噛む犬は犬の触り方を教えてくれる先生かもしれない

山路美晴

山路美晴

テーマ:人と犬猫

引き続きしつけのお話です


前回、
「飼い主さんの手でペットの体に触れるように」というお話をしました。

私は一人で往診に行って鍼治療をするので、飼い主さんに保定をお願いします。
が、時々それができない方がおられます。

触るのを極端に嫌がったり怖がったりする子は犬でも猫でもいますね。

原因はいろいろありますが、体罰を受けただけではなく急に抱き上げられただけでも怖い思いをする子もいますし、爪切りやブラッシングがものすごく痛くて嫌になった子もいると思います。

また、動物病院はペットが最も嫌う場所と言えるかもしれません。
「病院に行くのが嫌なのでキャリーに入りません」はあるあるですよね。

とりあえず、飼い主さんの手を好きになってもらう方法はいくつかあります。

触られたり撫でられたりするのが嫌いという子でも、気持ちがいいのは好きなんですよね。
だから、ゆっくり優しく気持ちが良くなるような撫で方をするのがまずは第一歩かと思います。

マッサージをひとつ覚えるといろんなことに応用がきくのでいいですね。


ローラー鍼で手を好きになってもらおう


さらに、ローラー鍼も使ってみてほしいんです。
今までいろんな犬猫にローラー鍼でコロコロしましたが、使い方さえ正しければみんなうっとり気持ちよくなってくれます。

そして、自分から「コロコロして〜」と体を擦り寄せてきたらしめたものです。

こちらは、最初はローラー鍼を怖がっていた子猫さんの動画です。
少しずつ、優しくコロコロすることでだんだん気持ちがいいのがわかってきました。




そこから人の手も好きになってもらい、徐々に触れる範囲を広げていきます。

足の先を握ったり、耳の根本から先まで触ったり、口の周りを少しずつ触ったり。

普段痛いことをされるので反射的に引っ込めたり唸ったりすることもあるかもしれません。

少しずつ触っては褒め、気持ちのいいところを撫で、ご褒美にオヤツをあげる。
無理をせず、遊びながら、少しずつ。



動物病院に慣れる


動物病院でこういうトレーニングに協力的なところもありますから、もし先生が許してくれるなら何もせずに行くだけ、診察室に入って先生や看護師さんからオヤツをもらうだけ、というのをしてもらえるといいですね。

最近では猫に優しい動物病院というのも増えています。
待合室から猫にストレスをかけない配慮がされているそうです。

それに加えて、これからは動物病院でのハズバンダリートレーニングも当たり前になっていくのではないでしょうか。


愛犬・愛猫がストレスなく誰にでも触ってもらえて、どこにでも行けるのが理想です。
それができれば災害が起きても迷子になってもきっと生き延びることができますね!



噛まれたことのないトリマーさんの話


アメリカに、日本人の凄腕トリマーさんがおられます。
その方はよそで断られるような噛み犬を全部引き受けて、
「今まで一度も噛まれたことがない」と言われます。


動画を拝見したことがありますが、ご本人はいつもすごく楽しそうにトリミングをされていて、噛んだり唸ったりする子でも嫌がらないように上手に慣らしながら切っていきます。

それだけではなく、触りかたや切る順番など、その子が嫌がらないように繊細な配慮をされています。

「噛まれたことがない」のは、
「噛む必要がない触り方をしている」
からなのかなと思いました。

ちょっとしたことなんでしょうが、犬猫にとってはその「ちょっとした配慮」が大きなことなんですね。


(この投稿は2021年3月のメルマガ記事です。メルマガスタンドの移行に伴い加筆修正してこちらに投稿しました。)

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山路美晴
専門家

山路美晴(獣医師)

滋賀ペット治療院

鍼灸・整体など東洋医学に基づく診療で、動物本来が持つ“自分で治ろうとする力”を引き出す。ローラー鍼などの「刺さない鍼」やお灸を用いて、家庭でペットのケアを行う講座を各地で開催している。

山路美晴プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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