金融教育×住教育から空き家対策を
高齢者住宅に関する情報の収集と選択は、複雑で理解が難しいという声を耳にします。
なぜでしょうか。以下は、私なりに考えた理由です。
第一に、高齢者のニーズの多様性と不確実性です。高齢者は他の世代と比べ健康状態は多様であり、しかもその内容も自立期から虚弱期では変化します。そのため情報に対するニーズは多様となり、かつその不確実性が高まります。その結果、情報提供者が提供する情報も大量かつ多様となる傾向があります。
第二は、高齢者住宅は一般住宅に比べて考慮する要素が多いことです。住まいの部分は賃借権や利用権を設定して、別途サービスの利用契約を締結し、安否確認、緊急対応、生活相談、食事などのサービスが提供されます。介護サービスは、高齢者の状態に応じて高齢者住宅の内外のサービスを利用することとなります。介護サービスや生活支援サービスといっても、高齢者住宅のより提供内容や費用が異なるうえに、同一水準のサービス提供が保証されているわけではありません。また高齢者の状態に応じて提供するサービス内容も変動するため、選択の基準を標準化することが難しくなります。
第三は、選択基準の未知、つまり高齢者住宅への住み替えの経験値の低さです。高齢者住宅は経験材であり、事前に財やサービスの品質を判断することが難しく、実際に経験しないと正しく評価することが難しいと言えます。
第四は、年齢による能力の衰えです。高齢者の精神機能は個人差が大きく、経験が知識や判断に有利に作用することもありますが、一般的には50歳ころから徐々に漸減していくと言われています。そのため自身のニーズと高齢者住宅の特性を関連づけることが難しくなっていくと考えられます。
このような理由などで情報収集や選択が難しくなるものと考えます。
逆に言えば、このような課題を克服することが情報収集と選択を容易にすることに繋がると言えるでしょう。
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