在宅医療を実施した際、カルテに記載する事項・診療報酬算定の注意事項vol.94
最近、診療所の開業に関する相談が増えてきております。
実際の診療所の開業相談事例をお伝えします。
【相談内容】
開業地の候補地が絞られてきました。来院患者数の予測する診療圏調査を行い、開業地を決めようと考えています。簡単に効果的にできる診療圏調査のやり方を教えて下さい。
【解 答】
診療圏調査は開業場所の選定をデータ面から検証する作業であると同時に事業計画を作成する上での見込み患者数を算出する資料となります。
診療圏調査は次のようなプロセスで進めていきます。
1.情報の収集(町丁別人口統計他)
市町村役場で町丁別、年齢別の人口統計や最近の人口動態の資料を入手し地図を用意します。
2.現地調査
地域を歩きどこに何があるのかを把握します。特に競合となる医療機関の情報を入手しましょう。
また、時間帯を変えて地域を歩き、開業地の周辺を朝・昼・夜の状況を知って頂きたい。
3.診療圏マップ作成
地図に開業予定地と競合医療機関、公共の交通機関などポイントとなる箇所をプロットや印をつけていきます。
4.診療圏の設定
自院の診療圏を設定します。診療科や地域の状況によって異なりますが例えば都市部における内科診療所の場合、主要な診療圏は概ね半径100mの範囲内と考えられます。特殊な診療科の場合や郊外であれば当然、範囲も広くなります。弊社では診療科別診療圏設定表をまとめているのでご希望があればお申しつけください。
5. 患者数の推計
設定した診療圏内の人口に受療率(人口10万人当たりの1日当たり推計患者数)をかけて計算します。受療率は厚生労働省が3年に一度行う「患者調査」の結果をもとに傷病別、性別、年齢別などに計算されています。
6.見込患者数の算出・総合判断
上記5で算出した患者数は他に競合する医療機関が全くないことを想定した場合の診療圏内の潜在的な患者数を意味します。大病院など診療圏外に患者が流出していたり、診療圏内に同様の診療科がある場合にはこれらを割り引いて最終的に開業後の自院の見込患者数を算出できます。
上記1~6の算式によって予定している場所で開業した場合の1日当たりの見込み患者数が算出できます。しかし、開業したとしてもこれだけの患者さんが来院してくれるという保証はどこにもありません。あとは開業後の経営努力いかんにかかってきます。
診療圏調査で得られた結果はあくまで「目安」です。むしろこれを「目標」と捉えて開業後、いかに早い段階でこの目標に近づけることができるかが重要なポイントです。
最後までお読み頂きありがとうございました。感謝!
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