「ジャケット着用」などのドレスコードは本当に守らなきゃいけないの?
「タック・イン」とは?
1894年のUSGA(全米ゴルフ協会)の設立以降、アメリカ全土にゴルフが広まるにつれ、それまでのゴルフウェアであったスーツから、ジャケットが脱ぎ捨てられ、ネクタイがはずされ、シャツの袖が切られ、軽装でのゴルフが流行るようになりました。そこで、危機感を感じたUSGAは、「せめてシャツの襟だけは残そう」という服装規定をつくりました。
それが、世界的にゴルフの服装規定の定番となっている
「Men must keep their shirts tucked in at all times.」
《男性はいつでもシャツの裾(すそ)を(ズボンの中に)たくし込まなければならない。》
いわゆる「タック・イン」です。
この「タックイン」については、襟(えり)付きの規定のように「いつからこうなった」など明快な理由を見つけることができません。ただ、世界中の多くのゴルフ場で「襟付きシャツ」と同じように「タックイン」がドレスコード(服装規定)に盛り込まれています。
なぜ世界中で「タックイン」が定められたのでしょうか?
シャツの裾をズボンなどの中に入れる着こなしである「タックイン」に対して、シャツの裾をズボンなどの外に出す着こなし「タックアウト」といいます。これらはファッション界の用語です。ゴルフから一旦離れて、ここではシャツの歴史から少し考えてみたいと思います。
シャツの歴史から見る「タック・イン」との関係
シャツの起源は、古代ローマで着用されていたチュニックに遡るとされています。チュニックは、映画「テルマエ・ロマエ」で見られるような頭から被る、現代で言うワンピースのような形状の衣服でした。それがだんだんと変化していくことになります。
ヨーロッパ中世期には、ボタンや襟(えり)、袖口などが付加されるようになり、現代のシャツの形状に近づいてきました。当時、シャツを着用できるのは上流階級に限られていたそうです。現在のシャツ(ワイシャツ)と呼ばれている前ボタンで身につけられる男性用の上衣はルネッサンス期の16世紀までに考案されましたが、当初は下着でした。
膝まで丈があり、シャツの裾はズボンの中に入れ込み、下履きを兼ねて着用していました。シャツの背中側の裾を、股下を通して腹側に回し、ウエストに巻きつけた裾と合わせて留めるという、シャツとフンドシが一体化したかのような使い方が一般的でした。フランス語で下着を意味する“シュミーズ”は、男性の場合は今でいうワイシャツを指します。当時のワイシャツは、肌着や寝間着として用いられていました。1930年代にブリーフ、トランクスができるまで欧米人の下着は、ズボンの下にモモヒキをはくか、何もはかないかのどちらかで、ワイシャツの裾がパンツ代わりとなっていました。
下着だったころのシャツは、後身頃のシャツテールの先にボタンホールがあり、前身ごろのテールの先についたボタンをかけて留めていました。ワイシャツの両脇が短く、前と後ろだけが長く垂れていて、一番下のボタンが余っているのはこの名残です。現在はボタンを紛失したときの予備として使うことが多くなっています。
このように、シャツの裾の前と後ろを、股の下でボタン留めしていたため、「シャツの裾はズボンの中に入れること」が当たり前とされていたのです。そのために裾をズボンの外に出すことは、カジュアルの場であっても非常にみっともないことと長らく考えられてきました。
つまりシャツとは、元来「タック・イン」するものだったのです。19世紀後半、イギリスから世界中に広まったゴルフでも、「タック・イン」することは当たり前のことだったのです。
20世紀に入ると、多様な用途にシャツが用いられ、それに応じて、ポロシャツなど様々な種類のシャツが誕生しました。
現在でも正装時のドレスシャツやビジネスシャツなどでは「タック・イン」が当然となっていますが、現代ゴルフの定番シャツであるポロシャツなどカジュアルシャツの場合、「タック・アウト」でもいいのでしょうか?
ゴルフ界での「タックイン」問題
ファッション界では、「ケースバイケース」、「ジャストサイズが基本」、「清潔感・きちんと感が大切」という様々なポロシャツの着こなし論があります。
ゴルフ界のみならずファッション界でも、着こなし論で“クラシック派”と“モダン派”の対立がしばしば見られ、ポロシャツの「タック・イン問題」もその中の1つとなっているようです。
現在のゴルフウェアの状況、そして世界中の各ゴルフ競技やゴルフ場のドレスコードから見てみると、「タックイン」問題については、それぞれで定められた規定の遵守が原則となりそうです。
歴史的背景から見て、「タック・イン」が原則ではあるけれども、全てが「タック・イン」で統一されるというわけにはいかないようです。
世界中の多くのゴルフ場のドレスコードは男性を前提としており、上記の歴史的背景から原則“クラシック派”の「タック・イン」規定が盛り込まれています。
しかし、現在「タック・アウトOK]のゴルフ場が増えてきました。また、男性と女性のドレスコードを区別して規定されているゴルフ場もあります。
さらに、「タック・イン」を前提とする“クラシック派”の男性プロ競技のドレスコードに対して、「タック・アウトOK」、「ヘソ出しOK」、「TシャツOK(条件付き)」の“モダン派”の女性プロ競技のドレスコードが定められたように、現状では競技団体によっての違いも出始めています。
ゴルフ関係者並びにゴルファーの皆様へお願いです
ゴルフ場でゴルファーの皆様に、なぜ「タック・イン」でないといけないのかを明快に答えることができる人は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか?
私も当然ながら全く知りませんでした。
「タック・イン」を規定されているゴルフ場の皆様におかれましては、このような「シャツ」の歴史的背景があるということを理解していただいた上で、規定が遵守されるように努めていただきたいと思います。
若い世代を中心とする多くのアマチュアゴルファーの皆様は、流行などから自己判断で「タック・イン」「タック・アウト」を決められている方が多いのではないでしょうか。
個々で判断する前に、それぞれのゴルフ競技やゴルフ場のドレスコードを確認し、規定に沿った服装でプレーされるようにお願いします。その上でゴルフウェアのおしゃれを楽しみましょう。
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