認知症の入れ歯作りについて 2
皆さん、こんにちは!いかがお過ごしですか?
津谷歯科医院 院長の津谷 良です。
今年の4月11日で開業して34年目を迎えました。
これも地域の患者の皆様に支えられてのことと感謝申し上げます。
訪問歯科診療を本格的に初めて約10年ほどになりますが、
その中でこの仕事を続けるきっかけになった患者さんについて話をしたいと思います。
Bさんは認知症のため長期にわたって入れ歯を入れずに過ごしていました。
残った歯の多くは折れて、食事は飲み込み易い介護食。
ほとんど噛まずにごっくんと飲み込むだけ。
歯が無いため、うまく会話も成り立ちません。
あまり声をかけても、反応が良い方ではありません。
入れ歯の作製の相談を介護職員から受けて、何とか苦労しながら入れ歯が出来上がりました。
私自身はまず上手く入れ歯は使ってもらえないんじゃないか?と予想していました。
しかし現実は嬉しい期待はずれでした。
入れ歯のあたりは何回か調整をしましたが、ご本人の食への執念というか、
食事を噛む事への希望というか、まさに「食は生きること」という言葉そのもので、
Bさんは体のふらつきも入れ歯による噛み合わせの安定のせいか、
幾分しっかりされてきたように感じられました。
このケースではやはり入れ歯は必要な道具である事を改めて知りました。
しかし、現実にはこういうケースは希で、認知症の患者さんの入れ歯作りは困難なことが多くあります。
でもこのように喜んでいただける事もあるので、入れ歯作りは止められません。