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【中3の三者面談】「今のままでは厳しい」と言われたら|志望校を下げる前に親ができること

杉山健司

杉山健司

テーマ:高校入試

三者面談で、担任の先生からこう言われる。「今のままでは、この高校は厳しいですね」。
その場では「分かりました」と答えたものの、帰り道はお互いに黙ったままになる。家に着いてからも、この話をどう切り出すべきか迷ったまま夜になる。

秋の面談のあと、こうしたご相談をいただきます。

先に申し上げます。9月や10月の時点で「厳しい」と言われたことは、結果が決まったことを意味しません。大分県の入試の仕組みを数字で見ると、この時点でまだ動かせる部分がはっきりします。

この記事では、先生の言葉が何を指しているのかを整理したうえで、面談の前後にご家庭でできることをお伝えします。志望校を下げるかどうかを、いつまでに決めればよいのかも書きます。

「厳しい」という言葉が指しているもの

まず、先生が何を見てそう言ったのかを考えます。

担任の先生が手元に持っているのは、主に2つです。これまでの通知表の評定と、校内の実力テストや模擬試験の結果です。先生はこの2つを、過去に同じ高校を受けた生徒のデータと突き合わせて見ています。

ここで押さえておきたいのは、先生の立場です。先生は、安全側から言う立場にあります。「大丈夫でしょう」と言って不合格になれば、生徒とご家庭に大きな影響が出ます。ですから、少しでも届かない可能性があれば「厳しい」という言葉が出ます。

つまり「厳しい」は、いまの数字のまま入試を迎えたら届かないという意味です。「何をしても無理だ」という意味ではありません。ここは大きな違いです。

ただし、言い方は先生によって変わります。もっと厳しい言葉が出ることもあります。当塾に来られた生徒の中には、「数学がこの成績だと、どこの高校にも行けないぞ」と言われた方がいました。言葉の強さと、残っている可能性の大きさは別のものです。この生徒がその後どうなったかは、記事の後半でお伝えします。

大分県の数字で「厳しい」を分解する

では、いまの数字のうち、どこが動かせてどこが動かせないのかを見ていきます。

調査書の評定は、半分がまだ動きます

大分県の公立高校入試では、調査書に載る評定が合否に関わります。「内申点」と呼ばれているものです。中学1年が9教科で45点、中学2年も45点、中学3年は9教科の評定を2倍して90点。合わせて180点満点です。

このうち中学3年の評定は、12月末日までの成績で確定します。

秋の面談は、多くの学校で9月から10月に行われます。この時点で、中学1年と2年の90点は変えられません。ですが、残る90点はまだ動きます。2学期の中間テストと期末テスト、提出物、授業への取り組みが、これから評定に反映されるからです。

実技4教科も、5教科と同じ重さで入ります

中学3年の90点は、9教科すべての評定を2倍した合計です。音楽、美術、保健体育、技術・家庭の4教科も、国語や数学とまったく同じ扱いで入ります。

ここが、秋からでも動かしやすい場所です。

主要5教科の評定は、テストの点数が大きく効きます。その点数を上げるには前の学年からの積み上げが要るので、どうしても時間がかかります。

一方、実技4教科の評定は、提出物、実技テスト、授業への取り組み方で決まる部分が大きくなります。作品の提出期限を守る、レポートを最後まで書く、実技の授業で手を抜かない。この積み重ねは、明日の授業から始められます。

実技4教科の評定が1つずつ上がれば、4教科それぞれ1つ分が2倍されて8点です。180点のうちの8点ですから、それだけで合否がひっくり返るとまでは言えません。ただ、合否が数点差で決まる年はあります。動かせる場所を残しておく理由にはなります。

当日の学力検査の比重は、思っているより高い

もう1つ、知っておいていただきたいことがあります。

調査書と学力検査の比率は、各高校が決めています。県内で一律ではありません。そして日田市の3校、日田高校、日田三隈高校、日田林工高校は、いずれも調査書3対学力検査7です。

当日の学力検査のほうが、2倍以上の重みを持っているということです。

学力検査は5教科で、それぞれ60点満点の合計300点です。調査書の180点より、こちらのほうが動かせる余地が大きいということになります。

では、その300点で何点を目指せばよいのか。次にその話をします。

当日の点数は、実際どのくらい取れているのか

「あと何点」を見積もるために、県が公表している数字を置いておきます。

大分県教育委員会の分析によると、この春の令和8年度入試における学力検査の合計平均点は147.3点でした。300点満点ですので、半分をやや下回るあたりが平均です。

過去5年の推移も出ています。令和7年度143.2点、令和6年度156.1点、令和5年度144.5点、令和4年度158.4点、令和3年度157.5点。この5年の平均は151.9点で、令和8年度はそれを下回りました。年によって10点以上動きます。

