日本のコーチングの現状<No.10> セッションでコーチは何をみているのか(1)
チーム作りのコツをよく聞かれます。私自身もこれはずいぶん苦労しました。みんな仲が良くて一つにまとまっていて成果も出せるチームを預かっているときには、チーム作りなど意識もしなくてすみます。しかし成果が出ないとか、メンバー間でなぜか連携がうまく取れなくなると、今までうまくいっていた仕事も、チームの人間関係もおかしくなってしまう。
多くのマネジャーの方々をコーチしてわかったことは、チームづくりにはポイントが3つあるようです。まず、マネジャーが「一人ひとりのことを理解して信頼関係を作っている」。2つ目が「メンバー同士にも信頼関係が成り立っている」。そして3つ目が「全員が “チームビジョン”を共有している」。この3つのうち1つでも出来ていないと、チームに“ほころび”が出て来る可能性があります。
1つ目のマネジャーが部下一人ひとりを理解することで部下との信頼関係をつくっていくことは、今まで部下を理解する重要性を書いてきました。2つ目のメンバー同士の信頼関係は、メンバー同士の情報共有がスムーズおこなわれていれば簡単ですが、なんらかの行き違いが起こって連携がうまく取れなくなるとチームワークにほころびが生じ始めることがあります。
チームメンバー間の信頼関係は、そのメンバー同士の問題かもしれませんが、チームワークに支障をきたしチーム全体の成果に影響を及ぼすことがあります。そうなればマネジャーの責任になってきます。メンバー同士が信頼しあい連携しあって仕事をしているかどうか確認していく必要があります。メンバー同士が連携していく環境づくりを心掛けることもマネジャーの仕事です。そのためにマネジャーが意図的にチームづくりを“仕掛ける”必要があります。