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菊池浩史

「住まい×消費者×教育」のハイブリッドを目指す専門家

菊池浩史(きくちひろし)

住まいの消費者教育研究所

コラム

介護が必要になっても住み続けることができますか。

2020年12月5日 公開 / 2021年2月18日更新

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

住まいの終活は何から始めれば良いでしょうか。

住まいの現状を正しく把握することがスタートです。登記事項証明書などを使って物件の状況や権利関係、修繕履歴などを整理し、「家カルテ」と呼ばれるものを作ります。家カルテがあれば資産価値をざっくりとでも計算できます。住まいの資産価値を知らない方は少なくありません。土地や建物がいくらの価格で売れそうかをざっくりとでも把握できれば、資金計画の作成や住み替えを検討する際に大いに役立ちます。

そして高齢期とりわけ介護が必要になればどこで暮らしたいかを考えておくことです。元気なときに考える必要のあることは、理解はできても実行することは容易ではありません。まだ先のことで今は関係ないとか、そもそも何をどう検討したら良いか分からないといった理由が挙げられます。せめてどこで誰とどのように暮らすか、大きな方向性は持ちたいものです。

次にあげるのは「第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(内閣府2015)」です。
図表➀は「介護が必要になったときにどこで暮らしたいか」という問いです。
【図表➀】




日本では高齢者住宅や老人ホームへの住み替え意向が一定程度(20%強)あるものの、「現在のまま自宅に留まりたい」が全体の半数を占め四か国中最も高い割合になっている。一方で「改築の上、自宅に留まりたい」意向が最も低い結果から、自宅に手を加えて住み続ける意向は他国に比べ低くなっている。


図表➁は「身体機能が低下した場合の住宅の住みやすさ」という問いです。
【図表➁】




「多少問題がある」を含め「住宅の住みやすさに問題がある」と回答した割合が60%超と他国に比べ群を抜いています。「住みやすさに問題があっても自宅に住み続けたい」という根強い意向が読み取れます。自宅に住み続けたい意向を尊重するとすれば、一定程度の改修が必要となります。

タイトルの「介護が必要になっても住み続けることができますか」という問いに応えるには、一人ひとりがそれぞれの住まい観を持っておくべきかと思います。できるだけ早い元気な時期から住まいの終活を開始すれば余裕も生まれます。余裕があれば多くの選択肢をじっくりと検討できます。心身が弱ってきた時のことを想定するのは容易ではありませんが、身近に高齢者の方がおられれば、一定の想像力が働くと思います。なお、どのような住まいを選択するにしても相応の費用負担を伴います。将来の予測は当然に限界があることから資金計画にはバッファが必要です。

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