話し合いの効能
よく、「夫が嘘をつく」と悩まれる相談者がいます。
人間は大なり小なり、嘘をつく生物なので仕方がないのですが、嘘にも色んな種類がある事を、まずは認識しましょう。
例えば、妻が。
「今夜何時頃に帰って来る?」と聞いたとします。
夕飯の段取りやメニューを考えるに当り、夫が今夜、家で夕飯を食べるかどうかも含め、帰宅時間を聞く事はよくあります。
これに対して、普段から聞く事が習慣になっていたり、夫婦間に特に何も問題が無ければ、素直に「何時頃に帰る」と答えてくれたり、「ちょっと、まだ分からないから、またLINEするよ」と言うのが自然な流れです。
しかし普段から、ご主人が仕事終わりに、よく同僚と飲みに行ったりする事に不満を溜めている妻がいるとしたら、飲みに行くこと自体が否定されていると感じて、つい、「分からない」と胡麻化しがちになります。
そして結局、飲みに行く事になっても、後ろめたさから、連絡を入れなかったりすると、「遅くなる時は連絡するって言ったじゃない」と約束を破ったとか、嘘をつかれたと妻は感じてしまいます。
【嘘と言うより、ルール破り】
妻は家事の段取りとして、連絡を入れるのがルールと考える妻に対し、そもそも、仕事終わりに、飲みにいくかどうかは、答えられるはずがないというのが夫の本音です。妻は夕飯のメニューを決める事が質問の意図であり、夫の返答の基準は、朝の段階で、退社後の事は決められないという事です。
つまり、妻は段取り型の人間で、夫はフィーリング型の人間です。
ここで私も女性ですから、妻の気持ちはよく分かるのですが、同時に仕事もする私としては、夫の気持ちも変わります。
こんな風に、夫が連絡しないという事を「連絡すると約束したのに、嘘をついた」という感覚になると、夫に対して怒りが生まれます。
でも、ここには温度差があります。
嘘と言う決めつけはちょっと、きびしすぎるのですが、嘘にも色んな種類があります。
【嘘にも色んな種類がある】
その場逃れの嘘と、相手を騙してやれという嘘があります。
後者の方は、発展していくと詐欺師のやり口になりますが、夫婦間の嘘はその場の雰囲気で話している事が多く、そこまで罪の意識はありません。
つまり嘘をつこうという事が目的ではなく、結果的に嘘を言ったという事です。
それに対し、「嘘をつかれた」と考えるのは、本題の夕飯のメーニューの事は そっちのけで、やや大げさですが、妻が被害者、夫が加害者的な立ち位置になってしまいます。
それは、往々にして日頃の夫婦の関係性が影響している事が多いのです。
例えば、夫の帰宅時間が日頃から遅くて、不満を溜めこんでいる妻の場合は、悪感情が夫に対して、約束を強いがちになります。
まして日頃から帰宅が遅い理由が、浮気の疑いだとしたら、尚更です。
要は、帰宅時間の確認ではないけれど、今夜は浮気相手と会わないよね?の確認です。
そして、ここで気づいて欲しいのですが、妻の質問は、本筋とはズレていて、まともに聞けないから、帰宅時間という遠回りな質問をしているという事になります。
ここを妻が自覚すれば、夫が嘘をついても、その事自身は、あまり罪の意識がないという事が理解できるはずです。
つまり嘘をつくというのは、相手を騙してやれ、貶めてやれと言う事ではなく、「正直に答える答えが見つからない」から
違う角度で答えてしまう、と言う事に過ぎません。
しかしこんな回りくどい、奥歯に物が挟まったような質問は、夫も答えようがないという事で、お互い様みたいなものなのです。
お互い、腹の探り合いは止めましょう。
でも、もっと悪いのは、相手の気持ちを考えず、ドストライクに傷つく言葉はもっと、よくありません。
最初は話し合いのつもりでも感情が高ぶり、つい、相手を責めてしまうような事を言ってしまう・・・・
話し合いをしても、感情を抑えられず、結末がこんな風になるなら話し合いの意味がありません。
と、言う事で、会話一つも、浮気問題が根底にあると、夫婦は正直には会話が出来なくなります。
ここで会話がスムーズに出来ないからと言って、「夫婦のコミュニケーション」の問題にすり替えるのはちょっと、違います。
夫婦の溝になっている原因が夫の浮気だとしたら、そりゃ、妻に面と向かって会話できるはずがないし、何なら、会話は避けたいと逃げ腰です。
【夫が話し合わない理由】
貴女の不安を夫にぶつけたくても、不倫や浮気をしている夫が、妻に真正面向かって、話し合いをする訳がないのです。
だから、話し合いで解決をしたくても、恐らくご主人はテーブルにはつかないでしょう。
では、どうしたら、話し合いが出来るかと、たずねたくなる気持ちはわかります。
でも、逆に 私も妻の貴女に、聞きたいです。
何故、そんなに話し合いがしたいのですか?
