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野口由美

健康不安で苦しむ患者の心身を親身にケアする心療内科医

野口由美(のぐちゆみ) / 医師

クリニック千里の森

コラム

催眠療法ってどんなもの?

2023年1月1日

テーマ:診療内容

コラムカテゴリ:医療・病院

「催眠療法、すごく興味があって、一度受けてみたいなぁって、ずっと思っていたんです」
このようにおっしゃる方は多いです。
でも、気軽にできるものではないかもしれません。
今回は、催眠療法についてよくある質問に答えながら、くわしく解説していきます。

催眠療法ってあやしいものではないですか。

欧米では、催眠療法は、治療法のひとつとして認められています。

歴史的には、1950年代に、イギリス医師会で治療法として認められると、
続いて数年後には、アメリカ医師会でも認められました。

催眠療法は実は、科学的な治療法なのです。

私は催眠に入れないのではないかと心配です。

催眠とは特別な状態ではありません。
日常生活のなかで、だれもが毎日体験している状態なのです。

朝、お休みしている状態から目覚めるとき、
また、夜、ベッドに横になって睡眠に入るとき、
人は必ず催眠状態を経験しています。

そのほか、毎日会社に行くときなど、
道順を考えなくても自然に足が向いて、目的の場所にたどり着きますね。
これは、一種の催眠状態に入っているのです。

夢中で本を読んでいるときや、
スポーツに熱中しているときもそうです。

映画を見て、悲しい場面で涙ぐんだり、怖い場面で鳥肌が立ったりしますね。
これも、映画に引き込まれて、催眠状態に入っているからなのです。

顕在意識では、映画は作り物だとわかっているのですが、
潜在意識は入ってきた情報をすべて受け入れているため、
それに体が反応しているのです。

このように、催眠は特別な状態ではなく、だれもが日常、経験していることです。
ですから催眠には、誰でも入ることができます。

自分はできないかもしれない、と不安になる必要はありません。

顕在意識、潜在意識ってなに?

顕在意識、潜在意識という言葉が出てきました。
なんとなく聞いたことのある言葉かもしれません。

催眠療法では、たいせつな概念なので、
ここで簡単に説明しておきましょう。

顕在意識は知性で考え、判断、行動する領域です。

潜在意識は、感性や直観をつかさどっています。

日常生活では良い悪いなど、いろいろな判断をしなくてはいけませんので、
顕在意識8割、潜在意識2割と、
顕在意識が優位に働いています。

そのうえ、大人には、顕在意識と潜在意識との間に、
クリティカルファクターと呼ばれる膜があり、
外的刺激が、直接、潜在意識に入り込まないように、
また潜在意識の情報が簡単に出て行かないように、
ブロックして守っていると言われています。

このため、通常、潜在意識と触れ合う機会はなかなかありません。

一方、催眠状態では、潜在意識8割、顕在意識2割と、
潜在意識が優位の状態です。

また催眠下では、クリティカルファクターは取り払われていて、
外から与えられた情報は顕在意識で検閲を受けることなく、
直接、潜在意識に入っていきます。

潜在意識から出てきた情報も、顕在意識の検閲を受けることなく、外へ出ていきます。

このため、催眠状態では、覚醒時では得られないような、
貴重な情報や考えを、潜在意識から取り出すことができるのです。

催眠状態だと、他人の意のままになってしまうのではないかと不安

これは、催眠療法についてよく聞かれる質問です。

結論から申しますと、
催眠療法では、他人の意のままになってしまうということはありません。

催眠に入っていても、顕在意識は働いていますから、
意識は、はっきりしていて、自分で自分をコントロールすることができます。

催眠から出たければ、いつでも出ることができますし、
もし地震が起これば、すぐに催眠から覚め、避難することもできます。

また、ご自分がしたくないことはしなくていいですし、
言いたくないことは声に出さなくてもかまいません。

セラピストの命令通りになるということは決してありません。

催眠療法を上手に体験するための大切なポイント

催眠状態でも、顕在意識が働いているため、
他人の意のままにはなることはないのですが、
困ったことも起こりえます。

というのは、催眠状態に入っていても、顕在意識は
「自分は催眠に入っていない」と判断するのです。

このため、催眠から解かれた後に、
「本当に私は催眠に入っていたのだろうか」
と疑問を持ったり、

「私が経験したのは催眠状態なんかじゃない」
と自身の体験を否定するようなことがおこります。

実際、催眠状態に入っていたにもかかわらず、催眠を解いた後に、
「私は催眠に入っていなかった」
と言われる方がいらっしゃいます。

思い描いていた催眠や、本で読んだ催眠とは異なっていたと感じられたのかもしれません。

この問題点は、催眠療法を上手に体験するための重要なポイントにつながります。

催眠中は、どのような内容が出てきたとしても、それを顕在意識で、
「そんなはずはない」などと判断しないようにしましょう。

その内容が常識に合っていなくても、
浮かんできたことをどんどん言葉にすることが重要なのです。

感じた通りを言葉にしてください。
「こんなのおかしい」と、顕在意識で否定してしまうと、

潜在意識は働きにくくなってしまいます。
顕在意識で否定し続けていると、
催眠状態を継続することは難しくなってしまうでしょう。

催眠では、イメージしたもの、感じたことをなんでも言葉にすることで、
さらにイメージしやすくなり、
さらに深い催眠に入っていくことができます。


催眠療法に興味をお持ちの方は、クリニック千里の森のホームページ「催眠療法」をご覧ください。

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