合計点の最高は292点、最低は11点でした。300点の中で、これだけの開きがあります。

そして、県の分析にはもう1つ重要な指摘があります。「令和7年度と比べて150点以上の層で人数の割合が増えている」という記述です。平均点は下がったのに、150点以上を取る層は厚くなっている。上位の層が固まってきていると読めます。

ここから何が言えるか。150点のあたりが、ちょうど分かれ目になりつつあるということです。平均が147.3点ですので、150点はおおむね真ん中です。お子さんがいまそこに届いていないなら、まずそこを目標に置いてください。

具体的に見積もってみます。いま5教科で120点なら、150点までは30点。1教科あたり6点です。この幅なら、残された時間で十分に狙えます。志望校が平均より上を求めるのであれば、必要な差はそこから逆算します。

教科別では、いちばん平均点が低かったのが理科の26.4点、いちばん高かったのが社会の32.3点で、差は5.9点でした。前の年は国語33.7点と理科26.5点で7.2点差ですから、教科間の差は縮まっています。理科は2年続けていちばん低い教科です。

推薦入試の話は、秋の面談で出しておく

見落とされやすい選択肢があります。推薦入学者選抜です。

大分県の公立高校には、一般の入試より前に行われる推薦入試があります。ここで内定をもらえれば、3月の学力検査を待たずに進路が決まります。

  • 日田地区の募集人員は次のとおりです。
  • 日田高校 普通科:30人
  • 日田三隈高校 総合学科:31人

日田林工高校:学科ごとに定められています(実施要項に記載)

日田高校の普通科は募集180人ですから、そのうち30人、およそ6分の1が推薦で決まります。

日程も早く進みます。いまの中学3年生が受ける令和9年度入試では、出願が1月18日から21日、検査日が1月28日と29日、合格の内定通知が2月1日です。一般入試の第一志願の出願が始まる2月4日より前に、結果が分かります。

推薦を受けるには、中学校長の推薦が要ります。そして推薦をもらえるかどうかは、日々の成績と生活の記録で決まります。ですから、秋の面談で「推薦の可能性はありますか」と一言聞いておいてください。可能性があるなら、そこから2学期の過ごし方が変わります。可能性が低いと言われた場合も、何が足りないのかを聞けば、そのまま評定を上げる材料になります。

面談の前に、家でやっておくこと

事前に親子で話しておくと、当日の面談の中身が変わります。その場で初めて志望校の話をすると、お子さんが黙り込んでしまい、大人だけが話す面談になります。

準備することは3つです。

  • 通知表の評定を9教科ぶん書き出し、合計を出しておく
  • 直近の実力テストの点数を、5教科それぞれ書き出しておく
  • 志望校について、お子さんの気持ちを先に聞いておく

3つ目が、いちばん大事です。なぜその高校に行きたいのか。制服が好き、部活が強い、友達が行く。理由は何でも構いません。ここが曖昧なままだと、「厳しい」と言われたときに気持ちが折れます。

逆に、理由がはっきりしていれば、下げるかどうかを本人が自分の言葉で考えられます。

面談で聞くべきこと

限られた時間ですので、優先順位を付けておきます。次の3つの順でお尋ねください。

1つ目。「あと何点あれば安全圏ですか」

「厳しい」という言葉のままでは、何をすればいいのか決まりません。数字で聞けば、やることが決まります。調査書の評定でいくつ、実力テストで何点、という形でお尋ねください。

2つ目。「評定を上げるために、いま足りていないものは何ですか」

提出物なのか、テストの点数なのか、授業中の様子なのか。教科によって違います。中学3年の評定が確定する12月末まで、ここは動かせます。

3つ目。「この高校の倍率は、例年どのくらいですか」

倍率は年によって変わりますので、単年ではなく数年分をお聞きになるとよいと思います。

倍率について、1つ注意点があります。1倍を下回っていても、合格が保証されるわけではありません。大分県では、定員に満たない場合に合格させるかどうかを各高校の校長が判断することになっています。実際に、定員内で不合格になった受験生が出ています。ですので、倍率が低いことを理由に対策を緩めないでください。

