日本のコーチングの現状<No.10> セッションでコーチは何をみているのか(1)
この4月にマネジャーになった方から相談を受けました。
その人は営業職で、今まで担当していたエリアのまま、持ち上がりでマネジャーになったそうです。「今までの上司から引継ぎをしっかり受けましたので、報告書などの作成や上位方針の伝達など“最低限やるべきこと”はできそうですが、常に目標達成できるチームにしていくにはどうしたらいいでしょう?」という質問でした。
私は、「どんな雰囲気のチームにしていきたいですか?」という質問を投げかけてみました。彼は、「今までの上司は結構厳しくて、指示命令が徹底している。みんなに有無をいわせず指示に従わせていた。実績は毎年達成しているので会社から評価されていた。しかしみんなが疲れ切っていて、雰囲気はなんとなく暗い。他のエリアでは、活気があって実績も上がっているチームもある。なんとかチームの雰囲気を明るくしたい。」
“理想のチーム像”と“目指すマネジャー像”を聞きました。彼の発想が止まった時には、「モデルとなるチームではどんな会話が飛び交っていて、そのチームのマネジャーはどんな行動をしていた?」。「どんな雰囲気のチームなら、楽しく積極的に仕事ができるだろうか?」。「今までに出会った“いいマネジャー”と思う人がどんな行動をしていた?」など、“間”をおきながら質問して、意見をたくさん語ってもらいました。
出来上がった“理想のチーム像”と“目指すマネジャー像”に向かっての行動を決める前に、「マネジメントの基本的な知識」がほしいという要望なので、多少レクチャーすることになりました。
私は今まで200人以上のマネジャーの方々にコーチングをしてきました。そのなかで、うまくチームをまとめていたマネジャーの方々の“考え方”や“やっていた行動”をヒントになるかと考えて、それをお伝えすることにしました。これからここのコラム欄で少しずつご紹介をしていきたいと思います。