日本のコーチングの現状<No.10> セッションでコーチは何をみているのか(1)
①コーチングを受けたきっかけ
・ホームページから問い合わせ
②テーマ
・社員の定着率の改善
③期間
・1年間。個別コーチングを月1回。別にグループコーチングも月1回実施。
④コーチング期間中の状況
・社員がすぐ辞める。新規に募集してもなかなか応募がないし、入社しても3ヶ月ももたない社員が増えてきた。原因が給与面と思っていたが、競合会社もさほど変わらない。給与以外に問題があると思いコーチングを依頼した。
・人事部主導でアンケートをとると、「上司の態度が威圧的」、「成果だけ求めて相談に乗ってくれない」、「結果だけ求められて状況についての話を聴いてくれない」、「職場で孤独」など、職場風土に問題があることが分かった。マネジャーは自分が育ったマネジメントスタイルで部下対応している。「部下はマネジャーの意向を汲み、指示通りに遂行するもの」、「成果が出ないのならば残業をしてでも時間をかけて対応するべきだ」、「実績の責任はすべて担当者。出来なければ叱責されて当然だ」などの価値観を持っていて、それを部下に求めている。
・5人のマネジャーを対象に「部下対応」をテーマに個別コーチングを実施した。
・月1回のグループコーチングも兼ねて読書会を開催した。最新のリーダーシップのあり方、部下への関わり方など本のエッセンスを自分の部下にどのように使っていくかを考えてもらい、意識改革をはかった。具体的に「誰に、どの場面で、どのように関わるか?」を毎月決めて行動してもらい、部下の変化を観察して報告しあうことを繰り返した。
⑤コーチングの成果
・部下からの相談が増え、部下の発言が増え、主体的に行動する部下が増え始めた。
・コーチングを始めて数か月後から退職者は出ていない。
・新規採用者も徐々に増えてきている。明らかに仕事にマッチしていない人を除けば、早期退職者もいない状態になった。
⑥感想
・退職する時には、給与面を理由にしているが、本音は職場風土であることが分かった。風土改善、特に社員が日々接するマネジャーの関わり方が大きなポイントであることがわかった。
・定着率を改善したいと思い始めたコーチングだったが、業績向上にもつながっているようで嬉しい。