つがい

村越真里子

村越真里子

テーマ:夫婦は話し合ってはいけません

四季折々の風景の中で、京都鴨川の水鳥を見るのが好きです。
宝が池の池なども、水鳥がつがいで仲良く泳いでいる風景が特にほっこりします。

犬の散歩にしても、ご近所さんの犬同士でも、友達に出会うと、尻尾をめちゃめちゃ振って、リードが首に絡まるのも気にせず、二匹がじゃれ合う様は、犬も人間も同じだな~と思うのです。

特に「つがい」と言う言葉に、微笑ましく思ってしまうのは きっと私だけではないと思います。
動物の場合はメスの獲得を巡ってオスが戦いをして、力の強い方がメスを得る事ができるのです。
もしかしたら、このつがいというコンビが一番純粋なカップルなのかもしれません。
しかし、所詮と言ったら水鳥に失礼かもしれませんが、やはり本能だけで生きているので、動物界にも
不倫のような事はあるそうです。
ホトトギスをはじめ、カッコウ、ツツドリ、ジュウイチなど、杜鵑類の仲間はよく知られているように他の鳥の巣に自分の卵を産んで育ててもらう托卵の習性をもってて、その巣の主であるオスは、ご機嫌よく他人?他鳥の子供を育てるそうです。

大らかというか、血のつながりなどは物ともしない、自分の元に来た者は、ひっくるめて面倒看るなんて、
なんて男らしいのでしょう。
それが動物界の甲斐性なのでしょうね。

ところで、人間界の結婚には、色々なデコレーションが加わります。
お給料がいくらとか、いい大学を出て、いい会社に勤めているか、とか。
その人、そのものの評価より、「いい条件」と言うのが、二人の結婚には関係するようです。
しかしいい条件の男性だと思って結婚しても、ある時から、足並みが揃わなくなったり、結婚年数が経てば経つほど、少しずつ、心の距離が離れて行きます。

そんな時に、夫の不倫が発覚したりするのですが、それを「力技」だけで、詰め寄る妻がいます。
もとより、夫婦の心が離れていったきっかけは、色々あるとは思うのですが、その都度、夫婦がぶつかるだけの解決法しか選んでこなかった場合、不倫相手の存在がある限り、妻に心を夫が戻すはずがありません。

それなのに、妻の性格によっては、強気でしか人に向き合えない妻であれば、夫の離れた心を、「ルール」で縛るしか出来ないのです。
ではルールとは何か?
分かりやすく言えば「こうあるべき」という「べき」で問題を括ろうとします。

そういう「べき論」の妻は結婚も「べき」で捉えています。
例えば、交際をしていて、長くなったから、そろそろ結婚すべき。
又は、結婚適齢期を過ぎたから、身近にいる人と「私達、そろそろ結婚すべき」
結婚して、なんとなくセックスレスになっているけど、そろそろ子供を作るべき、という人が頼る相手は
夫ではなく、産婦人科の不妊治療。
自分と夫との間で、解決が出来ないから、不妊治療のドクターから、一言、言ってもらうと夫はいう事を聞くだろうと、「子供を作る協力をすべき」という「べき」。

本当は夫を求めているのに、腹を割って、夫と話せないから、夫への思いを素直に表せない妻。

私は色んな相談を受け、基本、妻の味方のつもりですが、あまりにも素直じゃない妻を前にすると、そもそもその夫婦の問題は、「夫の不倫」じゃないというように感じます。

だからそういうタイプの妻の場合は、穏やかな話し合いが出来ずに夫には「断罪」という強気しか見せられなくなってしまうのです。

じゃ、何故そうなの?となると、これは夫婦の問題ではなく、元々の妻の性格です。
もちろん、夫にも同じくらい悪い所はありますが、今は、その相手の悪い所ばかりを指摘しあうと、別れるか断罪というペナルティーを言い渡すしか出来なくなるのです。
そうしているうちに、夫の心が離れて行くことを引き留める為に、「家庭人として」縛ろうとします。

それが早く帰って来て家事を協力して、とか、育児はもっと協力して、と。
ここまではいいのです。
でも、そういう事を言っても、中々早く帰って来てくれないと、今度は「何時までに帰れるでしょ?」とか
それを約束として「今度、その約束を破ったら、承知しないわよ」というルールで夫を縛るしかなくなるのです。