面談で伝えておくとよいこと

聞くだけでなく、こちらから伝えておくと話が具体的になります。保護者の方からお伝えいただきたいのは、次の3つです。

  • 塾や通信教材を使っているかどうか、家庭での学習時間
  • 併願をどう考えているか(私立を受けるかどうか、専願か併願か)
  • 家庭の事情で配慮が必要なことがあれば、その内容

とくに1つ目をお伝えください。先生は学校での様子しか見ていません。家でどれだけ勉強しているかが分かると、「あと何点必要か」という答えがより具体的になります。

親子で話が噛み合わないとき

面談の前後で、ご家庭の中で意見が割れることがあります。よくある形が3つあります。

1つ目。志望校の認識がずれている。

保護者の方が思っている志望校と、お子さんが考えている志望校が違う場合です。これは面談の場で初めて発覚することがあります。先に家で確かめておいてください。「どこ受けるつもり?」ではなく「いま第一志望はどこ?」と聞くほうが、答えが返ってきます。

2つ目。成績と志望校に差がある。

本人が現実的でない高校を挙げている場合です。ここで「無理でしょう」と言うと会話が終わります。代わりに「あと何点必要か、先生に聞いてみようか」と数字の話に移してください。数字が出れば、諦めるか頑張るかを本人が決められます。

3つ目。本人が本音を言わない。

「どこでもいい」「まだ考えてない」と返ってくる場合です。多くは、決められないのではなく、言ったあとに否定されるのが怖いという状態です。この場合、志望校の話をいったん脇に置いて、「どの教科なら上げられそう?」と手前の話から入ってください。

いずれの型でも、共通しているものがあります。先に数字を置くと、感情の話になりにくくなります。評定の合計、実力テストの点数、必要な点数との差。この3つが机の上にあると、親子で同じ方向を向いて話せます。

「厳しい」と言われた後、家でどう声をかけるか

面談の帰り道が、いちばん難しい時間です。

そこで励まそうとすると、多くの場合は空回りします。「まだ間に合うよ」と言われても、本人はそう思えていないからです。

帰り道は黙ったままで構いません。気まずくても、それは失敗ではありません。切り出す場所を家に移せば済みます。

そして家に着いてから、「先生の話、どう思った?」と聞いてみてください。責める質問ではなく、本人がどう受け取ったかを聞く質問です。

ここで「悔しい」という言葉が出てくれば、その高校を目指す気持ちはまだ残っています。「もういい」と言うようであれば、志望校が本人の希望ではなかった可能性があります。どちらなのかで、次にやることが変わります。

そもそも勉強に向かう気持ちが落ちている場合は、子どもが勉強に興味を持たない理由とその対処法もあわせてご覧ください。

志望校を下げる判断は、いつまでにすればよいか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

大分県の一般入学者選抜には、志願先を書く機会が複数あります。まず第一志願として1校を選んで出願します。そのうえで、定員に空きが出た高校について第二志願と第三志願の受付があり、第一志願で不合格だった場合にそちらで選考を受けられる仕組みです。第三志願は、いまの中学3年生が受ける令和9年度入試から始まります。

そして日程は、大分県教育委員会が次のように公表しています。

  • 第一志願の出願期間:2月4日から2月10日まで
  • 第一志願の志願変更期間:2月15日から2月18日まで
  • 第二志願・第三志願の実施校の発表:2月18日
  • 第二志願・第三志願の出願期間:2月22日から2月26日まで
  • 学力検査(第一志願):3月3日と3月4日
  • 合格者の発表:3月12日

つまり、志望校を決めるのは2月10日。そのうえで、2月15日から18日のあいだであれば変更もできます。9月や10月の面談は、決める場ではなく材料を集める場だとお考えください。

判断の材料がいちばん揃うのは、12月の三者面談です。この時点で中学3年の評定がほぼ見えており、実力テストの結果も積み上がっています。秋の面談で言われたことを受けて、12月までに何をどれだけ動かせたか。それを見てから決めるのが現実的です。

秋の面談から12月までは、2か月から3か月です。この期間の使い方が、そのまま2月の判断材料になります。

出願したあとでも、1度だけ変えられます

もう1つ、知っておいていただきたい仕組みがあります。志願変更です。

一度出願した志願先を、決められた期間内であれば変更できます。第一志願の出願が2月4日から10日、志願変更の期間が2月15日から18日です。

出願が締め切られると、各高校の志願状況が公表されます。そこで想定より倍率が高かった、低かったという情報を見てから、志願先を変えられます。ですから2月10日で終わりではなく、2月18日までは考える余地があります。

