離婚事件簿その12~面会交流の重要性
かつてはmixi(ミクシィ)、現在ではFacebook(フェイスブック)やLINE(ライン)など、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が、離婚問題に重大な影響を及ぼすケースが増えています。
これらSNSの多くは、(SNSによって多少のパターンの違いがあるでしょうが)何らかのカテゴリー(属性)が一致すると、自動的に「友達かもしれない」として通知するサービスをしています。
このような機能が、出会いや再会のきっかけとなり、時として不貞問題に発展していくのです。
例えば、利用者が「A高校出身」という属性でプロフィールを作っていると、A高校出身者が集まるやりとりの場に誘導されます。
そこで、A高校出身者が集団で利用する投稿や個別のメッセージのやりとりの中で、久しぶりに知り合いと再会し、さらに個別に飲む約束をして会ったら盛り上がって…というようなケースが典型例です。
また、フェイスブックやツイッターで、紛争相手に情報が流出している例も少なくありません。
私の経験では、別居中に進めている離婚の調停で深刻な折衝をしている時期に、当方の当事者が、自分が「今日はこうして楽しく遊んだ」などの出来事をフェイスブックに日々アップするものだから、それを見た相手方が激怒して、紛争が大変こじれたというケースがありました。
方法の詳細は分かりませんが、本人は閲覧する相手を制限していたつもりでも、相手方は易々とそれをかいくぐって見ていたようです。
余談ですが、弁護士業務においては、離婚問題に限らず、いわゆる「出会い系サイト」が、男女間トラブルや各種の犯罪被害のきっかけになっている事件などにも頻繁に接します。
こういった現場を目の当たりにするにつけ、IT機器やSNSの進化については、利便性が飛躍的に向上している反面、いろいろな怖さや落とし穴を伴うものであると感じざるを得ません。
弁護士 中村正彦