日本のコーチングの現状<No.10> セッションでコーチは何をみているのか(1)
働く女性が増え、女性社員に責任ある仕事をお願いする場面も多くなってきています。そういうなかで、女性社員との距離感がわからない、どう接すればいいかわからないというマネジャーも増えています。男女ともにさまざまな方々からお話をお聞きしました。うまくいっている例やうまくいかない例などから、女性社員のパフォーマンスを高める関わり方の共通点を整理してみました。
部下への接し方の基本は男女同じ
そこでわかったことですが、仕事上で部下に接する際に留意するべきことは基本的に男女ともに同じだということです。特に女性だからという気持ちで変な気遣いをして、かえってギクシャクすることもあります。またその人のベースにある「女性はこうあるべきだ」という思い込みが影響しており、それが女性社員にとって受け入れられないということもあります。
性別役割分業意識をもたない
基本的に「性別役割分業意識」をもたないことが大切です。体力差や出産に関しては別として、性差で仕事を分けないことです。あくまでも能力によって仕事を依頼する。また、自分の中にある女性観が職場でも無意識的に出てしまう場合があります。とくに「男尊女卑」的な見方が内在化していると、つい上から目線で発言したり、ハラスメントとなる言動が出てしまったりすることがあります。「相手の受け取り方によって、OKな場合がある」とうそぶく人がいますが、これは絶対アウトです。周りで聞いている人にとって不快です。ハラスメントとなる言動はどういうものか、については謙虚に学んでほしいと思います。
性別役割分業の意識をもたない前提にたったうえで、女性は男性よりも感性が豊かな人が多いので気遣うポイントもあります。これは感性の豊かな男性に対しても同じです。主だったところをまとめます。
相手に「安心感」をもってもらう
・仕事を依頼するとき、その仕事の目的は何か、締め切りはいつか、どのように取り組めばいいか、そしてどんなフォローが必要だと思うのか、などを話し合って理解してもらう。特にフォローする内容にズレがないように確認しておく。これはあとで思い違いによる感情のすれ違いが生じないようにするためです。
・指示内容を急に変更しない。相手の仕事の段取りを狂わせない。万が一、環境の変化や会社の意向で指示内容を変更する必要が出てきそうな場合、その前兆が出た段階で「もしかしたら、修正が入るかもしれない。解ればすぐに連絡する」などと早めに伝えて情報を共有しておく。
・上司が最終的に責任をもつという姿勢を明確に出しておくと同時に部下の仕事の責任は自分が持つ。部下の誰かが失敗した時にその部下の所為にしてしまうなどの行為があれば、不信感を抱くようになります。そういう噂はすぐに広がります。
・常に仕事ぶりを観察して声掛けをする。あなたのことを見ているよ、というメッセージを発信する。例えば「頑張っているね」「いつもありがとう」「お疲れさま」「助かっているよ」「その調子」などです。どうも仕事が進んでいない様子だったら「今、どんな調子?」「何か困っていることない?」などとフォローするよ、一緒にやっていこうという協働の姿勢を見せて話を聞く。ただし時にあまり頻繁に声掛けされると「自分のことを信頼していない」と思う傾向をもつ人もいるので、相手によって留意する必要はあります。
→続きは明日投稿します。