離婚問題に強い弁護士
とてもざっくりしたい表現ですが、そんな風に相談者から聞かれる事は・・・・・・
案外少ないのです。
むしろ、相談に来る方は、離婚も視野に置いてるという気持ちで相談に来られます。
でも、色々話を詰めていくと、実は離婚は避けたいという気持ちしか私には見えてこないのです。
しかし、相談者は「離婚をしたら今の苦しみから逃れられるかも?」と考えています。
確かに、離婚をすると、夫の浮気問題で苦しめられる事は無くなるのですが、それとは別の種類の
苦労が待っています。
特に、子供が幼い場合は、夫婦の貯蓄もそれほど無い訳ですから、離婚の際、財産分与で貯金を分けてもしれている訳です
だから。余程、実家からの応援や、夫からの多大な慰謝料が払われない限り、離婚をしたら経済的な苦労が始まります。
それは今の精神的苦悩とは、別の種類のものですが、要するに離婚をしても、種類の違う困難は待ち受けているのです。
でも相談者の多くに共通する事が一つあります。
それは夫から離婚を言い渡されたというケースの場合、夫が告げた「子供達にはちゃんとするから」と言う言葉を養育費は きちんとしてもらえると信じていませんか?
夫婦が浮気問題を巡って、諍いをして、夫婦関係が破綻をしたかもしれないけれど、夫が子供達までは裏切るはずがないという信頼をしたい気持ちはよく分かります。
でもね、傷口に塩を塗るような事を言いますが、新たな生活が始まれば、そちらの生活が中心になります。
万一、ご主人が再婚でもして、サラリーマンだったとしたら、皆、自分の暮らしで精いっぱいになります。
だから子供達に十分の事をしてやりたいという気持ちはあっても現実的には、厳しいものです。
中には若いご主人なら、再婚でもしたら、そちらで、子供を授かる事もあり、残してきた子供達よりも目の前の子供達に生活の比重が重くなります。
そうなると、養育費の減額請求が起きたり、悪質な場合は、立ち消えになったりします。
そういう意味で、やはり、離婚という選択は、精神的な開放はあっても、暮しと言う不安は、始まると言っても過言ではないのです。
私がよくいう言葉で、「人はパンのみに非ず」と言う聖書の中の言葉があります。
人生は生活だけではなく、心や気持ちを大切にしていこうという事ですが、正直言って、生活が成り立たないと、精神的開放もあるはずがない。
と、いう事で、貴女が離婚を言う事を考えた時に、一番最初に浮かんだ言葉・・・・どうやって生活すればいいか?の問題は、最初にぶつかる事で、貴女の心配はそのとおりなのです。
だから生活が何とかできて、子供も貴女が引き取れるのなら、苦痛をこらえて結婚生活を続ける事もありまりませんが、食べていく事すらできるだろうか、という風なら、やはり急いで離婚をするのは、賛成しません。
そう言う事で、離婚の際の約束として、夫が、離婚後も子供達の事をきちんとする、と言う言葉は
額面どうりに取っては危険です。
その時点は確かに、そう考えている事は間違いなくても、そういう時には「今はそう思っている、今は」という事に過ぎないのです。
つまり、嘘ではないのです。
その時そう思った、という事です。
だから、その言葉の意図する所は、離婚後もちゃんとするということで、離婚を抵抗なく妻に承諾させたいという事です。そうして離婚の駒を一コマ進めるという事です。
だから離婚後も生活はちゃんとできると考えるのは大間違いです。
人は変わる。
事情も変わる。
環境も変わる。
その時、そう思っていても、思いも変わるのです。
だから離婚後もきちんとすると言っている夫は、何もその時点で嘘を付こうという気持ちはありません。
貴女方が結婚した時に、まさか夫婦にこんな日が来るとは思っていなかったように、思わぬことは起きるのです。
だから、今の言葉を全て鵜呑みにするのではなく、かといって約束させた誓約書を取り付けたからと言って、その約束が、未来永劫、変わりなく守られる訳ではないというくらいで緩く考えましょう、
とにかく離婚はいつでもできます。
「離婚したら気持ちが楽になるかなあ」なんて風に考え、離婚ありきで離婚を先に決めてしまうと
離婚がスムーズに運ぶような条件を散りばめられてしまいます。
離婚をする為に決められた条件は離婚をしたら。その山を越えてその熱量は失い、数年したら、約束を破られる事は多々あります。
結婚した時には、健やかなるときも、病める時も汝を愛すと約束は、破られるのが浮気です。
そんな風に約束は破られる物なのです。
それなのに、「子供の事はちゃんとするよ」という夫の言葉を、そんな簡単に信じていいものでしょうか?
じゃ、そんな不誠実な、心変わりをした夫と、再び一緒に生活をしていく事は無理という気持ちもあるでしょう。
でもね、夫婦を結び付けている接着剤は、何も信頼感だけではないのです。
時には、信頼を大きく裏切るような事も一生の内では起きたりもします。
だから離婚を決意する時は「離婚した方が気持ちは楽かな」という程度の事で決めてはいけないと思うのです。
離婚をする時は、夫の言葉は信じられないというくらいのドライな気持ちで決意するくらいがちょうどいいのかもしれません。
では、今日はここまで。