第二志願・第三志願は、検査より前に出します

ここが、この春と来春で大きく違うところです。

この春の令和8年度入試では、学力検査が3月10日、第一志願の合格発表が3月13日、その発表を見てから3月16日から17日に第二志願を出願する流れでした。落ちたことを知ってから次を決められました。

ところが令和9年度は、第二志願・第三志願の実施校の発表が2月18日、出願期間が2月22日から26日で、学力検査の3月3日より前です。

つまり、第一志願の結果を知らないまま、その次をどこにするか決めることになります。「落ちたから次を考える」という順番は使えません。

ですので、12月の面談までに、第一志願だけでなくその次の候補まで話し合っておいてください。ここを冬のうちに詰めておくと、2月に慌てずに済みます。

秋から入試までに、何ができるのか


具体例をお話しします。

先ほど触れた生徒は、当塾に中学3年の10月から通い始めました。学校の先生から「数学がこの成績だと、どこの高校にも行けないぞ」と言われて、ご家族と一緒に不安を抱えて来られた方です。中学1年の数学から分からない状態で、本人も何が分かっていて何が分かっていないのかを説明できませんでした。

そこから、難しいことには手を出さず、分かるところまで戻って積み直しました。10月から3月まで、およそ5か月です。結果として希望の高校に合格しました。詳しくは数学の点数が上がり、希望の高校に受かりましたに本人の言葉で載せています。

英語で止まっていた生徒の記録は、英語が苦手なT君との挑戦 〜音読指導の記録〜にあります。教科書の1文から始めて、長文が読めるようになるまでの過程を書きました。

特別な才能があったという話ではありません。どこで止まっているかを見つけて、そこから積み直しただけです。この作業は、秋からでもできます。

よくいただくご質問

Q. 面談には親だけで行ってもよいですか

三者面談ですので、お子さんも同席する形が基本です。本人が自分の口で志望校を言う場面には意味があります。

Q. 志望校を2つ言ってもよいのでしょうか

構いません。むしろ「第一志望はこちらだが、この高校も考えている」と伝えておくと、先生から両方の見立てをいただけます。大分県には第二志願・第三志願の仕組みがありますので、その組み方の相談にもつながります。

Q. 塾に通っていることは言わないほうがよいですか

お伝えください。学校の外でどれだけ勉強しているかは、先生から見えていない部分だからです。

Q. 推薦入試は先生から勧められるものですか

先生から話が出ることもありますが、こちらから聞いて構いません。日田高校の普通科であれば募集180人のうち30人が推薦枠です。可能性があるかどうかで2学期の過ごし方が変わりますので、秋の面談で確認しておいてください。

Q. 私立の併願はいつ決めるのですか
公立の出願より前に決めることになります。授業料への支援が広がって私立を選びやすくなった一方、入学金や施設費、制服代は残ります。そして私立の入学金は、公立の合格発表より前が納付期限になっていることがあります。金額と期限を、出願の前に確かめておいてください。

Q. 12月の面談まで、家では何をすればよいですか
まず、いま何点足りないのかを数字にしてください。そのうえで、5教科のうちどこで落としているかを答案から特定します。とくに理科は、令和8年度入試で5教科の中でいちばん平均点が低い教科でした。手をつければ差が付きやすいところです。

まとめ

三者面談で「今のままでは厳しい」と言われたとき、その言葉が指しているのは、いまの数字のまま入試を迎えた場合の話です。

大分県の入試では、調査書の180点のうち90点が中学3年の評定で、それは12月末日までの成績で決まります。実技4教科も5教科と同じ重さで入ります。そして日田市の3校はいずれも調査書3対学力検査7で、当日の学力検査のほうが重く見られます。秋の時点で動かせる部分は、まだ十分に残っています。

面談では、あと何点必要か、評定を上げるために何が足りないか、倍率は例年どのくらいかを聞いてください。そして志望校の最終判断は、第一志願の出願が2月10日まで、志願変更が2月18日までです。9月や10月に決める必要はありません。

いま必要なのは、お子さんがどこで止まっているのかを特定することです。学校のワークと実力テストの答案をお持ちいただければ、どの単元から手をつければ点が動くかを僕も一緒に考えます。残り時間で何点上げられそうかも、一緒に戦略を作りましょう。

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杉山健司(学習塾講師)

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