後ろめたさ
昔から男女のどちらかが浮気をしている組み合わせの事を三角関係と呼びます。俗に言う二又です。
これは恋人や友人関係に限らず人間が3人寄れば、とかく2対1の講図になりがちです。
特に女性同士の付き合いの場合は、いない人の悪口を言う傾向が高く、2対1の組み合わせは、その時々によって変化しますが今日は そんな日和見的な話ではなく、夫婦の浮気に関して書いていきます。
よく、直談判ということを言いますが、夫が浮気をして、その浮気相手のところに妻が乗り込むということがあります。
もちろん、夫の浮気を制止するのに、浮気相手に抗議したいという気持ちは分かります。
しかし、その場合は、関係性は三角形の形にはなりません。
もちろん、夫が妻の方に着けば問題はないのですが、大方夫という生き物はおたおたするだけで、どちらかの味方が出来ないものなのですが、妻が直談判に乗り込もうとする時には、夫は妻側に加勢すると思いがちです。
でも、現実は、そういう修羅場になると妻をなだめて早く帰したり、何なら、「オイラ、知らね~」とばかりにその場から逃げ出したりします。
そして、夫婦の浮気問題は その日以降に持ち越されます。
その結果 その3角形は妻を引き離し、浮気相手と夫がスクラムを組む形になりがちです。
つまり妻の方が その図形から追い出されてしまうという立ち位置になるのです。
これは何故か・・・・
妻が直談判に乗り込む時に、何を考えているかと言うと、あまり多くは考えていません。
いえ、考えるということが、頭の中の話だとすると、乗り込む時には、腹が立って仕方がないから、何か一言、言ってやりたいという「腹」の部分の話であって、やはりそこは感情的な事だと思うのです。
何でも戦いは、計画的にいかないと勝てません。
もちろん、勝ち負けではなく、一言、言ってやりたいことが目的であれば、それでいいのですが、本来の目的は浮気を止めさせることだったはずです。
だから 一言、言うにしてもそれはトドメを刺す一言でないと意味がないのです。
でも、妻と浮気相手のやり取りは下記のような感じです。
妻「あなた、私の夫と付き合ってますよね」
愛人「いいえ」
妻「しらばっくれてもダメです、私の夫も白状したんですから」
愛人「だったら そちらの夫婦で話し合って下さいよ、私には関係ありません」
と、煙に巻かれるだけです。
でも時々、気の強い同士の女性の戦いになると、
愛人「あなたのご主人が私を頼ってきたので、私こそ被害者です」と言わんばかりに
愛人「妻のあなたがそんなタイプだから、ご主人はあなたと別れたがっている」と、妻を悪者にします。
夫は妻と仲が良いけど、愛人の君も好きだとは言いません。
女性を口説くときには、妻を冷たい女だと言い、夫は孤独を演出しますので、愛人だって騙されてしまうのです。
そんな中、女性二人が言い合っている姿なんて、自分のまいた種とは言え、夫はその場から逃げ出すコトしか考えていません。
いわゆるこれが、修羅場と呼びます。
女同士の戦いと書きましたが、戦いは勝率を考えて、挑まないと意味がありません。
しかし 戦いと言っても、男同士がする戦いではないので、武器の勝負ではありません。
頭脳戦です。
知恵の戦いだとすると、そこには感情が入ると負けてしまいます。
つまり 戦いとは言え、交渉術の腕があるほうが勝つのです。
では、この世の中で交渉のプロは誰でしょうか?
そう、弁護士です。
物事を論破したり、正誤を弁論で証明する仕事。
これが弁護士ですが何も弁護士の仕事は裁判所の中だけではありません。
民事的な交渉には、文書で請求ごとをしたり、折り合いを付けます。
これが示談交渉と言います。
でも 弁護士だって、示談交渉という話し合いや文書だけでは、決着がつかない事があります。
その場合に、裁判へと移行するのですが、その弁護士だって、裁判の行方は分かりません。
もちろん勝つつもりで裁判もするのですが、どんな裁判でもどんでん返しもありますし、相手も弁護士を付けてくると、弁護士同士の腕の勝負となります。
そんな時、弁護士は「絶対に勝ちます」とは言いません。
もし、あなたが弁護士のところに相談に行き、「絶対に大丈夫です」と言ったら、それは嘘つきか、大ボラ吹きだと思ってもいいでしょう。
世の中を知っている弁護士なら、「やってみないと分かりません」と言います。
それだけ 人間同士の戦いは(裁判とは公的な場所で、合法的にやる喧嘩だと私は考えています)先は見えないのです。
だからこそ、余念なく準備するのです。
それなのに、「一言、言ってやりたい」とか、「言わずにはいられなかった」とか、「気持ちが抑えられなかった」という言い訳で
「仕方がなかった」ということで片付けるのでは、勝敗はどちらに上がるでしょう?
