ミスする原因は? 日常生活や職場でミスを減らす対処法。聞き違い、勘違い、思い込みしない会話力

大澤秀行

大澤秀行


どんなに優秀な人でも普段はやらないようなミスをしてしまったり、些細なミスから自分でも驚くようなミス、うっかりミスなど、色んな場面でミスを起こしてしまいます。「あんなに確認したのにどうして?」「私はダメだな」とか、自分でも理解できず落ち込み、自己嫌悪に陥ることもあるのではないでしょうか。あまりにミスが続いてしまうと、「ミスしないように」とずっと考えている為に、緊張して本来の自分ではなくなり、ミスするという悪循環になります。

仕事上であれ日常生活であれ、ミスは見間違いや聞き違い、勘違いなど、これらのほとんどは会話の中で生じます。相手が存在します。見間違いの場合は文字などですが、それは対話の相手が人間か文字などかの違いだけです。したがって、ミスの大きな原因は会話の相互間の認識違いにあると考えられます。

会話は「きく」と「語る・喋る」という相互性があり、その相互間の中で、予見や了解、思い込みにより判断するため正確に伝わらず、そのまま受け取れずミスに繋がります。
それは早く読み取ろう、早く理解しようとする理解への焦りと、もしくは知っているという無知への恐怖から予見を持ち判断して何か加えたり逆に減らしたりしてしまう。そして了解して思い込みます。

ミスを減らすためには、この認識の齟齬を減らすこと。すなわち無知への恐怖と理解への焦りを持たず、安易な了解と思い込みをしないことです。この三つを排除することが重要です。そのためには、唯ありのままを写し取る必要があります。それは会話をすることにより習得できます。コミュニケーションをとり会話をすることが、ミスを減らす対処法になります。


1.ミスしないためには、相手の言っていることを「そのまま聞く」




会話で必要なことはまず「聞く」ことです。「聞く」ためには自分の考え(今までの経験値により判断する主観的自分だけの言語の辞書)を黙らせなければなりません。黙らせるとは、無意識を黙らせること。黙らせることができれば、相手の言っていることはそのまま聞くことができます。写し取れます。

◇「語る」と「聞く」立場の切り換え、強者から弱者へ

基本的に人の第一優先は「喋る・語る」こと、聞くことは受け身のため、どうしても二番目になります。だから聞くことは苦手なのです。
聞くことは受け身だから弱く、語る方は能動性だから強い、という意識になります。
話を聞くときは、能動→受け身へ、要するに強者→弱者に切り換えなければなりません。あらゆる場面、仕事や日常生活の中で切り換えることを要請されます。

この弱者への切り換えに抵抗が生じて、強者で居たいという無意識が、切り換えることに抵抗を生じさせます。
そのため無意識が作動し、聞きたいように聞き、見たいように見て、自分に都合よく聞き取ってしまう。これを思い込みと言います。その結果ミスが生じることになります。それは聞く立場、弱者へ切り換えられず抵抗して、思い込むためです。

◇切り換えができない理由「伝えたい!」

本来、この「聞く」と「語る」の切り換えは、母子間で行われますが、入れ換わらなかった。何故なら母が受け取らなかったからです。
子供の言うことをそのまま受け取らず、あーしろこーしろと母は指示・命令します。教育やしつけという名の下で。

受け取って貰えなかった。その積もり積もった伝えたいという思いが強過ぎて、伝えたい事が無意識の中に充満しています。母に聞いてもらえなかった子供時代に、心の時は止まったまま、「伝えたい」で止まっているから「聞く」ことができない。「伝えたい」を最優先するから強者から切り換えられない。ずっと弱者で母の言うことを聞いていたから、弱者へ下りるのは抵抗が生じるのです。

この「伝えたいこと」が聞きたいように聞くとなり、「伝いたいこと」が見たいように見るとなります。伝えたいが優先するから、仕事の指示も正しく受け取れず、無意識の「伝えたい」が表出してミスをします。
子供に言われたことも、自分の「伝えたいこと」が優先するから自分の無意識の葬られた伝えたいことが脳裏によぎり、教育・しつけという名を借りて自分を語ります。

