夫婦関係円満調停
最近の松居一代さんの一件で、思い出される話があります。
随分前の、ある女性からの相談でした。
夫との揉め事に悩んでいられるようで、特に離婚と言う言葉を
口に出されるわけでもなく、とにかく夫と合わないというのです。
それは穏やかな口調で、じゃ離婚をしたいのかと聞いてもはっきりとした事は言われない。
むしろ本音が見えない感じでした。
それで、2度3度とお話をしている内に段々、本音が見え出しました。
まず、その女性はある大手の企業に勤め、幼い息子さんがいました。
そして夫であるご主人は飲食業を営んでおり、その経営状態は芳しくありませんでした。
そんな状態が長く続き、妻も仕事を持ち、夫の商売を支えていたというのです。
しかし、その妻の努力を判ろうともせず、夫は商売が上手く行かないストレスを
妻にぶつけ、八つ当たりの暮らしで妻がどうしたらいいかという相談でした。
これからどうしたいのかと問うと、特に明言されないのですが目的や目標を決めないと、どこに向かっていいか、結論が見えないのでず。
何とかカウンセリングの中で、どうしたいのか?何度もお聞きしたのですが
いまいち、よくわからない。
これではカウンセラー失格ですよ。私も悩んでしまいました。
そこで私としても、色々考えてみたのです。
ご主人の短所を聞いても、いまいちはっきりおっしゃらない。
夫婦の不具合はどこにでもあるし、離婚理由になるほどの事はない。
どうしても相談者が離婚をしたいなら、夫の不貞や、DVなどがあれば
離婚理由にもなるけれど、その夫の事をそこまで悪くは言わないのです。
ならば何故、悩むのか?よくわからなかったのですが、暫くして納得がいきました。
この妻が浮気をしてました。
だから反省もされていましたので、夫を責めるという事をしなかったのです。
そこが判ってからは、一気に堰を切ったように離婚をしたいと言われました。
本音がやっと言えて、相談者は自分の不貞を認めるが(夫にではなく村越に)
どうしても離婚をしたいと言う訳です。
女性は、男性と違い、一度に複数の異性を思う事は苦手です。
夫以外の別の男性を好きになっている段階で、妻の心の中からは夫の存在は無くなっています。
この相談者の場合も、夫の存在は、妻の心から居なくなっていました。
そして自分の浮気という自責の念もあり、夫の悪口は言いませんでしたが
それは夫を責めたくないというより、好きになった新たな彼の事であたまがいっぱいのようでした。
しかしよくよく聞いてみると、夫に対して愛想を尽かしていったから、他の男性に
気持ちが移ったとうこともわかりました。
夫は、妻に対して、モラハラのようなことをしていました。
その上で、夫の商売が左前なのも、夫の怠慢ということがあり
それを棚に上げて妻に八つ当たりしていたのです。
それをお聞きしていると、妻の浮気を一概には責められる気にはなりませんし、妻が他の人を好きになっても頷けます。とても気の毒な話でした。
ただ、その女性は、もう前を向いていたのです。
新たな恋人と一歩を踏み出そうとしていました。
恐らく、その彼も家庭を持っている人だろうと思います。(詳しくは聞いていませんが)
だからここで、相談者が自分の浮気がばれたら、相手の家庭にもばれる事を
懸念して、相談者自身の離婚は、なるべく周りの人を巻き込まず、ひっそりと
離婚をしないと、相手の家庭に迷惑が掛かるという配慮と計画があったのです。
いくら聞き出しても、はっきりした事を言わなかったというのは、こういうことだったのです。
なるべく離婚を秘密裏に進めたいという気持ちは、離婚を表立ってしたくなかったのです。
事を荒立てない・・・・それに尽きると思います。
離婚を自分の為に有利に運ぼうとすることを目標に思えば、夫の欠点をあげつらい、
妻が被害者になろうとしたら、妻の思いどおりになったかもしれないのです。
でもそうなると、夫とも対戦姿勢になり、離婚に時間が掛かります。相談者の希望は、表立って対立すれば、夫の抵抗により、離婚が困難になる事を避けたい事。
そして、長引けば長引くほど、周りを巻き込んで大ごとになります。
と、なると、その対立を避け、時短で行くには?