これは、夫の不倫問題以前の問題で、妻の、強気で夫にペナルティーを課す性格だから、そもそも論に立ち戻ると、夫と妻の関係が、何かにつけて「強さ」で押し切られてきた関係だったのです。

そこから逃げた結果、浮気という落とし穴があったのです。
ここを鬼の首を取ったかのように、浮気だけを責めても、夫は浮気相手と別れた所で、妻の元に帰ろうとは思いません。

何年か前、ある夫婦の相談を受けました。
その夫は、毎日毎日残業と言って深夜帰宅でした。
お酒も飲まない夫の行動に疑問を持った妻は、夫の行動を嗅ぎまわりました。
そうしたら、その夫は、自分の行動を益々隠すようになり、妻の疑いはもっと増えて行き、私のところに相談に来られました。

その夫は、自分が日ごろから如何に仕事に追われているかを主張し、妻は休日出勤してまで仕事をする必要がないと、生まれたばかりの子供の育児も手伝ってよ、と言わんばかりに、夫に家事の当番制を押し付けました。

妻は専業主婦でしたので、家事や育児を一人でこなし、疲れていたのは分かりますが、夫は夫で妻と顔を合わせたくないから、出来るだけ仕事に没頭する事にしていたようです。

どうでしょうか。この意識の違いは。

ここで私は妻の本音は分かります。
妻は夫の心が離れて不安で仕方がないのです。
でも自分の何かと気の強さでしか、向き合えない事が、夫を益々遠ざけている事に気づいていないのです。

「早く帰ってこないと、今度こそ許さないわよ」という言葉は「早く帰ってきて一緒に子供の寝顔をみようよ」という言葉の置き換えだったです。
でもこの二つの言葉の違いを、同じ意味だとはだれも分かりません。

しかし、夫に甘えたり頼りにしたりという姿勢を持たず、何かあれば妻が断罪してやるという発言しか出来ない人であれば、もっと別の所にご主人は、癒しを求めて逃げてしまいます。

結局妻が、夫の毎日の残業を疑い、こんどこそ尻尾を掴んだら夫をとっちめてやろうと、手ぐすね引いて待っていましたが、夫の深夜帰宅の理由は単に家に帰りたくないという「帰宅拒否症」ということでした。

もうこうなれば、夫婦と言えど妻の一人相撲です。
こんな風に考えると、夫婦の問題というより、夫の気の弱さと、挑戦的な妻との性格のぶつかりあいです、
浮気問題が起きる前からこの問題がすでに存在していたとなると、夫は浮気相手と別れたとしても
妻の元に帰ろうとするはずがないのです。
また、妻は浮気相手と別れさせたいと言って私の所に相談に来られますが、もうお分かりのように、ご主人を浮気相手から引き離しても夫が妻と暮らすことをイメージできなくなっています。
そうなると妻は夫と浮気相手を引き離したら妻の事を益々憎み、益々妻と気持ちが離れるのではないか?と
恐怖に思われるのですが、実はその事で妻から気持ちが離れるものではないという事です。
この自分では気づかない、根本的な部分に注目し、そもそも夫婦の気持ちが離れていった原因を解明しておかないと、夫は自分に対してすごむばかりの鬼の棲家には、戻ろうとはしません。

浮気問題を終わらせる事は絶対に必要です。
これは夫婦修復を目指すためには、一丁目一番地ではありますが、だからと言って夫婦修復が叶うかは別問題です。
しかし、浮気を終わらせないと修復の入り口にも入れないのですが、だからといって夫婦が仲良くなれるかは別問題です。

つまり浮気相手を排除したと過程して、それは、浮気のなかった時代の夫婦にもどるだけなのです。
では その時代が特に問題がなかった夫婦であれば その状態に戻れるなら、あとは日にち薬で何とかなります。
でも、そもそも夫に対して、「強さ」とか、「妻の権利」とか「夫婦の役目」という話しか出来なかった妻であれば、夫はその妻から離れたかったという状態に戻ると言うだけなのです。

ここで、妻も自分のこれまでを振り返る事をしないなら、浮気問題は別として夫婦の終わりは遅かれ早かれ、くるのかもしれません。
しかし、ここで、妻に気づきと言うものがあれば、それが夫婦修復だと思うのです。

