GW緊急企画 睡眠相談室
年末年始はお酒を飲む機会が増える季節です。
これまでにもお酒と睡眠についてお話ししてきましたが、
その付き合い方次第で、翌日が最高のパフォーマンスを発揮し、充実した一日を過ごせるか、
それともぐったりして残念な一日になるかが決まります。お酒と睡眠の関係を少し意識するだけで、
翌朝を笑顔で迎える秘訣が見つかるかもしれません。
お酒と睡眠の質:どのような影響があるのか?
飲酒は一時的に眠気を誘発する効果がありますが、その後の睡眠の質を大きく低下させることがわかっています。
以下にその具体的な影響をまとめます。
深い眠りの減少
アルコールの影響で深い眠り(ノンレム睡眠)の時間が減り、身体の疲労回復が不十分になることがあります。
睡眠周期の乱れ
アルコール摂取により、通常の睡眠リズムが乱れ、眠りが浅くなったり早朝に目が覚めたりすることが多くなります。
いびきや睡眠時無呼吸症候群のリスク増加
飲酒後は筋肉が緩みやすくなるため、いびきや無呼吸が起こりやすく、これも睡眠の質を低下させる一因となります。
特に忘年会の席での過剰飲酒は、翌日の心身のパフォーマンスに大きく響くリスクが高いとされています。
翌日のパフォーマンス低下と経済損失
アルコールによる睡眠の質の低下は、翌日の仕事の効率や判断力にも大きな悪影響を及ぼします。
この問題を労働者と経営者それぞれの視点から考えてみましょう。
労働者にとっての影響
注意力の低下
睡眠不足は注意力や集中力を著しく低下させ、ミスや事故のリスクを高めます。
判断力や創造性の低下
質の高い睡眠が不足すると、問題解決能力や新しいアイデアを生み出す力が減少します。
酩酊状態に匹敵する業務パフォーマンスの低下
科学的な研究では、6時間以下の睡眠が2日続くと、血中アルコール濃度が0.05%(軽い酩酊状態)に相当する判断力低下が見られると言われています。
これでは、大事な会議やプレゼンなどに悪影響を与えるのは避けられません。
経営者にとっての影響
生産性の低下
従業員一人ひとりのパフォーマンス低下が積み重なり、
チーム全体や会社の生産性に大きな影響を与えます。
経済損失
睡眠不足による経済的損失は無視できません。
たとえば、アメリカでは、睡眠不足が原因で年間約4300億ドル(日本円で約57兆円)の損失が生じているというデータがあります。
日本でもこれに近い影響があると考えられるため、経営者としてリスクを軽視するわけにはいきません。
経営者へのメッセージ:リスクを管理し、健全な働き方を促進する
経営者として、以下の取り組みを行うことで、社員の健康と生産性を守ることができます。
①忘年会・新年会のルール作り
飲酒を適度に抑え、健康的な楽しみ方を推奨する文化を作りましょう。
②従業員教育
アルコールと睡眠の関係について従業員に啓発し、自己管理の意識を高めることが重要です。
③働きやすい環境整備
睡眠不足が生じた場合でも柔軟に対応できる勤務体系を整えることで、
パフォーマンス低下を最小限に抑える仕組みを構築しましょう。
④労働者へのアドバイス:翌日の自分のために節度ある飲酒を
個人としても、翌日の仕事や生活に悪影響を与えないために飲酒量をコントロールすることが大切です。
たとえば、以下のような工夫を取り入れてみましょう。
飲む量を制限し、ゆっくりと楽しむ。
飲酒後には水を多めに摂取する。
早めに飲み終えることで睡眠時間を確保する。
年末年始は楽しいイベントが多い一方で、翌日のベストパフォーマンスを発揮するためには、
お酒との上手な付き合いが欠かせません。今年は少しだけ意識を変えて、
心も体も笑顔で新しい年を迎えてみてはいかがでしょうか?