このようなメカニズムになり、それが反復します。気づかない限り無限ループとなります。
ミスした言語、内容こそ、自分の無意識が隠れているのです。それを知れば終わりが来ます。時が動き出します。受け容れない母はどうしようもありません。心の母を切り捨てるしかありません。「20才過ぎれば自己責任」と己を律すること、子供時代の甘えとは離別しましょう。

◇そのまま写し取る

ただ写し取る
写し取る作業に写経があります。意味を考えながらするのではなく意味が解らないから写すだけ、確実にすべきことは写し取ること。写経は理解への焦りもないし、判断も加工もできないので唯写し取るのみ。写し取ることは学習の基本です。

書類や文字数字、そういったものはしっかりと見て、そしてよく聞くこと。ここに絶対に判断を持ち込まないことです。「写し取る」だけをする。

しかし、一般的には予見を持ってしまいます。自分の意味を持ち込んで、素早く理解しようとし誤ってしまいます。そのまま聞くとは、そのまま写し取ること。しっかりとこれを心に留め、会話や何かを読むときは前もって判断しない、捏造しないこと。現実を見て理解の焦りを無くして、知っている自分を削除することが、ありのまま写し取ることの基本です。

音読する
写し取ったら、次は音読します。このときに脳の記憶データーベースに写し取ります。音読するとは頭に刻むこと、これを登録と言います。
頭に刻み込むイメージを持ち、そのまま頭に写経していきます。
例えば場所、鴻巣駅とします。鴻巣駅を頭に写し取り頭に書き込みます。元々の語彙で鴻巣駅は登録されています。するとこの写し取った鴻巣駅と、登録されている鴻巣駅を照らし合わせて一致させます。一致すればこれは確かな現実になり、脳のデーターベースに書き込まれた文字です。これが一般的な認識の写し取るです。

2.ミスの原因:情報量の差異による思い込み



思い込んでミスしてしまう原因に情報量の差、差異もあります。
情報量とは知識も含めてボキャブラリー、語彙数の差異。決してこれはイコールではありません。
その極端な例は外国人と話す場合、外国語の語彙の単語数しか理解できない、全くあれと同じことが日本語同士でも起きています。日本人同士で話しているという錯覚は持たないこと、外国人と話していると考えると聞き方も話し方も変わってきます。
日本人と話していると思っているから誤解が生じます。全く別な国の人だと徹底的に認識を改めないと誤解しか生まれません。そして通じません。

◇「聞く」の前提にあるもの

あくまでも聞くという段階で、その話し手とは全く語彙数の差があり、同一ではないと十分承知すること。これを踏まえて会話をしないと理解不能になります。
聞き手と話し手の差異が生み出すのは単なる誤解。誤解の構造の基本は思い込みです。それは同じ情報量、同じ語彙数だと思い込んで、しかもその言葉の意味の内容も同じだと思い込んでいます。ミスが起きるのも当然な結果と言えるでしょう。
受け取り方は全員違うということを、絶対的に踏まえることです。情報量と語彙数を同じにすることはベストですが、全く同じにすることは不可能です。近似値はあるかもしれませんが、同一でない限りミスは起きます。

◇二つの辞書

人間には、広辞苑などの本当の辞書に掛かれている普遍的意味の説明の辞書と、自分の意味が書かれている辞書の二つがあります。これが伝わらない原因です。
一般的に使われているのが、自分の辞書です。自分の意味の辞書に従って、仕事をしているために会話がちぐはぐになり、思い込んでミスへと至ります。

ここで言う広辞苑の辞書とは、特別難しい言語ではなく、普通に信号機と言えば信号機を思い出せるくらい。駅と言えば駅、電車ぐらいの語彙数のこと。ところが自分が鴻巣駅で痴漢にあったとか何か襲われたとかすると、鴻巣駅が怖い。今度は怖いになります。お店でも店員に粗末な酷い扱いを受けたとか、今度はお店の印象の意味が嫌いになります。これは自分の辞書、そのような経験値の辞書が実際の辞書よりも圧倒的に多く登録されているのです。

◇会話に必要な情報「安全か危険か、好きか嫌いか」

基本的に人間は対人恐怖なのです。故に必要な情報は「危険か安全か、好きか嫌いか」の常にこの二つで聞いています。この四つの項目でしか話の内容を精査しません、調べません。これが一番の関心事です。自己保身、安全という事で会話しています。その人が自分は好きか嫌いか、好きな人なら聞く。嫌いな人の話は聞きたくない。もしくはこんな事を言ったら相手に好かれるか、嫌われるか。話すときもそれを考慮して話します