話し合いでは、浮気問題は解決しないというのが、私の見解ですが、それでも話し合いを望む理由は何でしょうか・
その答えは人それぞれかと思いますが、冷え切った夫婦の間に、話し合いというコミュニケーションを取りたいという方もいるでしょう。
中には、話し合いの結果、謝って貰いたいと思う方もいるでしょう。
謝るという事は、そこで、次への努力を約束するようなものですから、妻に謝罪してもらいたいという暗黙の希望があるのでしょう。
しかし、暗黙と言う事を言うなら、ご主人側にも、言葉には出来ない暗黙の希望があります。
これは決して、許される事ではないので、口にする事はありません。
夫側が、妻に浮気がバレたとしても、直ぐに浮気を止めるとは思ってないのです。
それでも、話し合いを妻としたら、嘘でも「浮気相手と別れる」と約束をせざるを得なくなります。
これが、夫側には分るのです。
だから、話し合いのテーブルに着かないのです。
【男性は話し合いを好まない】
妻に浮気がばれたら、浮気相手と別れる
妻に浮気がバレたら、妻に謝罪する
これら、全て、妻が決めたルールブックであり、妻が望む理想形です。
何なら誤解なのです。
そこを、無理に話し合いをして約束をさせても、夫側は心から、妻に誓っているのではないのです。
でも、口に出した途端にそれは、約束になり、誓わされるのです。
そうした無理のある約束を破られた、と大騒ぎする前に、そもそも、浮気そのものを、終わらせないといけないのです。
それなのに、浮気を終わらせる儀式を飛ばして、約束だけを取り付けたい・・・・・
これが、貴女が望む「話し合いの目的」です。
ね?ここでも話し合いで、浮気問題を解決しようとしている事が見え隠れしませんか?
私は常に、コラムで書き続けているのは「浮気問題は話し合いでは解決しない」です。
【言葉はあてにならない】
言葉はあまり頼りになりません。
話し合いで、約束をしてもらっても、無理くりに取り付けた約束は、その場逃れの事だと知って下さい。
夫から、口で「浮気相手と別れた」或いは「浮気はもう既に終わった事」と言われても、所詮は確認出来ません。
大事な事は、確認です。
でも、こうした事を夫婦で話し合いをすると、ご主人が司会者の様に、場を仕切り、自分のペースで素早く退席します。
または、妻が司会役になったとしたら、逆に、夫に約束させる事が当然と考え、約束をさせる事に急ぎがちです。
こうして、どちらが、話し合いを進行させても、着地点は、間違ってしまいます。
と、言う事は 浮気問題を話し合いで片付ける事は無理だという事を知らないからなのです。
【別れは簡単ではない】
浮気相手と別れるという事は口で言うほど簡単ではありません。
まして、浮気をしてしまい誘惑(浮気相手の誘惑ではなく、倫理的なルール)に負けた本人が、自分の意思で浮気を終わらせる意思の強さは備わっていません。
その人が、妻にバレたからと言って浮気相手と別れる程、妻に対して誠実ではありません。
そういう意味で、浮気問題を終わらせる事は、至難の業。
それを、夫の「浮気相手と別れた」という言葉を鵜呑みにせず、少しは疑ってみるべきです
信じる事は、美しい事かもしれませんが、疑う事も大事な判断です。
少しは疑ってみて、黙って確認する事が必要です。疑問は、口に出した途端に、それを否定されます。
浮気相手と別れたかどうか、なんて、聞いて答える事ではありません。
いや、逆に、聞けば「別れた」と言うしかありません。
大事な事は夫に聞くのではなく、夫に告げず、妻が自分自身で確認してみる感覚が一番大事です。
では今日はここまで。