお子さまと比べてしまったり、
「もう少し落ち着いてほしい」
「きちんと座ってほしい」
と思ったりするのは、ごく自然な感情でしょう。
しかし、大人の側が求める“望ましい姿”を急いで子どもに当てはめようとすると、本来その時期に十分に経験しておくべき探究の機会を狭めてしまうことがあります。
子どもは、必要な時期に必要なだけ動き、試し、確かめることで、少しずつ心も身体も満たされていきます。
その積み重ねがあるからこそ、やがて落ち着きや集中へとつながっていくのです。
つまり、大切なのは「早く落ち着かせること」ではなく、落ち着けるようになるために必要な過程をしっかり通ることなのです。
子どもの“今の姿”には、必ず意味がある
子どもの発達を見るときに大切なのは、
「何ができていないか」
に目を向けすぎることではなく、
“この子は今、何を育てている時期なのか”
を理解しようとすることです。
今よく動くのは、好奇心が育っているからかもしれません。
何でも触りたがるのは、自分で確かめたい気持ちが育っているからかもしれません。
落ち着きがないように見えるのは、それだけ内側に学びのエネルギーが満ちているからかもしれません。
子どもの姿には、必ず意味があります。
その意味を知ることで、
「困った行動」
と思っていたものが、
「育ちの途中にある大切な姿」
として見えてくることがあります。
子どもの行動を発達の流れの中で理解できるようになると、保護者の見方は変わり、関わり方にも自然とゆとりが生まれてきます。
保護者の心が軽くなることも、子育てにはとても大切
以前、ある保護者さまが
「なんでこんなに座っていられず、落ち着きがないのかなと心配になったこともあります」
と率直なお気持ちを話してくださいました。
その際、私は
「それでいいのですよ。それが今、大切なことなのです」
とお伝えしました。
すると、お母さまはとてもほっとされたご様子でした。
子育てにおいて大切なのは、子どもの発達を理解することだけではありません。
保護者の不安が和らぎ、安心してわが子を見つめられることもまた、非常に大切です。
お母さまの心が軽くなり余裕が生まれると
子どもを見る目が必ず変わります。
子どもを見る目が変わると、言葉かけが変わります。
そして、
その積み重ねが、子どもの安心感や自己肯定感を育てていくのです。
子どもを、目の前の姿だけで判断しない
乳幼児期の子どもは、常に発達の途中にあります。
今見えている姿だけを切り取って評価するのではなく、その子の育ちを流れの中で見てあげることが大切です。
「落ち着きがない」のではなく、
「今は探究の時期」
そう捉えられるだけで、親子の時間はずいぶん穏やかなものになります。
大人の目には遠回りに見えることも、子どもにとっては必要な育ちの道筋であることが少なくありません。
必要な時期に必要なことを経験しながら
子どもは少しずつ育っていきます。
どうか、今のお子さまの姿を、すぐに否定しないであげてください。
その行動の奥にある意味を知り、
「この子はいま、育っている途中なのだ」
という余裕のまなざしで見守っていただけたらと思います。
それはきっと、お子さまにとっても、お母さまにとっても、安心につながる子育ての第一歩になるはずです。



