日本のコーチングの現状<No.10> セッションでコーチは何をみているのか(1)
マネジャー向け研修を開催したときによく「部下の知っている度チェック」を実施します。それはマネジャーが自分の部下のことをどのぐらい知っているかを確認するチェック表です。チェックする項目には、趣味や特技、休日の時間の使い方などのプライベートなものから、この会社に入社した動機、この会社でやりたいこと、仕事上の強み、得意とする分野、気がかりなど仕事に関するものを20項目並べ、知っていればチェックしてその内容を記述してもらうものです。研修ではご自身の部下数名について書いてもらうことも、部下全員について書いてもらうこともあります。今まで5,000人以上のマネジャーの方々を対象に行ってきました。
今まで実施して、3人以上の部下をもつマネジャーで、ほぼ完璧に自分の部下について書けた人は、5,000人中ほんの数名でした。この方たちはすごいと思います。書けた方々の共通点は、自部署に3~5年在籍されていて、持ち上がりでマネジャーになっていました。そしてマネジャーになる前から皆とよくコミュニケーションが取れていて、全員と協力的に仕事をしていました。さらに話を聞くと、部下同士も理解し合っているので、互いが尊重し合っているので、仕事上の意見は互いに言いたいことを言っているが、わだかまりはない。いいチームを作っていました。
その他のほとんどの方々には一つの傾向がありました。書ける欄に偏りがあること。ある人たちは、プライベートの項目についてはしっかり書けるけど、仕事に関する項目についてはあまり書けない。ある人はその逆で、仕事に関する項目についてはある程度しっかり書けるが、プライベートについてはほとんどかけない。あるいは、Aさん、Bさんについてはほぼ全項目書けるけど、Cさんについてはからっきしかけない。もちろん中には全般的にほとんど書けない人もいました。
新任マネジャーが最初にする部下への関わりは、プライベートについても仕事に関することについても、部下のことを様々な角度から知りそれを記録しておく。それを蓄積して部下のデータベースを作っていくことでしょう。