靴下を履いても氷のように冷たい「冷え性」、本当の原因は【筋肉ポンプの停止】と【内臓温度の低下】にあった!

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「お風呂に入っても、布団に入る頃には手足が冷たくなっている」

「冬はもちろん、夏でもクーラーの風が当たると体が芯から冷える」

「靴下を重ね履きしても、足先が氷のように冷たくて感覚がない」

そんな、季節を問わず襲ってくるつらい「冷え性」に悩まされていませんか?

「冷えは万病の元」と昔から言われますが、実際に体温が1度下がると、免疫力は30%以上も低下し、代謝は約12%も落ちると言われています。

冷え性は単なる「体質」ではなく、放っておくと様々な病気を招くリスクファクターなのです。

多くの方が、外から温めたり、生姜を食べたりして対策をしますが、それでも改善しない場合、問題は「温め方」にあるのではありません。

あなたの体そのものが、「熱を作り出せない」、あるいは「作った熱を末端まで運べない」という、構造的な欠陥を抱えている可能性が高いのです。

今回は、巷に溢れる温活テクニック以前に知っておくべき、体が冷えてしまう生理学的なメカニズム、特に見過ごされがちな【ふくらはぎのポンプ機能不全】と【内臓温度(深部体温)の低下】に焦点を当て、自分自身の力でポカポカな体を取り戻すための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

なぜ、あなたの手足には「熱」が届かないのか?


人間の体は、心臓から送り出された血液が全身を巡ることで、酸素や栄養と共に「熱」を体の隅々まで運んでいます。

つまり、手足が冷たいということは、そこまで温かい血液が十分に届いていないという証拠です。

では、なぜ血液が届かないのでしょうか?

血管が細くなっている(自律神経の乱れ)ことも要因の一つですが、それ以上に大きな問題は、血液を送り出す「ポンプ」と、熱を生み出す「エンジン」が弱っていることにあります。

