【中国語文法&ドリル】兼語文について(その2)
――文:劉 鳳雯 日本語校正:根本 陽子
これまでは「的」、「地」について述べましたが、今回は「得」の使い方について見ていきましょう。 因みに、助詞「的」、「地」、「得」の使い方は中国語検定4級レベル、HSK3級レベルで扱う文法です。
「得」は、「说得很好(話すのが上手)」、「看得完(読み終えられる)」のように、動詞と補語の間に置きます。補語には前者の「很好」のような程度補語と、後者の「完」のような可能補語がありますので、それぞれの場合の使い方についていくつか例文を見て理解しましょう。
1.程度補語の場合
❀動作が達した状態や物事の性質を補足説明する補語を程度補語と言います。動詞と補語の間に「得」を入れます。
a.说得很流利。―― 流暢に話します。
b.写得很漂亮。―― きれいに書きます。
c.画得很好。―― 上手に描きます。
d.穿得很整齐。―― きちんと着ています。
e.滑得很好。―― 上手に滑ります。
❀否定する場合、「得」と程度補語の間に「不」を入れます。動詞の前に入れるのではないことに気を付けましょう。
A.说得不流利。―― 話すのが流暢ではありません。
B.写得不漂亮。―― 書くのがきれいではありません。
C.画得不好。―― 描くのが上手ではありません。
D.穿得不整齐。―― きちんと着ていません。
E.滑得不好。―― 滑るのが上手ではありません。
❀目的語がある場合は下記のように動詞を繰り返して、2番目の動詞の後ろに「得」と補語を加えます。
①他说汉语说得很流利。
―― 彼は中国語を流暢に話します。
②良子写汉字写得很漂亮。
―― 良子は漢字をきれいに書きます。
③我画画儿画得不好。
―― 私は絵を描くのが上手ではありません。
④今天孩子们穿衣服都穿得很整齐。
―― 今日は子どもたちが服をきちんと着ています。
⑤王老师滑冰滑得很好。
―― 王先生はスケートを滑るのが上手です。
❀目的語は、下記のように主語や動詞の前に置くこともできます。
Ⅰ.汉语他说得很流利。
――彼は中国語を上手に話します。
Ⅱ. 小英画儿画得很好。
―― 英ちゃんの絵は上手です。
Ⅲ. 大卫的毛笔字写得很漂亮。
―― デイビッドの毛筆の字は上手です。
Ⅳ.孩子们衣服穿得很整齐。
―― 子どもたちは服をきちんと着ています。
Ⅴ.滑冰他儿子滑得很好。
―― 彼の息子はスケートが上手です。
❀程度補語には、上記の他に「好得很(とても良い)」、「热得要命(ものすごく暑い)」、「远极了(果てしなく遠い)」、「冷多了(…より)ずっと寒い」のような使い方もありますが、補語については後にまとめて説明しますので、ここでは省略します。
2.可能補語の場合
可能補語は、動作が実現可能なことを意味します。動詞と結果補語、または動詞と方向補語の間に「得」を入れます。
❀結果補語の場合
a.做得完 ―― やり終えられます。
b.找得到 ―― 見つけられます。
c.看得见 ―― 見えます。
d.解释得清楚 ―― はっきり説明できます。
e.到得了 ―― 到着できます。
❀方向補語の場合
A.上得去 ―― 上がっていけます。
B.下得来 ―― 降りてこられます。
C.跑得过去 ―― 走っていけます。
D.开得过来 ―― (車や自転車が)走ってこられます。
E.爬得下去 ―― 這って降りていけます。
❀いろいろな例文を見て理解しましょう。
①这个问题很难,你用英语解释得清楚吗?
―― この問題は難しいですが、あなたは英語ではっきり説明できますか。
②门很大,这辆车开得过去。
―― 門が広いので、この車は通れます。
③我们从山顶看得见东京晴空搭。
―― その山の頂上から東京スカイツリーを見ることができます。
④这座山不太高,我上得去。
―― この山はあまり高くないので、私は登れます。
⑤我们早点儿走,十点前到得了机场。
―― 早めに出かければ、私達は10時前に空港に着けます。
❀( )に適切な助詞を入れて練習しましょう。
A.今天是教师节,王老师穿( )很整齐。
―― 今日は「教師の日」なので、王先生は身なりをきちんとしています。
B.这座山很高,孩子们爬( )上去吗?
―― この山高いけど、子どもたちは登れるかな。
C.那个公园很大,你找( )到玛丽吗?
―― あの公園は大きいよ。君、マリを見つけられる?
D.这个星期天你去( )了公司吗?
―― 今週日曜日、君は会社へ行けるかな。
E.这么点儿工作,我一个人完成( )了。
―― これくらいの仕事なら、私一人で片付けられます。
F.这条路很窄,你开车开( )过去吗?
―― この道とても狭いけど、君、車で通れますか?
【終】