犬と人間は3万年も一緒に暮らしてきました
【春の兆し】
3月に入るとなんだか急に暖かくなった気がしますね。
気持ちもウキウキしてきます。
東洋医学的には春は「発陳」と呼ばれ、土の下から目が出て少しずつ育っていく、そんな季節です。
道ばたの野草が少しずつ芽吹き、小さな花をつけ始める時期。
昔は暖かい日に野草を摘んで食べたりお茶にしたりしたんでしょうね。
硬く冷たかった土の下から少しずつ顔を出す緑の芽は、健気で可愛らしくて、それを見るだけでエネルギーを分けて貰えそうな気がします。
【高齢者の下痢は要注意】
さて、いきなりワタクシ事なんですが、先日90歳の父が入院しました。
11月に交通事故で骨折してから奇跡的な回復を見せ、リハビリ病院では「スーパーじーちゃん」と呼ばれるほどだったんですが、家に帰ってきてから急に寒くなったせいかお腹の調子が悪くなってしまいました。
下痢がなかなか止まらず、そのうち血圧も下がってきたので慌てて病院に連れて行ったところ、
「下痢からの脱水で血圧低下と脈拍亢進が起きている。ほっておくと心停止もありうる」
と言われて即入院になってしまいました。
本人はいたって元気で、腸炎と脱水による症状が改善されれば退院できると言われていたのですが、3日後に病院から電話があり、
「胆石のせいで胆嚢が腫れて炎症を起こしている。すぐに穿刺します。」
と言われました。
とりあえず膿は出してもらいましたが、
「しばらく様子を見て胆嚢の腫れが改善されないようなら手術で胆石を取るしかありません。」とのこと。
【高齢者の手術】
ここで病院の先生は
「90歳という年齢を考えると手術はリスクもあります。でも、今はまだ体力もあり、持病もなく、内臓にも異常はないので、私の親なら手術を選択します」
と言われました。
高齢者の手術、人間でもペットでも悩みますよね。
人間なら70歳を過ぎたら、
犬猫なら12歳を過ぎたら。
状況によっては手術のデメリットがメリットを上回ることもあります。
うちの父のように胆石を取るだけなら今後を考えると思い切ってやっていただこうかと思うんですが、これが癌ならもう手術はやめておこうと思うでしょうね。
犬猫も同じで、子宮蓄膿症のようにできるだけ早く処置をしないと
「今、命に関わる」という状況であれば年齢どうこうと言ってられないと思います。
一方、関節疾患や腫瘍など、手術がただちに命に直結しなければ、年齢との相談になります。
そして、その場合は手術以外の治療について、何をどこまでやるのかという問題になります。
上の写真は、末期の肺癌でほとんど起きられなくなった頃の我が家の犬ですが、それでも食欲もあり、本犬は頑張ろうとしていましたので、私自身もできるだけのことをしようと薬をいろいろ飲ませていました。
【シニアへの治療】
高齢のペットに対する治療方針は動物病院によって様々です。
年齢関係なく検査を頻繁に行うところ、手術も積極的にするところ、年齢を考えてできるだけストレスをかけないよう検査を最小限にするところなど。
でも、どんな薬を使うにしても現状を把握した上で処方しなければなりませんので、ある程度定期的な検査は不可欠です。
そして、抗癌剤のような強い薬になると効果と副作用を天秤にかけなければなりませんし、心臓や腎臓の薬、抗てんかん薬など常用している薬は効かなくなってきたときにより強い薬に変えるかどうかも問題です。
かかりつけの動物病院が親身に相談に乗ってくれるところならいいのですが、説明が不十分だったり「年だから」の一言で片付けられてしまうと飼い主としては悩みますね。
【飼い主にできること】
シニアでも若い子でも、ペットと暮らすためには飼い主も学ぶ必要があります。
たとえば、
・様子を見てもいい下痢とそうじゃない下痢の区別。
・脈拍や呼吸の変化とその意味。
・ペットにとって快適な環境作り。
・ペットが飲んでいる薬の名前と効能。
・定期的な健康診断やワクチン接種の意義。
・ペットの体調に合わせたフード選び。
・家庭で継続的にできるケアの仕方、運動のさせ方など。
信頼して相談できる動物病院を選ぶことも大切ですね。
ペットの介護や看護に「正解」はないと思います。
それぞれの家庭で、それぞれの関係性で何をどこまでやるのかは変わります。
「こうしよう」と決断してもその通りにいかないこともあります。
一つだけ確実に言えることは、結果がどうであれ飼い主さんが真剣にペットの症状と向き合って考えた結果決めた決断は、ペットもきっとわかってくれるということです。
と言いながら、私もまだ昨年亡くなった犬猫について後悔ばかりしています。
もう少し早く薬を変えていたら・・・
あの薬を選んだのは正解だったんだろうか・・・
後悔しても命は元に戻りませんから、次の子にこの経験を生かしていくしかないんですけどね。
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