違和感という直感
相談業という仕事の中でカウンセラーだからこそ解る事があります。
カウンセラーも色々なタイプがありますが、それ以前にカウンセリングの流派と言うようなものから来る着眼点の違いだと思うのです。
それは 過去から数えてカウンセリング数からの実績から、積み重ねられた結果論だと思います。
しかし、お客様からの相談を受けて、ゴールに向けて、その着地点をご説明しても、そこが理解できない方が中にはいるのです。
結果論をお話ししても、相談者はその結果論が未体験なので、その結果を信じる事が出来ません。
ここで一つ質問です。
科学と物理の違いは何でしょうか?
簡単に言うと物理とは、自然界、人間界など万物における物の道理です。
それに対し科学とは、ある理論を実証出来る事が科学なのだと思います。
見せる事や実験という目で見せ、証明をして見せる事が科学だとしたら、残念ながら人間の人生への将来に対する答えは、前もって実証して見せる事は不可能なのです。
そうなると 私のようなアドバイス業は カウンセラーを信じられるか、その説を信用できるかという、変な人生はいつも二択人間関係に頼るところとなります。
ま、カウンセラーが怪しいタイプであれば それは論外ですが カウンセラーの唱える説に希望を掛けられるかとなると それは未知の世界の話であれば 相談者の想像力の問題になります。
そこで想像力とは何か、というとたいていの人はその人の経験値が大いに影響します。
しかし大方の人が 夫婦の問題にしろ、未体験の事が多く、どうしていいか分からないから当方のドアをノックされるのだと思いますが、結局ドアを叩いても、そのカウンセラーの唱える説に希望が持てなければ、いくら効果的な方法だと勧められても取り組む気にはなれないはずです。
でも、その方法に期待が持てるかどうかは、体験済みの事であれば、再挑戦という期待が出来るかもしれませんが、いかんせん未体験という事でそこでは 恐怖心が加わります。
これは 相談者がAさんだとして Cさんは上手く行きましたよ、と説明しても所詮Cさんのプログラムだろうという事で 心がシャットアウトしてしまいます。
そうです、夫婦の数だけ、問題のパターンは在ると思います。
しかし カウンセラーはこれまでの色々なケースを見て来ている為、改善策は想定できるのです。
で、相談者がその改善策に心が動かないという事は 未体験からの恐怖心というより、相談者が言葉に出さずとも、心に決めている自分の「方針」があるからなのです。
確かに未体験の事は いくらいいと言われても、ピンときません。
これは未体験から来る、自分の経験則だけで物を見ているのです。
つまり、カウンセラーの唱える説よりも 自分の経験則の中から生まれる感覚の方が大事だという事になります。
そもそもカウンセリングのドアを叩く時、本当は「どうしていいか分からない」という事で勇気を奮って、来訪された方が、段々現実的な問題を考えて行けば、益々現実逃避が始まる方がいます。
これはとても、もったいない話です。
実際、色々現実的な方向性を示していけば、確かに怖気づきそうになる事はよく分かります。
何故なら、それまで、夫とは、家庭が無くなるかもしれないという事や 俺に歯向かうとどんなことになるか分かっているだろうな、という脅かしを受けて悩んでいたわけですから、どうしても良い方向へ考えが向かないという事はよく分かります
しかし、これこそがドメスティックバイオレンスの構図だと理解してほしいのです。
私は相談者の気持ちはよく分かります。
とにかく勇気が湧かないという事なのです。
でも夫婦問題を解決するには 勇気が必要です。
今ある形の方が、例え苦しくても多少の慣れの分だけ、今ある環境を壊したくないのです。
しかし、その今ある環境が 永遠に続くとは限らないという事に危機感を持ってほしいのですが
たいていの妻は、「今、夫の浮気に文句を言えば、離婚を迫られるかもしれない」という危機感は感じても リアルにこのまま、夫に逆らわずにいくと離婚になるかもしれないという危機感には鈍感です。
例えば健康面だけで考えても私も出来れば、何もせず今のままが 一番居心地がいいです。
しかし、このまま、何もしないで年を取るだけでは 間違いなしに加齢による老化は必至です。
でも、夫の浮気に苦しく妻は、どういう訳か、これ以上物事は悪化するという想像よりも、
何か歯向かった時の夫婦関係の悪化の方を不安に思います。
これは経験則のなせる業です。
今、夫の浮気に苦しんでいる妻は 何度か夫の浮気があったかもしれませんが、「何もしないまま、何となく自然に解決した」という経験則がありますから、今度こそは、何か違うと危機感を感じて重いお尻を揚げたのですが、結局は、「また自然に解決するかも」という希望的観測に頼りたくなるのです。
悩み体質にあるタイプの場合、自分を弱いタイプだと思っているのですが、自分の経験則に自信を持っています。
意外と頑固で強い。
カウンセリングを施し、物事の道理を解き、ご主人の行動から来る、今後の危機に備え、さあ、一歩踏み出そうとなると、やはり気が進まない、という場合は、自分の考えを信じているという強さがあります。
そこで 相談者が求める事は科学です。