夫婦修復と書くと、何かしら特別な秘策があるように聞こえますが、そうではありません。
これまでの事を振り返り、夫の浮気を責める材料にするのではなく、何故そういう事になってしまったか?
その原因くらいは解明しないといけません。
これが本当の夫婦の話し合いです。普段は夫婦は話し合ってはいけませんと書いていますが、こういう話し合いなら、私はいくらでもしてほしいと思っています。

こういう段階になっての話し合いは、腹を割って話し合わないといけないでしょう。
妻の悪かったところも正直に詫びた方がいいでしょう。
夫とのセックスがどうしても気が進まなかった事も引っかかっていたでしょう。
では何故、セックスレスになりながらも、夫婦は続くと思っていたか、その理由も研究しないといけません。

もしかしたら、結婚したから離婚は出来ないというここも「ルール」という考え方であれば、夫のやらかした事に対しては相変わらず、「ルール違反」という考え方しかできなくなります。

もちろん、誰が悪いと言うと、浮気をした夫が一番悪い。
でも、そういう夫の心が妻から少しづつ離れて行った事に、何も気づかなかったとしたら、夫も寂しい暮らしをしていたのだと思います。
夫に謝ってほしいと、夫が反省することが先だろうと、夫の謝罪がない限り許さないという妻は、夫にすれば
玄関で仁王立ちされているようなもの。
決して仁王さんの横を括りぬけ、家のリビングに入る事は出来ません。
もっと言えば、今後の夫婦生活を考えた時、男性は仁王様を抱こうとは思いません。

妻諸君、貴女も変わらないといけない点がいっぱいあります。
ただ、その変わる時期を見誤ってはいけません。
何も浮気の実態もつかめない上で、【お願い私が悪かったわ】と下手に出ると、「そうか、そしたら離婚をしよう」となる事もあります。
謝るのは 今ではないのです。
それでも白状させたいか?
それなのに「お願い、怒らないから正直に浮気を白状して」というと、白状はしてくれるかもしれませんが、
それで夫は許されたとなると、もう浮気を終わらせる機会を失います。
妻が浮気をとがめないなんて、後は誰が注意をするの?

つまり浮気の実態が掴めてない段階での話し合いなんて、妻が白旗を上げたに過ぎません。
ではなぜ、浮気を白状させたいかと言うと、「正直に打ち明けてくれた」と思いたいからです。
でも、それは妻の詰問が怖くて白状しただけなら、あまり効果はありません。
また、中には探偵を使って証拠を得ても、夫のお給料を使っての事なら、申し訳ないから、
妻の問い詰めて、白状させたいというのは、優しいのか、怖いのか訳が分かりません。
つまり、白状させる自信があるというのは、それだけ妻が問い詰め術?を持っているという事になります。
と、いう事で、白状させるというのは、胸を開いて、腹を割って、という事ではなく、力づくで、ご主人の口をこじ開けるという事なので、決して平和的解決とは言えないでしょう。

夫と向き合うという事の心理の奥に色んな感情が隠れています。
決して、夫と心から打ち解けたいと思っている訳ではなく、こうした事でも、「力技」ということが顔を覗かせます。

お~~っと。
話がまたまた横道にそれました。
今日は水鳥のつがいの話をするつもりでした。

相手に、甲斐性も、家事分担も、育児も、何も求めず、それが出来なかったからと言って、何もペナルティーを課せるわけではない、そんな暮らし。
変に知恵があるから、相手の「出来なさ加減」を責めてします。
そんな人間の暮らしの方が、陳腐に見えます。

あなたの望んだ結婚生活は、適齢期だからとか、
子供を産みたいというのも、結婚して何年か経ったから、というのでは
心から、子供を望んでいるのでなく、結婚という形を、「べき」で固めようとしているだけ。

そう思うと、ただ夫婦という単位のつがいで、水面を泳いでいるだけの水鳥の方がずっと幸せそうに見えます。
こんなのんびりした暮らしが出来たらいいな。
では今日はここまで。

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村越真里子
専門家

村越真里子

Re婚かうんせらぴー

最優先は夫婦の危機回避。浮気問題解決と夫婦の関係修復は分けて考えまずは離婚を回避し、その上で夫婦の修復を図ります。行動心理学を基に、今後同じ問題が起きないように予防も含め対策を練るのが使命です。

村越真里子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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