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菊池浩史

「住まい×消費者×教育」のハイブリッドを目指す専門家

菊池浩史(きくちひろし)

住まいの消費者教育研究所

コラム

高齢期に在宅生活を続けるための留意点(ハード面)

2020年9月6日 公開 / 2021年2月18日更新

テーマ:~バリアフリーと温熱環境~

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 浴室 リフォームバリアフリー 住宅

前回に引き続き、在宅生活を続けるためのハード面の条件を考えます。
ハード面の課題には、段差などのバリアの存在と室内の寒暖差である温熱環境があります。

ところで、私たちはどのような時に住宅のバリアを感じるでしょうか。
・敷居などの段差でつまずくようになった。
・階段の昇り降りがつらくなった。
・浴室の床や浴槽内で転びそうになった。
・部屋の出入り口が狭い。
・夜、歩くときに足元が暗い。
・手すりが欲しくなることが増えてきた。
・杖や歩行器、介助が必要と思うことが増えた。
などが挙げられます。

バリアフリー改修は、一人ひとりの身体の状態に応じた個別対応が原則ですが、多くのケースに当てはまるる次のような留意点もあります。
〇トイレや浴室を少ない身体の負担で利用できるようにする。
〇コンパクトで行き来しやすい空間にする。
〇整理しやすい収納を設ける、等。

次に、住宅の温熱環境の悪化はどのような危険を招くでしょうか。
夏場は熱中症で救急搬送される方が増加しますが、熱中症の約4割は住宅内で発生しています(表1)。
【表1:熱中症の発生場所】
熱中症の発生場所

熱中症の要因には、エアコンの使用方法や水分摂取などの他に、住宅の断熱性能の不足も考えられます。現行の耐震基準を満たす住宅は全体の約1割しかないことからも、温熱環境が不十分な住宅が大半を占めていることが伺えます(表2)。
【表2:断熱不足住宅の現状】
断熱不足の住宅

温熱環境が悪ければ、冬場は、トイレや浴室、脱衣室が寒く、暖房や厚着しても温かく感じません。また結露やカビが発生しやすくなります。一方で夏場は、夜でも熱気が籠りやすく、2階が特に暑く、冷房の効きが悪くなります。

温熱環境を改善する効果的な方法の一つが、窓の断熱対策です。なぜならば窓からの熱の流入(夏場)や流出(冬場)が圧倒的に多いからです。窓の断熱対策には、採光ブラインド、断熱シート、内窓、樹脂サッシなどの採用があります。

今後、まずます温暖化の進む日本。とりわけ高齢者にとって住宅の断熱化は、快適性以上に命や健康に関わる問題でもあります。

以上

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菊池浩史

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菊池浩史(住まいの消費者教育研究所)

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