虚と実

テーマ:ムラコシズム、つぶやき

真実の愛って何なのでしょうね。
私の知人で、昭和の良き時代、ダンスホールのダンサーをしていた女性が居ました。
ソシアルダンスの全盛期で、彼女は踊りはあまり上手ではありませんでしたが、愛想の良い、ウィットにも富んでいたので、ある会社社長のお妾さんとして、祇園に気軽な小料理屋さんを出させてもらいました。
バブル期でもあり、板さんを置き、彼女は女将として店を切り盛りしていました。
やがてバブル期を終え、その頃、店を出させてもらった旦那様も高齢となり、社長業を退き、息子さんが引き継がせました。
旦那さんも、お小遣いでは、お妾さんをかこうのがむつかしくなり、彼女は一人で生きていくために
京都の下町まで下って来て、一人でも出来る気軽なお好み焼き屋に商売替えをしました。

そんな中、旦那様が病気になり、入院している人の噂を聞いても、ご家族がいつ見舞いに来るか分からない中、
病院には簡単には見舞いに行けず、遠慮をして過ごしました。
ただ、時々旦那様も、彼女に会いたかったのでしょう、当時の彼女も含めてよく、旅行やゴルフに行っていた
共通の友人が、彼の奥様が絶対に見舞いに来ない日に彼女を呼び、病室でデートという粋な計らいをしてくれました。

やがて、旦那様は亡くなり、葬儀の知らせも人づてに聞くのですが、ここでも行くわけにはいかない。
既に40年以上の二号さん生活で、恐らく彼の妻も知ってはいただろうけれど、昔は分際をわきまえるという
彼女も彼の妻も、大騒ぎはせず、そういう生活を、無言で認め合っていたのです。

そして最後のいよいよ最期の末期だと聞き、彼女は居ても立ってもいられない気持ちでしたが
そんな時こそ、病室には家族がいっぱいなので行けないまま、遠くの空を眺めながら、気持ちの中だけで、
彼を送りました。

今は その彼女も年老いて、今は施設に入っています。
私が見舞いに行きたいと望んでも、彼女は老いさらばえた姿を見せたくないと
気丈に誰の見舞いも受け付けません。

彼女は子供も産まず、彼の接待するお客様を迎えられる店を切り盛りし、彼に一緒を捧げました。
何も見返りを求めない潔さ。

彼と会える日を楽しみに、お店をきりもみしましたが彼を失ってからは、おまけの人生だと言ってました。

もし結婚と言う制度が、「実」だとすると、彼女の日陰の身である生活は「虚」です。
でも見方を変えると、心だけでしかつながっていない生活は、ある意味彼女の生活が「実」であり、仮面夫婦をしていた彼の奥様との生活は「虚」なのかもしれません。

でも、虚でも実でも、本当はどっちでもいい。
奥様の気持ちを考えると、愛する夫のお遊びを分からないはずがない。それを許していたか、同課は分からないけれど、男性って、そういう時に、浮気相手には、不安にさせまいとして、自分の家庭は冷めきっていると言ったりしますが
それでも、家庭には子供がいて、子供が育って行っているのです。彼はその二号さんの為を思って、自分の家庭が破綻しているように言いますが、それは二号さんの為ではなく、本当は自分がそういう二重生活をしたいが為の、自分への言い訳です。
彼女を失いたくないというよりは、自分の浮気を続けたいというのがぶっちゃけの所です。
彼女と会う時は家庭が上手く行ってないという演出をするのは、浮気を正当化させる為の言い訳です。
そりゃ、上手く行きませんよ、本来は家計に入るお金を、浮気と言う遊びに使っているのですから、家庭も喧嘩が起きても不思議じゃない。
それを、夫婦は終わっているとか、俺は寂しいんだ、とか、妻からは冷たい扱いを受けていると言ったって、長年浮気をしていたら、奥様だって、馬鹿じゃない限り、浮気を苦々しく思っていたはず。
それを「俺たち夫婦は終わっているんだ」と、寂しい演出をするなんて卑怯だと思いますが、昭和の男は
それなりに責任を取って、彼女を一生養いましたから、現代の浮気とかとは、ちょっと違いますよね。

浮気相手の立場から見たら、彼の家庭は子供の為にだけ維持されている偽りの夫婦に見えるかもしれませんが、彼女は多くは求めませんでした。彼も将来を一切約束したり、結婚をちらつかせたりしませんでした。
だから、彼女にも、ある意味覚悟が出来たのかもしれません。
それが、不倫関係という答えです。

私は彼女に女の潔さを教えてもらいました。
とにかくグズグズ言わない。見返りを求めない、彼の生活に入り込まない、彼の人生の登場人物になろうとしない。

彼女はあくまでも、黒子の生活を生きた人です。
黒子が自己主張をし始めた途端に、その不倫は終わりです。
それでも、彼女を登場人物として扱おうとする彼がいるなら、不倫も本物の愛に変わるかもしれませんが、
彼が彼女の登場を許さなかったり、彼が自分の都合で時間稼ぎをしようとしたなら、彼は自分の事しか考えてないという事です。
そうなると彼女はいっぺんに、都合のいい女として扱われる事になったでしょう。

不倫は、する方にも、される方にも覚悟が要ります。
そして元々は許されない形の、偽りの愛なのですから、本物を求めてはいけないんじゃないかな。

私は仕事柄、不倫を応援する気持ちはありませんが、彼女の生き方を見て、ある意味格好いいと思いました。
私に水商売のイロハを教えてくれたK子ママ。
私は彼女に会いたいですが、彼女は、今は病身で誰とも会おうとしません。
まるで、旦那さんの真似をしているように、もう自分の人生に幕を下ろしました。
彼女はもう舞台のそでに引っ込んだのだと思います。
寂しいですが・・・・・・

私は自分では不倫反対論者ですが、こうした生きた勉強をさせてくれたおかげで、私の人生に、今の仕事を与えてくれました。
ただただ、正しいとか、間違っているとか、ギャーギャー騒がず、色んな人生があるな、と客観的に観察していきたいと思います。
それが、本物が見えてくる瞬間だと感じました。
彼女は虚でも実でもありません。そして彼の奥様も、虚でも実でもなく、そんなレッテルなんて何も関係ないと思うくらいの潔さ、
今の時代に不倫をする人たちは そういう覚悟がありません。
では、今日はここまで。

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村越真里子
専門家

村越真里子

Re婚かうんせらぴー

最優先は夫婦の危機回避。浮気問題解決と夫婦の関係修復は分けて考えまずは離婚を回避し、その上で夫婦の修復を図ります。行動心理学を基に、今後同じ問題が起きないように予防も含め対策を練るのが使命です。

村越真里子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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