Mybestpro Members

田原稔久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

外壁・内壁など壁にできる耐震補強・耐震改修

田原稔久

田原稔久

テーマ:耐震補強・耐震改修


実は耐震補強において、断面径が90mm以上の柱2本と、梁、土台などの構造部材に4面が囲まれているもので水平方向の力に対抗できるもののことを「耐力壁」と呼びます。この耐力壁の強度を上げ、数を多くすることが、耐震補強・耐震改修においては重要です。

従来、天井や床を壊して施行することも多く、その間、部屋が使えなくなったり、住み替えの必要性があったりした内壁への施行においても、手軽かつスピーディーな方法が増えてきました。
しかしいくら耐力壁の数が多くても、バランス良くそれらが配置されていないと、思わぬ形で家が倒壊する危険性があります。

耐力壁のバランスが偏った状態になっていると、地震が起こった際に家が大きく回転することとなり、耐力壁の弱い方に地震の力が集中してしまうことで、家がねじれるように倒壊してしまう「ねじれ破壊」を起こしてしまいます。「耐力壁」の数と共に、バランスも大切な要素です。

耐震補強の観点から見た「壁(耐力壁)」って?

外壁・内壁など壁にできる耐震補強、耐震改修の方法をご紹介していきますが、その前に耐震補強の観点から見た「壁(耐力壁)」とは、いったいどんなものか、みなさんはご存知でしょうか。

耐震診断においては、断面径が90mm以上の柱2本と、梁、土台などの構造部材に4面が囲まれているもので、地震などの水平方向の力に対抗できるもののことを「壁(耐力壁)」と呼びます。

地震の際には、この「水平方向の力に対抗できる」という部分が重要で、垂直方向の重さを支えているだけの柱は、地震における水平方向の力にはほとんど対抗できません。
そのため、窓などの開口部を減らし、耐力壁の強度を上げつつ数を多くすることが、耐震補強・耐震改修においては重要になってきます。

外壁・内壁にできる耐震補強・耐震改修

壁の耐震補強・耐震改修においては、単純に耐力壁の数を増やすといったシンプルなものから、現在ある耐力壁に筋交いを入れることによって強度を増す方法、さまざまな材質の特殊な面材やパネルなどで耐力壁を補強する方法などがあります。

従来、家にいながらでも施行可能だった外壁の耐震補強・耐震改修に比べて、内壁は天井や床を壊して施行することも多く、その間は部屋が使えなくなったり、住み替えの必要性があったりしましたが、現在では手軽かつスピーディーで家にいながらにして内壁を補強する方法も増えてきました。

しかし、ここで注意しておきたいのが、家の間取りと耐力壁の配置のバランスです。このバランスが崩れると、いくら耐力壁の数が多くても、思わぬ形で家が倒壊する危険性があることを覚えておいてください。

重心と剛心のバランスを考えて、効率的な耐震改修を

建物には全体の重さのバランスがとれる重心と、外から力がかかった場合にその軸を中心に回転しようとする剛心があります。

この重心と剛心が離れていれば離れているほど、建物に外から力がかかった際に回転する力が大きくなり、地震の際に大きな揺れにつながるのですが、この剛心がどこに生まれるかに大きく関わっているのが、実は耐力壁がどのようなバランスで家を支えているかなのです。

つまり、耐力壁の数がいくら多くてもバランスが偏った状態になっていると、地震が起こった際に家が大きく回転することとなり、家がねじれるように倒壊してしまう「ねじれ破壊」を起こすことがあるのです。

家のデザインや導線、施行中の生活など、さまざまなことに影響を及ぼす壁の耐震補強・耐震改修ですが、ぜひ「耐力壁」のバランスということも念頭に置いていただけると、より安全な住まいづくりのお役に立つと思います。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

田原稔久
専門家

田原稔久(建築家)

田原建設株式会社

新築、リフォーム、アフターメンテナンスの三拍子がそろう住まいづくりに徹し、2世帯の長期優良住宅を多く建設。自身が阪神・淡路大震災の体験もあり、耐震等級3の地震に強い住宅を採用する

田原稔久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

快適で長持ちする住宅建設の専門家

田原稔久プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