中国産の墓石が増えた理由
お墓の買い時のお話しの続きです。
以前のコラムで、中国産石材の値上がりが予想される、と書きました。その背景をもう少し詳しく描きます。
日本で中国産の石材が墓石に多く使われるようになって、およそ20年ほどになります。中国産石材の台頭は、豊富な産出量、大規模工場で加工することによる人件費の抑制、日本で使われていた加工機械が中国に輸出された事による加工技術の向上が背景にありました。ところが、ここ数年、その状況が変わりつつあるのです。
ご存じの通り、中国はめざましい経済発展を遂げました。それに伴い、全体的な人件費が上昇したことにより、今までと同一の賃金では働けない、と石工の方々が工場を離れるケースが増えてきたのです。それに加えて、日本の墓石市場における「短納期」「細かい注文」に耐えきれず、もっと簡単で納期にゆとりがある欧州向け建築石材に工場側が力を移し始めたのです。また、日本で墓石材として人気があった石材が採掘出来ない、人民元の為替レートの変化、と、いくつもの要素が重なり、卸値が上がりつつあるのです。
卸値が上がれば当然ながら小売価格を上げなければいけません。しかしながら、回復基調とはいえ、まだまだ景気は回復したと言い切れるところまで来ておらず、安易な値上げはお客様の購買意欲を下げてしまいかねません。そのような状況で、私どものような小売店は、値上げをせずに踏みとどまっているところです。
とはいえ、卸値が上がり続ける状況で小売価格を保つことは至難の業です。遠くない将来、石材の小売価格も上がるでしょう。加えて、消費税の増税が予定されている現在、石材価格の上からいっても、今こそが買い時なのです。