そう、やはり、お金です。
タイムイズマネー。
時短をお金で買うのです。
それが慰謝料とも言えます。
なるべく揉めずに話を収めることも慰謝料の役割です。
この妻の場合は、夫と離婚をする為に、慰謝料を払いました。
元々、夫の商売の赤字に妻もお給料を入れていましたから、その家庭には貯金は無いはずです。
妻にも貯金という余裕はありません。
それでも、妻は借金して夫に自分の年収分の慰謝料を一括で払ったのです。
それで離婚はあっさり成立しました。
なぜなら、その夫は妻からDVで訴えられ、妻に慰謝料を払わないといけないくらい
妻の方が被害者と言えるのに、妻が夫に慰謝料を払うというウルトラCをやってのけました。
その妻の性格は、男性以上に男らしかった。
その後、相談者は、幸せに暮らしたとさ・・・・チャン、チャン♪
最初、私は、この夫にDVや、妻への金銭的な執着を、認めさせ、妻が慰謝料を貰って離婚をするという当たり前の形で進めようとしていました。
でも実際は、この相談者が、お金に執着を持たず、相手に非を認めさせる事に拘らなかったから、もっとスピーディーに進んだのです。
それは、逆の発想でした。
このやり方が正しかったかどうかは、いまだに判りません。
でも、あれもこれも・・・また恨みを晴らすぞ、と意地になる、と物事は、時間が掛かります。
あっさり、この時間をお金で買うという考えを持ったので、急展開したのです。
女性は一旦、腹が決まると恐ろしくパワーが出ますね。
本来なら自分が慰謝料を貰って離婚が出来る立場なのに、反対に何故か夫にお金を渡して離婚。
普通のルールでいくと考えられない事ですが、これは女性特有の恋のなせる業。
女性の浮気は本気と言われるのも、そういう部分でしょうね。
この相談者は夫の悪口はあまり言わなかったので、何故離婚をしたいかピンと来ませんでしたが
それは、もうその先に気持ちが向いていたからだったのですね。
夫の事や過ぎた事で、時間を使うより、前を向いていたという事です。
今回の、船越さんと松居夫妻の揉め事を見ていて、夫の船越さんは財産放棄をしたというのは
もう、お金じゃないという事です。船越さんは、もう過去の恨み言に拘らず、前に進みたいというのが、財産はいらないという表現です。
反対に松居さんが別れたけりゃ、「投資信託を解約して1億円用意しろ」と言ったのは、恨みがあるからです。過去の事に拘っているからですが、ここには自分への反省が微塵もありません。
彼女の事を周りがよく言わない言動も過去、ありましたが、彼女は自分が一番、正しいのです。
船越さんも間違いはあったかもしれませんが、こう、何かと激昂する妻との将来を夢、見られるはずがない。これを彼女は判ってないのです。
正しいからと言って何をしてもいいとは限らない。
苦しいからと言って世間に公表して解決するものではない。
世間に、この問題を知らしめるという事は、相手を脅かしているだけで、
本当の交渉にはなりません。
本当の交渉とは、世間の目に触れず、ひっそりと相手の立場も考慮してあげる配慮してあげてこそ、夫も交渉のテーブルに着くのです。
悲壮感を出して世間に公表だけしても自分が損をするだけなのが判っていない。
交渉は水面下で、秘密裏にする事です。
表立ってする事を喧嘩と言います。
ここで、時間をお金で買った「時短技」で船越さんに軍杯があがるでしょうし、松居さんのように、表沙汰にすればするほど、事を荒立てた妻として、得にはならないでしょう。
松居さんの事件で、反対に賢く自分の幸せを手に入れた過去の相談者の事を思い出していた今日、この頃です。
では今日はここまで。