将来を、見せて実証して、大丈夫という太鼓判を押してほしいのです。
確かに、人の人生の先を見せるなんて事は誰にも出来ません。
このまま放っておくとどうなるかは 当事者の妻こそ見えてない事は在ります。
しかし 長年、夫婦問題に取り組み、色んな事象を見てきました。
夫という男性も、浮気はしても家庭は壊さないという昔かたぎのタイプもあれば、
浮気が本気になり、妻を悪者に落とし込め、性格の不一致で離婚を成立させようと
いうタイプと色々です。
でも、前者だからと言って安心していてはいけません。
過去、浮気を繰り返してきて家庭には響かない程度の遊び浮気を繰り返してきた夫であっても安心していてはいけません。
ここで相談者の妻が言う言葉を紹介します
「夫は子供を可愛がり、まさか家庭を壊すような浮気をするとは思いませんでした」
これは、妻の見解ですが、たまたまそういう相手としか浮気をしてこなかったという「運のよさ」です。
相手の女性も 相談者の夫とは遊びだったのかもしれません。
でも、毎回同じタイプの女性と浮気するとは限りません。
また「私の夫は逆切れするので 浮気相手の女性に慰謝料でも請求しようものなら夫は離婚を迫ってきます」と 述べる妻がいます。
では ここで「ならばご主人のやりたい放題の浮気を野放しにしていて 離婚は絶対にないと思いますか?」と 質問をすると
「・・・・・」です。
もちろん 相談者は私に解決策を求めて来られた訳ですから、その人にカウンセラーが対策を尋ねるのは おかしな話ですが、一応Aか、Bか、Cかと 何プランを挙げ、尋ねると 結局夫には何も影響のない水面下で解決するような方法を求めてられる事が分かります。
悪い事をするご主人に、解らないように、怒らせないように、誰にも解らないように、そっと成功させる秘密の作戦を求めておられます。
それでいて、夫が悪事を二度としないように更生させたい・・・・・・・
私が現実的なプランを言えば言う程、現実の世界から遠ざかって行かれます。
正直に言いますと、相談者のタイプによっては本当に問題を解決したいと切羽詰まった方と、
解決と言うより、自分の悩みを聞いてほしいという「対話希望」タイプとに分かれます。
これは一緒に出口を見つけ、そこそこまで伴走をして行った結果、ゴール近くにおいて
最後の最終地点で、引き戻すような事を望まれます。
それは ゴールの結果、その向こうにある世界が、幸せかどうか心配でたまらないという事です。
ゴールした後、もし何かあればどうしようという不安に襲われるようですね。
とりあえず、ゴールくらいはしておきましょうという事を言うのですが 本当はゴールの後の
幸せが担保されないと ゴールが怖いという感情を持たれるようです。
不安はとてもよく分かります。
でも、ゴール後に幸せになれるか、どうかは そこからの努力次第。
しかし ゴールをしなければ その先の人生すらも無い可能性が高い。
この事を 一生懸命に唱えるのですが 勇気が出ずに、ゴールにすら至らない。
ここで ゴールと言うのを、浮気問題強制終了と言う言葉に置き換えて見て下さい。
私に相談をされる方は ゴールは怖いけれど その後の夫婦生活は円満に送りたいという
矛盾した望みを持てられる方が多い。
私が相談者に、その人の人生が幸せに行くかどうかを、実証して見せてあげないと不安で取り組めないという気持ちは分かりますが どんな科学者でもそれを証明は出来ません。
しかし、これまでの夫婦問題はある程度、マニュアル化して統計があってその人へのオリジナルプランは別としておおよその解決策は見えています。
これは この道を見てきたという経験則が物語る訳ですが、これを見た事がない、つまり経験則がない方は その次の段階に、明るい未来があると思えないのです。
確かに苦しい経験ばかりをしてきたら ネガティブな想像しか出来ない事は事はよく分かりますが
科学的に証明はできなくても、 ~こういう事が起きると ~こういう結果になるという物理的な想定は出来ます。
でも ある意味 過去の事例があり、物理的な想定が出来るという事は、科学だと思うのです。
しかし 科学も物理も信じられず、恐怖心だけを抱えているのは 古代の人間が雨乞いをするのと同様です。
未来に夢と希望を持つのは大事な事ですが,現在に生きているのです。
うんと遠い将来に夢を馳せても、今現在の足元をきちんと解決していかないと、未来はないのです。
未来は不安だらけかもしれませんが 今の努力が実を結びます。
皆さん、今のままで 何かが好転するという可能性は 少ないと知りましょう。
それとも、万が一と言うくらいの好転を、ただ雨乞いをするかのようにお祈りを続けますか?
100%、絶対成功するという保証は欲しいかもしれませんが 今の世の中 そんな話はありません。
しかし ほうっておいたら どうなるかというと たいてい夫婦は破綻しているという実態を知っています。
放っておいたら、善くなるより、悪い事が起きているという数値の方がずっと多いのです。
もし神頼みをするなら・・・・・私は 単に手を合わせてお願いをしているだけの人よりか、実際に勇気を出して具体的に努力をした人の願いを叶えてあげたいものです。
では、今日はここまで。