これを言っとけば安全か、怒らないかとか、怒らせる怒らせないも安全か危険の話です。それは配慮性から来てます。常に配慮するのは安全か危険、好き嫌い。この項目でしか頭の中の辞書が整理されていないためです。その心の向き、態勢、態度で聞いているので、事程左様に誤解が生じます。確認が大事だというのはここです。どうしても安全か危険かが優先してしまうために、自分の辞書に頼ってしまうからです。

自分の辞書は安全な人か危険な人かを見極める、その情報を見極めるための情報でしかないのです。対人恐怖が奥深く蔓延しています。したがって、仕事や日常で、相手に訊けない、確認できない、言えない、怒られたらどうしようとなります。
その人のありのままを理解しようと言うカウンセリング、セラピー的な態度、態勢で聞いているわけではありません。常に思い込みと誤解が生じる構造の中で、会話をし、仕事や日常生活をしていることになります。

◇二つの会話:業務連絡とそれ以外の私事会話

辞書が二つあれば、会話も二つあります。
業務連絡会話、これは事実を伝え確認するという事実と確認だけの機能です。これを業務連絡と言います。それ以外は私事会話、これは事実と情報ではありません。欲望と感情を伝えたい! 今、私はこれが欲しいとか、美味しいもの食べたいとか、これは自分の欲望です。今私は落ち込んでるとか、怒っているとか、これは感情です。このように欲望と感情を語るのが私事会話です。
業務連絡はその事実だけでいい。ですが、業務上でも私情、私的感情や欲望が伴っているかのように聞こえる、いや、聞いてしまっています。

例えば、「早く仕事してよ」とか「何やってんの? ちゃんと確認しなさい」とか、それを怒っていると受け取る。それは確認不足だから、怒って言っているのではなく業務上注意しているだけです。という事は殆ど私情的に聞いている、私の感情、価値、そして相手が欲望を語っているように聞くと、業務連絡だけではなくなります。

上司が「あなたよく頑張ってるね」すると、私に期待している。私に成果を出してくれるように期待の欲望を私に投げかけていると、余計頑張ります。唯の業務上の評価なのに、それをさも期待されているかのように、もっと頑張って欲しいという、その上司の自分への欲望として受け取っていませんか。

「あなたいつもミスばかりしてダメなんだから」と言われると、又、感情評価して
「あっ、この人は私を見捨ててるんだ」「どうでもいいんだ」と受け取ってしまうのは、業務上の会話と、私的会話の区別、線引きがされていないことになります。
業務上に、私情を持ち込むなとよく言われますが、それは今言った欲望と感情の意味合いを持ち込むなと言っているのです。

しかし、「よく仕事しているね」とか「頑張ってるね」と言われると、もっと頑張れと言われてるかのように聞いてしまい、頑張らなきちゃ! と。業務上評価が感情評価の私的辞書に変貌しています。私事会話で聞くと、もう事実は見えません。

3.まとめ:ミスを減らす対処法


・自分の「伝えたい!」を「聞く」に切り換えること。
・相手の言っていることをそのまま写し取り、音読して脳に登録すること。
・自分と相手の情報量の差異を知ること。
・自分の辞書を使わないこと。それは語り手と対等で尊重している事になる。
・業務連絡会話に私情会話を持ち込まないこと。



自分の辞書を使わないで聞くと、相手の語りの内容に判らない事が出てきます。すると自ずと問いが出てきます。質問することにより、語り手も伝えようと言葉を尽くします。その事により何を言っているのか、それはどういう意味なのかが明快になり理解します。語り手の内容と聞き手の受け取り内容が一致し、優先順位や注意点も理解できます。一致によりミスは無くなります。

ここには予見も了解も思い込みもありません。会話により齎されるものは、信頼をベースに、相互間の受容と共感、理解と尊重です。職場や日常生活においてストレスはなくなり、円滑なコミュニケーションができるようになります。そしてミスをすることも少なくなるでしょう。



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大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として30年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

大澤秀行プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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