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住宅の階段から転落を防ぐため、階段をバリアフリー化する

田原稔久

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テーマ:バリアフリー


階段は危険な場所 家庭内の事故の3割を占める転落事故

2013年に国民生活センターが発表した「医療機関ネットワーク事業から見た家庭内事故―高齢者編―」のデータによりますと、65歳以上の家庭内事故の3割は転落事故が占めているという結果が出ています。

これらの転落事故のすべてが階段で起こっている訳ではありませんが、階段は転落事故の起こりやすい場所であり、転落した場合に大事故につながる危険性も決して低くはありません。高齢者が安心して上り下りできる階段に改修することは、住宅のバリアフリー化を進める上で、大切なことです。

滑り止めから階段の形状の変更まで 多岐にわたるバリアフリー化

階段の安全対策でもっとも簡単にできるのが、階段のステップに滑り止め材を取り付けることです。滑り止めは文字通り階段で滑っての転倒を防止する他に、すべり止めの色を区別しやすい色にすれば、視力の弱い方でも一段一段の境目をはっきりと区別することの助けになるので、安価な上に効果的な方法と言えます。

さらに階段の幅を広くし、一段の高さを低くすることも、階段の踏み外しを防止する方法の一つ。幅は一般的に25cm〜29cmが理想とされ、一段の高さは20cm以下が望ましいとされています。

他にも、暗い階段に対してフットライトなどの照明をつけることや、手すりをつけることでも落下事故の可能性は下がりますが、万一転倒した場合に、大事故になりにくいように階段の形状を廻り階段にしておくことも、コストはかかるものの、有効なバリアフリー化の方法です。

廻り階段とは、90度または180度折れ曲がったかたちになっており、曲がった部分に平らな踊り場が設けられている階段のこと。転倒した時に一気に下まで転がり落ちることが少なく、その分、大きな事故につながる危険性も低減されます。

階段昇降機の検討も

前回のコラムではホームエレベーターのご紹介をいたしましたが、そこまでの施工費はかからずに、階段を自力で上り下りする不便さや危険性を回避してくれるのが、階段昇降機です。

現状の階段スペースを利用し、座ったまま階段の上り下りが可能な「イス式」はもちろん、車椅子用の階段昇降機なども開発されており、用途にあった様々な商品を選ぶことができます。

また、機種によっては購入しなくてもレンタルでの使用が可能なものもありますので、しっかりとした情報収集を行って、まさかの転倒事故が起きないよう、適切なバリアフリー化を進めていってください。

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田原稔久
専門家

田原稔久(建築家)

田原建設株式会社

新築、リフォーム、アフターメンテナンスの三拍子がそろう住まいづくりに徹し、2世帯の長期優良住宅を多く建設。自身が阪神・淡路大震災の体験もあり、耐震等級3の地震に強い住宅を採用する

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