税収上振れ2.2兆円
雇用保険料引き下げ検討
厚生労働省が、景気の改善傾向を受け2016年度の雇用保険料を引き下げる検討に入りました。
現在の雇用情勢は改善傾向にあり、5月の失業率は3.3%と18年ぶりの低水準。人手不足感も高まっており有効求人倍率は1.19倍と約23年ぶりの高水準です。厚生労働省は雇用保険の積立金が6兆円程度あることも踏まえ、料率引き下げが可能と判断したようです。
失業手当に充てる保険料率は現行で収入の1%ですが、最大で0.2ポイント引き下げて0.8〜0.9%とする方向で調整する予定です。(雇用保険料には雇用安定や能力開発を目的とする部分0.35%もありますが、これは会社だけで負担です)
仮に料率を0.2ポイント下げ0.8%とした場合、年収400万円の社員の保険料負担は年4,000円減る計算となります。
厚生労働省は今後、労使の代表が参加する労働政策審議会で議論し、具体的な引き下げ幅を決め、引き下げに必要な法案は、2016年の通常国会に提出し、2016年度からの実施を目指すようです。実現すれば引き下げは4年ぶりになります。
一方、厚生労働省は雇用が悪化して失業給付が急増した場合には料率を上げるのは簡単ではないので、大幅な引き下げには慎重な立場のようです。
また、労働組合にも「積立金は失業手当の給付拡充にあてるべきだ」との主張があり、調整は難航する可能性もあります。
雇用保険の財源の一部になっている国庫負担の見直しも浮上する可能性があります。(過去に料率を引き下げたときは、国庫負担割合も同時に引き下げたことが多いです)
現状維持したい厚生労働省と国庫負担の軽減を求める財務省で綱引きになりそうです。
(平成27年6月27日 日経新聞より)