“整骨院いらず”を目指す身体の専門家東角剛司

“整骨院いらず”を目指す身体の専門家

東角剛司

体のゆがみを整えることで慢性的な痛みをケアし、整骨院からの卒業を目指す

　「肩こりや腰の痛みを抱えている方は、あきらめないでほしいですね」と話すのは、JR城北公園通駅から徒歩約1分の場所で「こころ鍼灸整骨院」を営む東角剛司さん。朗らかな笑顔で訪れる人を迎え、コンディションを整えます。

　「筋肉痛が数日たてば引くように、体はおのずと復調しようとするものです。しかし、肩や腰の慢性的な痛みで、何年も整骨院に通っているという方も少なくありません。その理由は、長年の体の使い方や姿勢のくせで、骨格が本来あるべき位置からずれているからかもしれません」

　東角さんは来院者に向け、体を建物に例え不具合のメカニズムを説明しています。

　「柱が傾いた状態で表面だけ修繕しても、壁や床にひび割れなどが生じてしまいますよね。同様に、骨格にゆがみがある状態のままでは、痛みは再発してしまうのです。当方では、痛みのある箇所をもみほぐして終わりといったアプローチはしておりません」

　人体を解析する構造医学や、骨、関節、筋肉などの機能を分析する運動学の観点から一人一人の体の状態を鑑別。約200個もあるという全身の骨のかみ合わせを整える、オーダーメードのケアを施します。さらに、立ち方や歩き方なども指導。院内に設置している鏡を一緒に見ながら行うことで、正しいポジションを脳に覚えさせ、院から卒業できる体へと導きます。

　「体のゆがみが改善されれば内臓にかかる負担も減るため、体調が整いやすくなります。痛いからと整骨院やリラクゼーションに駆け込むよりも、そもそも行かずに済む体づくりをして、健康的に過ごすお手伝いをいたします」

東洋医学と西洋医学を組み合わせた手法で不調に向き合い、メンタルもサポート

　東角さんは幼少期から柔道に打ち込み、整骨院はなじみのある場所でした。

　「かかりつけの先生は、落ち込んだ時には励ましてくれて、体だけでなく心も解きほぐしてくださいました。心身が癒やされる安心感は自分にとって大きく、先生みたいになりたいと現職を志しました」

　東洋医学と西洋医学を組み合わせた手法を目指し、柔道整復師、はり師・きゅう師の国家資格を取得。14年間で4院に勤務し、さまざまな不調を抱える来院者を担当しながら実技を磨き、2014年に独立しました。

　院名には、子どもの時にあこがれた先生のようにメンタルもサポートしたいという思いを込めています。

　「当院は完全予約、入れ替え制をとっており、予約していただいた時間はその方のために100％使います。身近な人には言えない悩みを吐露する方も結構いらっしゃいますね。例えば、けがをして落ち込んでいるスポーツ選手には、回復した時にパフォーマンスが上がるよう先を見据えたトレーニングをすすめるなど、不安や心配事に寄り添っています」

　開業以来、顧客が順調に増えていく一方で、気がかりなこともありました。それは、同じ不調で何年も通い続ける人がいること。

　「もみほぐすとその時は楽になるのですが、次に来るときはもとの状態に戻っている方もいて、根本原因は体のゆがみではないかと考えました。これまで学んできた多様な技術や知識をふるいにかけながら、骨格のバランスを整え体の使い方を指導する独自の手法を作り上げました」

体が快適に動く幸せを多くの人に提供するために、実務者向けのセミナーも開催

　東角さんによると、姿勢を正そうとがんばることが、体をゆがませたり、体に負担をかけたりしている場合もあるとか。

　「例えば、背筋が伸びていたら良い姿勢と考える人も多いですが、背骨は、椎骨と呼ばれる骨が1個ずつ動くことによって、力の逃げ場所を作っているんです。滑らかなS字カーブを描くことが理想で、無理に胸を張ったり、肩に力を入れたりすると、『遊び』がなくなり、負担がかかってしまうこともあるんです」

　立ち仕事をしている人は、姿勢が安定するよう足を肩幅に開いて立つことを心掛けていたそうです。しかし、体のバランスを分析してみると、少し足を閉じて立つほうが、重心が安定することが分かりました。

　「気を付けのような姿勢は過剰に緊張している状態で、腰や膝の痛みを引き起こす要因にもなり得ます。筋肉が適度にリラックスした状態が疲れにくいのです」

　東角さんは体の20～30カ所のチェックポイントを調べ、アプローチ方法を構築。「家事が楽になりたい」「軽やかに歩きたい」など、かなえたい未来まで見据えて手だてを講じます。顧客の口コミで他県から足を運ぶ人もいるそうです。

　「自分一人では担当できる人数が限られるため、今後は実務者向けのセミナーも開催していくつもりです。当方が蓄積してきたノウハウと理論を習得していただければ、さらにケアの幅が広がるのではないでしょうか。一人でも多くの人に、快適に動ける体を手に入れる幸せを感じてもらえたら、私もうれしいですね」

（取材年月：2025年4月）

人体の骨格や仕組みに着目した“構造医学”をベースに、痛みの根本原因にアプローチ

体のゆがみを整えることで慢性的な痛みをケアし、整骨院からの卒業を目指す

東洋医学と西洋医学を組み合わせた手法で不調に向き合い、メンタルもサポート

体が快適に動く幸せを多くの人に提供するために、実務者向けのセミナーも開催

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