後ろめたさ
先日、女優の野際陽子さんが亡くなられました。
そのニュースを伝える画面を見て、改めて「凛とした生き方」を感じます。
特に元夫の千葉真一さんと同席で離婚の会見をされる姿は、野際さんの聡明さと潔さを感じる会見で改めて何てその人間性の美しさを感じました。
特にその中で、心に残った言葉
「妻下手」
野際さんは、離婚をした原因を問われ、この言葉で表現されました。
そうです。
私もまさしくそれだったと思っています。
今、私はコラムで、元夫と夫婦が壊れていった理由を時々書きます。
終わった話を書くのはあまり行儀のいいことだと思っていません。
しかし、相談者の方が、ご自身ばかりを責めたり、またがご主人から妻として悪者にされたりするのを聞き、
やはり、本当の原因は何か?と考えるのに、物事を冷静に見る見解が必要ですので、ここを私は実体験を包み隠さず書く事で、離婚になって行くケースのサンプルをお示ししています。
私のような仕事は私生活は多少開示していかないと、何もかも秘密では話にならないのです。
私の元夫は、私がこういう仕事をしている事をしらないかもしれませんし、別れた私には興味などはないでしょう。また離婚して間もなく再婚をしているようですから、私との過去の結婚生活を気にする暇はないと思いますが、多少のプライバシーの切り売りは、私の仕事柄許して欲しいと手前勝手に考えています。
さ、では話を元に戻します。
野際陽子さんは私が子供の頃にはすでに女優としてご活躍されていて、結婚離婚もテレビの画面で見ていた記憶はありますが、私には他人事でした。
それが今、こんな仕事をしていて、改めて離婚会見を見直したら、何とかっこのいい女性なんだと思います。
まず、夫の千葉真一さんの事を離婚の際には一切責めず、私のように終わった事をぐちぐち言いません。
それどころか、自分を「妻下手」という言葉で表現し、妻や女房という役割で考えたら、肩に力が入り、女性らしくなかったし委縮していたと言われています。
ちょっと、私とはビジュアルが違いますが(笑)、野際さんと一緒です。
私も自分の至らなかった事はよくわかります。
何しろ、初めての結婚生活と妻体験で、何が正しいかは分からないまま、主張もしながら、ずーっと妻と言うポジションを守っていたと思います。
そんな中、自分の出来なさ加減も自分で嫌になる事もありましたが、やはりそれは初めて夫業の役割をこなす元夫も、私と同様、夫としては不出来だったと思います。
互いが初めての結婚で、手本もないまま、手さぐりで結婚生活をするのです。
夫婦として新米なので、ちゃんとできなくて当たり前とお互いが思うためには「思いやり」が不可欠ですし、
その基盤となるのは「愛」しかないと思いますが、私達はお互い、夫業、妻業をこなすことに神経をすり減らし、お互いの未完成の部分を突くような事もあったと思います。
それに比べ、野際さんの清い事。
特にお子様が幼いころ、夫の千葉真一さんに子供を託し、野際さんご自身が地方へ長期ロケで家を空けるエピソードを述べ、それも自分の至らなかった点として述べておられました。
でも、私は今にしてはその意味がよくわかります。
野際夫婦は離婚をされてから、千葉真一さんのハリウッド映画という海外進出を果たし、自身のプロダクションの経営も重なり結果的に多額の借金問題が露呈しました。
こうした事の影響は結婚生活でも、家計に影響はあったと思います。
多分、妻である野際さんの結婚生活は子供が生まれても仕事を続けざるを得なかったのは妻の方が芸能界では重宝されていただけではなく、恐らくこうした経済状態を受け留めての事だと思います。
その時の事を語る野際さんは、妻としての至らなさと自分を責めるのに対し、千葉真一さんは子供を置いて家を空ける妻への不平を口にしていました。
野際さんも事情はともかく、幼い子供を置き、家を空けるのが平気だったはずがない。
この問題の中身を考えずに、子供を置いていく妻への不満ではなく、恐らく男性って、「僕」を置いていく事に多少の不満があっただろうし、芸能人として、妻が活躍することに、男として面白くなかったのだと思います。こののふがいなさを感じての言葉が、「妻が家を空ける」という表現なのだと思います。
これを受けて、野際さんは自分が悪いと表現しました。
私は男性へ辛口すぎるのですが、野際さんは、決して夫を責める言葉を口にしなかった。
普通の女性なら「夫の稼ぎが悪いから、私が働くのだ」と言わなかった男らしい性格だったので、女性らしくないというより逞しい人間だと思います。だから強いです。
若いころは表面的な事しか分からなかった私が、今の年齢になり、私は人の離婚劇もこうした背景が分かるようになりました。
それに引き替え、最近の千葉真一さんは、女子大生とのお付き合いをフライデーされ、その言い訳に「海外進出のアドバイス」と称していましたが、何という薄っぺらさ。そんな事あるかい!です。
男性って、いくつになっても同じですね。
これを愛おしく思う余裕は私にはありません。
やはり、悪い事は悪い事とつい言ってしまう私も子供かもしれませんが、野際さんは大人の女性ですね。
しかも81歳であの美しさ。
肝が据わっている人って、あんなに綺麗なのですね、もう尊敬しかありません。
安らかにお眠り下さい・・・・・合掌