クレームを失客で終わらせない 沖縄企業に必要な営業のリカバリー力
最近、経営者の方が本気で営業を学びに来られます。
営業をしたことがない方ばかりではありません。むしろ、ご自身でお客様を増やし、会社を続けてきた方から、「改めて基本から理解したい」「自分の営業を社員にも伝えられるようにしたい」という相談が増えています。
僕は、この変化をとてもいいことだと感じています。
自分で売れる人ほど、売れた理由を説明するのは難しい。相手の一言を聞いて、話す順番を変える。今日は提案を急がない方がいいと判断する。そうした細かな判断を、経験の中で身につけているからです。
ところが、社員に教えようとすると「もう少し相手の話を聞いて」「そこは空気を読んで」となる。
言っていることは間違っていません。でも、言われた側は、明日の商談で何を変えればいいのか分からないんですよね。
社長の「なんとなく」は、社員には見えない
たとえば、お客様に「ちょっと高いですね」と言われた場面。
すぐに値引きの話をする人もいれば、何と比べて高いと感じたのかを確かめる人もいます。金額そのものが難しいのか、効果が見えないのか、社内で説明しにくいのか。それによって、次に話すことは変わります。
売れる社長は、こうした確認を自然にしていることがあります。
それを「切り返しがうまい」で片づけると、社員は気の利いた返事を覚えようとします。でも、本当に渡したいのは返事の言葉より、何を確かめようとしたのかという考え方です。
僕が営業の振り返りで大事にしたいのも、そこです。
「あの質問をしたのは、何が気になったからですか」
「お客様のどの言葉を聞いて、提案を変えましたか」
商談を一つずつたどると、社長の頭の中にあった判断が、ようやく他の人にも見えるようになります。
テレアポの約束と、商談の中身はつながっている
テレアポや営業代行の相談では、アポイントの件数が話題になりやすいものです。もちろん、会う機会がなければ商談は始まりません。
ただ、会えた後に売れないとき、商談担当者の話し方だけを直しても解決しないことがあります。
たとえば、電話では「今の業務で手間がかかっているところを整理しませんか」と伝えて面談をいただいた。それなのに、当日は会社紹介と商品の説明が続く。
お客様は相談できると思って来ているのに、売る側は説明を聞いてもらえると思っている。どちらが悪いというより、会う目的が食い違っています。
だから、電話でどんな話に関心を持っていただいたのかを、商談する人へ渡す必要があります。商談の冒頭でも、その理解で合っているかを確認する。
ここを丁寧にするだけでも、相手が知りたいことから話を始めやすくなります。
営業代行を使う場合も、アポイントを受け取って終わりではありません。どんな相手と、何の話をするために会うのか。そのつながりまで見ておきたいのです。
AIが用意した提案書に、お客様の本音は載っているか
AIを使えば、営業メールや提案書のたたき台を用意しやすくなります。調べた情報を整理したり、説明の順番を考えたりする負担も減らせます。
人手に余裕がない会社にとって、これは助かります。社長が夜に資料を整えているなら、その下準備を任せられるだけでも意味があります。
ただ、資料がきれいにできたことと、お客様の事情を理解できたことは別です。
お客様が「人が足りない」と話したとします。本当に困っているのは採用なのか。それとも、採用しても教える時間がないことなのか。特定の人しかできない仕事が多くて、休めないことなのか。
そこを聞かないままでは、AIに何を入力しても、肝心な前提が抜けた提案になってしまいます。
反対に、人が聞いた内容をきちんと整理できれば、AIにも具体的な仕事を任せられます。確認済みの事実と、まだ分からないことを分ける。次の面談で聞く内容を整理する。提案書の下書きを作る。顧客情報の扱いに注意し、人が内容を確かめながら使えば、少人数でも準備を進めやすくなります。
僕は、AIが進化するほど、営業を学ぶ意味は大きくなると思っています。文章を作る手間が減った分、その文章に何を書くべきかを判断する力が問われるからです。
商談が終わったら、「どうだった?」の先を聞く
営業を会社に残すために、最初から分厚いマニュアルを作る必要はありません。
次の商談が終わったら、「手応えはあった?」だけで終わらせず、お客様が実際に使った言葉を一つ持ち帰ってみてください。
たとえば、「今は忙しいから」という返事があったとします。
忙しい時期を外せば検討できるのか。導入の作業が負担なのか。それとも、断るための言葉だったのか。聞けていなければ、今の時点では分からない。それを分からないままにしておくことも、振り返りでは大切です。
「忙しいと言われたら、この返事」と決めつけず、次は何を確かめようかと考える。そして実際に試し、反応を見直す。
こうして残した記録は、次に同じような相手と話す社員の助けになります。社長の経験も、社員がつまずいた場面も、会社の中で使えるようになる。
営業を教えるとは、社長と同じ話し方をさせることではなく、自分で考えて商談を進められる人を増やすことだと思うんです。
営業を外に頼みながら、社内にも残していく
BLUE LEAFでは、テレアポ・営業代行だけでなく、経営者の方と営業の進め方を整理し、実践と振り返りを重ねるお手伝いもしています。
誰に連絡するか。最初に何を伝えるか。会えたら何を聞き、どの段階で提案するか。考えた内容を実際の営業で試し、その反応を次に生かしていきます。
外部に任せる部分があっても、なぜ反応がよかったのか、どこで話が止まったのかは、自社でも分かるようにしておく。そうすれば、営業代行の活動も社内の営業力を育てる材料になります。
「自分では売れる。でも、社員にどう教えればいいか分からない」
そんな悩みがあるなら、営業経験が足りないのではなく、経験を言葉にする相手が必要なのかもしれません。
相談の段階で、きれいに課題をまとめていただく必要はありません。最近の商談で困ったことや、社員に説明しづらかった場面から、お聞かせください。まずは、今の営業を一緒にほどいてみましょう。
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