ゴルフで「メンタルコントロール」を身に付ける
“後始末”の大切さ
“後始末”と聞いて想像するのは、子供の頃におもちゃで遊んで散らかした時、親から「きちんと後始末しなさい。」と言われた経験ではないでしょうか。このような後片付けを思い浮かべたのではないでしょうか。
昔から「立つ鳥跡を濁さず」「勝って兜の緒を締めよ」など、人は物事がスムーズに進むと、つい気を抜いたり、最後の詰めが甘くなったり、 確認を怠ったりして、逆に失敗を招いてしまうことがあります。
そういった失敗を防ぐために、昔から“後始末”の大切さが様々に語り継がれています。
“後始末”と“前始末”
現在のビジネスシーンにおいては、「“後始末”よりも“前始末”が大切」と言われることがあります。
"後始末"とは、労力をかけて元通りにする、いわゆる“原状回復”をするということです。仕事における“後始末”という言葉には、トラブル対応やクレーム処理など「上手くいかなかったことを事後に始末する」というネガティブ・イメージがあります。
これに対して"前始末"とは、仕事を事前準備と段取りで“後始末”を起こすことなく進めていき、やりきるまでを指す言葉とされています。
イトーヨーカ堂の創業者伊藤雅俊氏は、著書『商いの心くばり』の中で、「失敗の“後始末”とは別に、失敗しないための“前始末”というのも大事ではないかと思います。失敗を極度に恐れる必要はありませんが、失敗せずにことが運ぶにこしたことはないからです。」と述べられています。
ゴルフで求められる“後始末”
ゴルフは一打ごとに“後始末”をしながらプレーするゲームです。
ゴルフクラブで、芝生の上にあるボールをフルスイングして、芝生がえぐられて凹んだディィボット跡。この“後始末”をするかしないかで、他のゴルファーに歓迎される人かどうかが分かります。
凹んだまま、目土されることなく放置され、“後始末”がされなかったディボット跡に、後からくるゴルファーのボールが入ったら、ルール上、そのまま打たなければなりません。ボールを動かすことはできないのです。
また芝生は生き物、たしかにえぐられたところは、下からまたは周囲から芝生が伸びてきます。ただし地面は凹んだまま。その箇所だけ芝生は深くなってしまいます。
町や電車内での空き缶の放置、タバコの吸い殻のやガムのポイ捨て、海や行楽地での弁当の空き箱や紙くずの放置。これらと同じことがゴルフ場でも起こっていると言えるのです。
ゴルフ場での問題はさらに深刻です。なぜなら、これら町などで起こっていることを「ひどい人がいるもんだなぁ」と嘆くにもかかわらず、ゴルフ場では自分自身が“後始末”をしていないのです。
その典型が、ディボット跡の放置であり、パッティンググリーンの自分がつくったボールマークを修復しないことや、自分がつくったバンカーの足跡、打った跡をレーキで均さないのも同じことなのです。
ゴルフでは“後始末”を忘れるだけでなく、“後始末”をすることを知らない人も数多くいます。
ゴルフプレーで普段から“後始末”をしている人、または“後始末”の方法を知っている人は、周囲の“後始末”をしていない人、知らない人に「後からくるゴルファーのために“後始末”をしよう」と声を掛けて欲しいと思います。
日常の「今すぐやる」習慣はゴルフの“後始末”で身に付けよう!
家の中や仕事では、“後始末”の必要性に気付いているはずです。
“後始末”をしないと家の中は片付かないし、“後始末”をしないと、次の業務に影響がでるかもしれません。
自分だけではない共有空間では“後始末”の気が緩みます。
路上や駅、電車、行楽地でのゴミのポイ捨て、ゴルフ場でのディボット、バンカー、ボールマークの放置、さらには、洗面台やトイレの汚しっぱなし、風呂場の桶の置きっ放し、使ったタオルの放置などなど、すべてが同じです。
本人は快適なのかもしれませんが、“後始末”をしないために、必ず後の人が不快な思いをしていることに気付かなければなりません。
「立つ鳥跡を濁さず」で、迷うことなく“後始末”は「今すぐにやる」という習慣を身にをつけたいものです。
参考文献
「ゴルフはマナーでうまくなる」鈴木康之/日経ビジネス文庫
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