診療所のレセプト請求もれ事例vol.17 

原聡彦

原聡彦

テーマ:医療経営の処方箋

診療報酬のプラス改定や来院患者の大幅な増加が見込めない経営環境において、クリニックの院長からレセプト請求モレのチェックをご依頼頂く機会が増えております。

今回は診療所でよくあるレセプト請求もれ事例を紹介できる範囲でまとめていきたいと思います。

<1>初診料・再診料
1.患者が任意に診療を中止し1カ月以上経過した後、再び診療を開始したケースにおいて初診料を算定できていない。

2.喘息、てんかん等において継続治療せずに発作時のみ受診した場合の1発作ごとに初診料を算定できていない。

3.同一月内、同じ傷病名で、一度治癒しているにもかかわらず初診料を算定できていない。

4.電話による療養上の指導について再診料が算定できていない。
 
5.ワンポイントアドバイス
・初診料は一回しか算定できないものと思い込んでいる医療従事者は意外と多いです。初診料の算定要件は、継続的に治療している傷病がある場合を除き「医学的に初診が発生する場合」とされています。ただし、初診料の算定は院長の方針もあるので院内で方針を周知徹底しておくことが重要です。

・すべての傷病が治癒したあとは、その後、同日の受診であっても初診料は算定できます。ただし、転帰欄に「治癒年月日」の記載がないと再診料に減点されるのでご注意ください。 


<2>外来管理加算

1.処置料を算定できない処置(例:100平方センチメートル未満の熱傷処置、皮膚科軟膏処置、洗顔など)を実施しているが、外来管理加算を算定できていない。

2.介護保険の通所リハビリテーションを行っている患者に外来管理加算を算定できていない。

3.同日、再診であって、算定要件を満たしているにもかかわらず外来管理加算を算定できていない。

4.ワンポイントアドバイス
上記の例のような、簡単な処置については基本診療料(初診料、再診料)に含まれていて別途算定ができません。一方、外来管理加算は、処置料を算定できる処置を実施した時は算定できないルールになっているが、基本診療料に含まれる処置を実施した場合には算定ができることになっています(平成20年3月28日 厚生労働省疑義解釈)。


<3>投薬(特定疾患処方管理加算)

1.特定疾患を主病とする患者で主病以外の疾病に対する投薬だけの日のケースにおいて特定疾患処方管理加算が算定できていない。

2.特定疾患療養管理料が算定できない初診月で、主病が対象疾患の患者に特定疾患処方管理加算が算定できていない。

3.在宅療養指導管理料算定患者に特定疾患処方管理加算が算定できていない。

4.ワンポイントアドバイス
・小さな点数であるが特定疾患処方管理加算は請求漏れや誤解釈の多い代表的な点数です。特定疾患処方管理加算は、対象疾患があれば処方された薬剤は対象疾患以外の薬剤でも算定が可能です。

・特定疾患処方管理長期投薬加算(65点)算定のルールは1日おきに14日分投与しても処方期間が28日以上あれば算定することができます。


今回はここまでとします。レセプト請求に間違いがないという思い込みを捨て、点数表、厚生労働省の疑義照会等に戻ってチェックするという習慣づくりにチャレンジしてください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
感謝!
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原聡彦
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原聡彦(医業経営コンサルタント)

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院外事務長(事務長代行)、院長夫人コーチング、医療法人運営サポート、医院開業支援など、院長先生の経営のブレーンとして財務と人事の面から健全経営を継続できる環境づくりをサポートいたします。

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