よく直談判に行った時の話を聞くと、妻は強気の言葉を吐いていますが、実際は心臓がバクバクだったと言います。
反面、浮気相手の女性はどうだったかと聞くと「ふてぶてしかった」と言います。
でも実際はそうじゃないと思いますよ。
相手だって実は心臓バクバクだったといいますし、その実、あなたのご主人には、「あなたの奥さんが乗り込んで来て怖かった」と訴えるのです。
これが嘘か誠かはともかく、こうなった時の構図は、浮気相手と夫が一枚岩になって、しまいます。
妻が直談判すればするほど、夫は自分の妻が鬼の形相だったと言われ、「だから妻が嫌いなんだ」というように 悪口の材料にされがちです。
ここで、これまでの私のコラムをお読みの方は復習のつもりで思い出してみて下さい。
夫は浮気をするときに、「妻とは上手く行ってない」と言って浮気相手の気を引きます。
妻を冷たいと言い、結婚生活が寂しいと言って同情を買います。
そして、愛人も自分の目の前にいる人の夫を、「私が幸せにしてあげると」いうポジションをとります。
ここで、妻を悪者にするという構図が出来上がります。
要するに、夫と愛人は一枚岩というチームワークを結び、妻が蚊帳の外になります。
妻が直談判しに行くということは こういう一枚岩の所に乗り込むということです。
つまり、敵?は二人なのです。
夫婦だから、夫が妻の味方をするとは限らないのです。
妻は夫とニコイチ(二個一)で考えているのです。
愛人という敵地に乗り込んだつもりでも、愛人にとっても妻は敵なのです。
被害者は自分だと言わんばかりに、妻に襲撃を受けたと思っているのです(演技かもしれませんが表向きはそういう立ち位置をとります)
あ、話が逸れました。
では、妻は 何故夫が自分の味方をすると思うのでしょうか?
それは「自分が正しい」と思っているからです。
実際、妻の言うことは正論です。
妻という立場は正妻で、愛人はあらぬ存在です。
全面的に正しいのです。
でもね、先にも書きましたが、裁判だって正しいものが勝つとは限らない。
弁護士同士は裁判で両方ともが正しいことを言い合っています。
でも、その正しさの使い方や、その他の条件が合わさって、勝敗が決まります。
立場を変えると、どちらも正しいし、どちらも間違っていると言えるのです。
何が言いたいかと言うと、正しいという立場だけでは勝てないということです。
正しいからと言って、正しいことを言いに行ったということでは、ダメなのです。
負かしたいという気持ち。
言わずにはいられなかった気持ち。
居ても立ってもいられなかった気持ち。
これら、本当によくわかります。
全部わかった上で、改めて言います。
正しいから、勝てるのではないのです。
どれだけ腹が立っても、その怒りを迫力だけで勝てるのは よほど相手が気弱なタイプのみです。
あなたの夫にちょっかい出して、長いあいだ、妻を欺く浮気を夫と共同作業出来た女性です。
そんな気の強い女性が、正誤の理屈に観念するとは思えません。
むしろ間違っていたと気づくなら、もっと早い段階で六法全書を読んでいたらわかる話です。
と、いうことで 妻が愛人の元へ乗り込んでも、夫と一緒になって妻を悪ものにするだけですので、そこには敗北感しかありません。
夫という立場の人間は、妻にも嘘をついて裏切りますが、愛人にも嘘をいっぱい付いているはずです。
妻が乗り込んだら、夫は愛人についた嘘もばれ、とても格好の悪い話になります。
そうなると、次はどちらかにゴマをすって、取り繕わないといけません。
それが妻か愛人か、どちらかは分かりませんが、それは浮気の段階にもよりますから、妻という正妻の方の肩を持つとは限らないのです。
これを、見極めて、あなたの夫の浮気がどの段階かを検証するのが私の仕事です。
あなたが、愛人の元に乗り込んで、その結果夫があなたの元に戻ってくるかどうか、見極めないといけないのです。
そういう「浮気の段階」を浮気のステージと読んでいます。
あなたの夫の浮気が仮に、ステージ4なのか、ステージ5なのかで、言っていい言葉と、そうではない言葉があるのです。
このところ、私の筆が止まっておりました。(コラムの・・・)
こういう事を日頃、相談者と相談し合って、上手く問題を解決していくことが私の仕事です。
ところが、時々私の力の及ばない事がおきます。
それは相談者の暴走です。
時々、私の止めるのを待たずに・・・・いえ、待てずに、妻が暴走します。
夫が自分の元に戻って来てくれるかどうか勝負に出るのです。
その結果が吉とでていたら、私の失望はなかったでしょうけれど、概ね上手く行かないのが見えてきます。
「仕方がなかった」と言うことで、すべてが片付けられてしまいます。
今日、ここに書いたことは私の半分は想像です。
何故なら、人の心の中を全て聴くことは出来ないので、半分は想像です。
その半分というのは、実施した人からは聞くことができましたがその相手からは聞くことができませんので、
半分ということです。でもその相手は恐らく、こんな風に考えただろうという事が結果に現れているので、想像ではありますが、ほぼ、間違いはないでしょう。
おっと、今日のテーマは三角関係でしたね。
では、最後の締めくくりですが、三角形がいつも正しい線で描かれるとは限りません。
ともすれば、3本の線ではなく、2本線になってしまう事もあるということを知って欲しいのです。
感情ばかりが先走ると、物事はごちゃごちゃになります。
少なくとも目的を果たそうと思えば、冷静な計画が必要です。
計画を実行しようと思えば、感情を抑えて、推し進めないといけない事もあります。
そういう意味で、直談判ということを感情だけでやってしまうとダメだということを理解してもらいたかったのが今日のテーマです。
他人に、自分の意思を伝えるには、ものすごい量の言葉が必要です。
私も今日、この内容を是非、お読みになる方の頭に叩き込んで欲しかったのです。
だから今日も長文になりました。
直談判・・・・・・・
これが愛人に対してでも、浮気をする張本人、夫にでも、妻の思いを伝えるには、冷静な言葉と考えが必要です。
誰に対しても感情に任せた言葉では、人の心は動きません。
でも、相手の心なんて、夫であろうと愛人であろうと、動かなくていい、と言うなら、それも自分らしいのかもしれません。
人が動かなくても、自分の思いさえ、一方通行でも伝えられたらそれでいいというなら、感情の赴くままに発言するのも
いいのかもしれませんが、何とか駒を進めたいなら、少し感情を抑えるトレーニングをしていきましょう。
では、今日はここまで。