あなたの体を冷蔵庫に変える、2つの内部要因


1.血液がUターンできない!「ふくらはぎのポンプ機能不全」


これが、特に足先の冷えを引き起こしている、物理的な最大の原因です。

血液は心臓のポンプ作用で全身に送られますが、心臓から最も遠く、しかも重力に逆らって血液を戻さなければならない「足」においては、心臓の力だけでは不十分です。

そこで重要な役割を果たすのが、「ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)」です。

ふくらはぎの筋肉が、歩いたり動いたりして収縮・弛緩を繰り返すことで、血管をマッサージし、血液を心臓へと押し戻す働きをします。

これを「筋ポンプ作用(ミルキングアクション)」と呼び、ふくらはぎが「第二の心臓」と呼ばれる所以です。

ところが、

・デスクワークで一日中座りっぱなし
・運動不足でふくらはぎの筋肉が衰えている
・ヒールを履いていて足首が動かない

こうした状態では、このポンプが完全に停止してしまいます。

ポンプが動かなければ、温かい血液は足先まで届かず、逆に冷たく淀んだ古い血液や水分が足に溜まり続けます。

これが、足の冷えと、夕方のひどい「むくみ」の正体です。

あなたの足は、冷たい水たまりに浸かっているような状態なのです。

2.熱を作るエンジンが弱い!「内臓温度(深部体温)の低下」


そもそも、運ぶべき「熱」そのものが不足していれば、いくらポンプが強くても体は温まりません。

熱を生み出す最大の臓器は「筋肉」ですが、安静時においては「内臓(特に肝臓や胃腸)」も重要な熱産生源です。

しかし、

・冷たい飲み物や食べ物を好んで摂る
・過度なダイエットで食事量が足りない
・ストレスで胃腸の動きが悪い

といった生活習慣があると、内臓の働きが低下し、深部体温が下がってしまいます。

人間の体は、生命維持に重要な「脳」や「内臓」の温度を最優先で守ろうとします。

そのため、内臓が冷えていると、体は「緊急事態だ!中心部を温めろ!」と判断し、手足などの末端への血流を遮断してでも、血液をお腹周りに集めようとするのです。

つまり、あなたの手足が冷たいのは、冷え切った内臓を守るために、体が手足を犠牲にしているという、悲しい防衛反応の結果かもしれないのです。

カイロでは温まらない!冷えを断つための「生産と運搬の知識」


冷え性を根本から改善するには、外から温めるだけでなく、体の中で熱を「作り」、それを「運ぶ」システムを再稼働させる必要があります。

1.第二の心臓を動かす「かかと上げ下げ運動(カーフレイズ)」


止まってしまったふくらはぎのポンプを、意図的に動かす最もシンプルな方法です。

「座ったままでも、立ったままでも、かかとを大きく上げて、下ろす」

これだけです。

ポイントは、ふくらはぎの筋肉がギュッと縮まるのを意識すること。

デスクワーク中でも、1時間に1回、30回程度行うだけで、ポンプ機能が働き出し、足先に溜まった冷たい血液が循環し始めます。
階段を使うのも、非常に効果的なポンプ運動です。

2.熱産生をブーストする「タンパク質」と「朝の白湯」


食事は熱を作る燃料です。

特に重要なのが「タンパク質」です。

食事をした後に体が温かくなることを「食事誘発性熱産生(DIT)」と言いますが、タンパク質は、炭水化物や脂質に比べて、この熱を生み出す力が圧倒的に高い(摂取カロリーの約30%が熱になる)のです。

朝食に卵や納豆、ヨーグルトなどのタンパク質をプラスするだけで、一日のエンジンの掛かり方が変わります。

また、朝一番に内臓を温めることも重要です。

寝起きにコップ一杯の「白湯(さゆ)」を飲むことで、胃腸が内側から温まり、活動スイッチが入ります。

内臓温度が上がれば、体は安心して手足への血流を開放してくれます。

3.首・手首・足首。「3つの首」をガードする


せっかく作った熱を逃がさない知識も大切です。

皮膚が薄く、太い血管が表面近くを通っている「首」「手首」「足首」は、外気の影響を最も受けやすい場所です。

ここが冷えると、そこを通る血液が一瞬で冷やされ、冷たい血液が全身を巡ってしまいます。

外出時や就寝時は、マフラー、手袋、レッグウォーマーなどで、この「3つの首」を重点的にガードしましょう。

ここさえ守れば、薄着でも意外と体温は保たれるものです。

まとめ:冷えは「熱の生産・運搬システム」のエラー。内側から修理しよう


さて、今回は「靴下を履いても氷のように冷たい『冷え性』、本当の原因は【筋肉ポンプの停止】と【内臓温度の低下】にあった!」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

あなたのつらい冷え性が、単なる体質ではなく、ふくらはぎのポンプ機能不全による「運搬ミス」と、内臓の冷えによる「熱生産不足」という、明確なシステムエラーであることをご理解いただけたかと思います。

その冷たさは、あなたの体が「熱が足りないよ!」「血液が回っていないよ!」と訴えている、SOSサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 冷え性の本質は、血液という「熱の運び屋」が末端まで届いていない状態である。
  • 最大の原因の一つは、運動不足などで「ふくらはぎのポンプ機能」が停止し、足先から血液が戻れなくなっていることにある。
  • もう一つは、内臓が冷えているために、体が生体防御反応として手足への血流を制限し、中心部を守ろうとしていることにある。
  • 対策として、かかと上げ運動でポンプを再稼働させ、タンパク質摂取と白湯で内側から熱を作る「自家発電できる体」を目指すことが根本解決となる。


冷え性は、一朝一夕には治りませんが、体の仕組みを理解し、毎日少しずつメンテナンスをしてあげれば、体は必ず応えてくれます。

「寒い寒い」と縮こまる前に、まずはかかとを上げてポンプを動かし、朝ごはんで体に燃料を投下してみてください。

自分の力で温かい血液を巡らせ、ポカポカとした快適な毎日を、自分の手で作り出しましょう。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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