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部下のキャリアをマネジメントする事例

原島敏郎

原島敏郎

 以前ご紹介したチームビルディング・ミーティングを実施することでチームを一つにまとめたクライアントさんの事例です。
 現在いい形でチームメンバーがお互い信頼しあっているので、この雰囲気を続けたいと思い、今年の4月に彼は次の手を打ちました。「チームがさらに一つにまとまるためにチームビジョンがほしい。次のチームビルディング・ミーティングのテーマとしてチームビジョンを作りましょう」とチームメンバーに提案しました。チームビジョンは「業績面」と「風土面」が必要です。ともにミーティングまでに全員に考えてもらいました。風土面については工夫が必要でした。皆さんにお願いしたのは「自分の能力を十分発揮していくためには、こんな職場になっているといいな」という要望を同僚に気遣うことなく本音で考える。それをワープロ用紙に打ち込んで、紙に印刷して、筆跡で誰が書いたかわからないようにしてマネジャーに渡す。マネジャーは、出てきた内容をいくつかのカテゴリー分けした資料をつくり、ミーティングでみんなで話し合いました。
 1年後のビジョンとして出来たのが、【業績面】 戦略品目のA製品についてエリア市場でトップシェアとなり社内のモデルチームになっている。【風土面】 互いに批判するのではなく肯定的な表現で支援しあう。(「実績数値が悪い」と批判するのではなく、「活動面で困っていることは何か?」などと質問し支援し合う)
 さらにマネジャーは、全員に「このビジョンを達成するために、一人ひとりのキャリアビジョンは何か」を1週間後のミーティングで発表してもらいました。ビジョンを作る際の基本スタイルは、「全員が成長することで、自分のビジョンとチームビジョンを達成しよう。自分のビジョンの年数は自分で決める。現段階で必ずしもチームと自分のキャリアビジョンが連動していなくてもよい」というものでした。彼らが上げたビジョンは、「エリアマネジャーになりたい」「スペシャリストになりたい」「マーケッターになりたい」「営業以外の○○部署に異動したい」などでした。
 マネジャーは4月と5月にかけて一人ずつじっくり面談して、ビジョンを考えた背景や思いについて語ってもらいました。そして自分のキャリアビジョンに向かってのプランも考えてもらいました(ビジョン達成にむけてこんな勉強をしたい。ここを意識して仕事に取り組みたいなど)。それを6月のミーティングで全員の前で発表してもらいました。
 自分が掲げた立場になりたいのであるならば、まず、自分の今の成果を上げるために真剣に仕事に取り組むこと、そしていつでもその立場になれるように準備しておくことが大切です。
 そしてメンバーは、互いがビジョンに向かって進むことを応援する。批判や否定はしない。承認しあう。その立場になるためには、どんな勉強やスキルを身に着ける必要があるかなど知っている情報を提供する。
 マネジャーもひとりずつ支援する内容を全員の前で宣言しました(マネジャーになりたい人には、自分の仕事の一部を任せる、スペシャリストになりたい人にはその領域のチーム内リーダーになってもらうなど)。部下が抱いているビジョンに向かって全力で取り組むのに今後生じる障害や気がかりなことについてよく把握して、マネジャーとしてできることをしていく約束もしました。
 メンバーにとってみれば、自分の上司は自分のビジョンに理解をしてくれ、さらに支援までしてくれる。同僚であるチームメンバーも応援してくれるわけです。メンバーは自分が仕事で成果を上げていくことが自分の将来ビジョンにつながります。メンバーは安心してチームビジョンと自分のビジョンに向かって自走してくれます。

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原島敏郎
専門家

原島敏郎

有限会社ソリスナビタス

大手企業での長年のマネジャー経験を生かし、マネジャーが陥りやすい考え方や立場上の苦しさなどを十分に理解。マネジャーの上司や部下との関係を調整しつつ、実績を上げられる組織作りをサポートします

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