ゴルフ場の“芝焼き”について
ゴルフコースの設計上、パッティンググリーンの様々な形状によって名称がそれぞれに付けられています。
ゴルフコース設計について書かれた「ゴルフコース好奇心」(マサ・ニシジマ著)という書籍から紹介させていただきます。
オルタネート・グリーン(ALTERNATE GREENS)
日本の多くのゴルフ場で見ることができる「1ホール2グリーン」及び「サブグリーン」。この「1ホール2グリーン」にも「オルタネート・グリーン」という名前が付けられています。
各ホールがメイン、サブの2グリーンからなる日本に最も多く見られるスタイルですが、1960年以前はアメリカでも採用されていました。メンテナンス上から生まれたアイデアですが、単純に2つのグリーンをメガネ状に並べてセットされたようなコースの評価は、あまり高くありません。
マルチ ティアレッド・グリーン(MULTI-TIERED)
一般的にいう2段グリーンや3段グリーンのことです。
グランドレベル・グリーン(THE GROUND LEVEL)
フェアウェイに対して、グリーンが同じ高さにあるもの。オーガスタ・ナショナル ゴルフクラブの設計者アリスター・マッケンジーは、このグリーンを基本としたそうです。
ティルテッド・グリーン(THE TILTED GREEN)
プレーイングゾーンから見て、グリーン面が受けているもので、日本でいう「受けグリーン」のことです。設計上では、ガードバンカーとの兼ね合いで、グリーンの全面部分が、左右のどちらかに傾斜しているものが良いとされています。
フォールアウェイ・グリーン(THE FALL-AWAY GREEN
ティルテッド・グリーンとは反対に、グリーンの面が中央部から奥に向かって下がっているものを言います。日本ではあまり見かけませんが、英米のコースでは多く見られるそうです。設計上、ティーインググラウンドやフェアウェイのプレーゾーンから、グリーンの傾斜が確認できることが望ましいとされています。
プラトー・グリーン(THE PLATEAU GREEN)
アプローチエリアより高地にセットされたグリーンのこと。日本では一般に「砲台グリーン」と呼ばれています。この種のグリーンは様々なスタイルがありますが、高台にあるため、グリーン面が見えにくいものが、その条件を満たしていると言われています。
パンチボウル・グリーン(THE PUNCHBOWL GREEN
グリーン周辺の地形の起伏が、そのままグリーン面に流れ込み、四方のエッジがグリーン中央部よりも高い位置にあるため、全体がすり鉢状のように見えるグリーンのことです。
アイランド/グリーン(THE ISLAND GREEN)
池や砂地の中に浮島のように造られたグリーン。プロゴルファーたちに「悪魔のゴルフ設計家」と呼ばれる有名なコース設計家ピート・ダイ(1925年~)によって一躍広まりました。
ポテトチップス・グリーン(POTATO CHIPS GREENS)
グリーン上を複雑なアンジュレーションになるように造成した結果、ポテトチップスのような形に見えたことから、この名称が使われるようになりました。
馬蹄型グリーン(HORSE-SHOES GREEN)
溝やバンカーを左右または前後に囲む「蹄鉄」に似た形状のグリーンのことで、イギリスのリンクスコースで、グリーンを拡張していったことから、結果的にこのようなスタイルとなりました。その後、グリーンセンター部分がフラットだと。直接ホールを狙えず、最低2パットになってしまうということで、センター部分を高くして、左右のどちらに落ちたボールも1パットの可能性を作り出すようにしました。
ダブル・グリーン(THE DOUBLE GREENS)
セント・アンドルーズ ゴルフクラブのオールドコースが起源と言われています。2つのホールで1つのグリーンを共有するコースレイアウトのこと。つまり、1つのグリーンにホールが2つあり、それぞれのホールを別々のパーティが同時にプレーします。当然、グリーンは巨大で、基本的にはお互いのプレーは干渉しないようになっています。
古いタイプのリンクスは、海岸線に沿ってホールが連なるレイアウトになっていることが多いため、前半と後半が折り返しで、ホール同士が隣り合わせになっています。これによりグリーンを共有するこのシステムが生まれました。セント・アンドルーズ ゴルフ
クラブのオールドコースでは18ホール中、実に14ホールまでが「ダブル・グリーン」となっています。
日本のゴルフ場にもその地形や造られた年代によって、様々なグリーンの形状が存在します。ぜひ、パットのラインだけでなく、それぞれのグリーン全体の形状も見ながら楽しんでみてはいかがですか?
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