税収上振れ2.2兆円
介護保険改正
1.一定以上の所得のある利用者の自己負担は2割に
2015年8月から、年金収入280万円以上(合計所得 160万円以上)の人は自己負担が2割になります。(年金収入の場合→合計所得金額=年金収入額-公的年金等控除額)
大介護時代に突入すると、今の介護保険制度自体の持続性も危ぶまれます。そのため、現在は介護保険サービスを利用するには、年収などにかかわらず1割を利用者が負担していますが、改正後は一部の利用者の負担が増えることになりました。
厚生労働省は、在宅サービス利用者の約15%、特別養護老人ホームの入居者で約5%が2割負担になるとみています。
2.高額介護サービス費の上限も引き上げに
介護サービスは要介護度ごとに、1カ月の1割負担で利用できる上限額が決まっています。それを超えると払い戻される仕組みになっています。改正案では、この自己負担限度額が引き上げられる予定です。
第1段階 市民税世帯非課税で老齢福祉年金受給 上限額15000円
第2段階 市民税世帯非課税で、課税年金収入額と 上限額15000円
合計所得金額の合計が80万円以下
第3段階 市民税世帯非課税で、利用者負担第1段階 上限額24600円
第2段階以外
第4段階 利用者負担第1段階から第3段階以外 上限額37200円
(一般)
第4段階 利用者負担第1段階から第3段階以外で 上限額44400円
(現役並み所得) 課税所得145万円以上の第1号被保険者
がいる場合(2015年8月~)
※ただし、同じ世帯に複数の利用者がいる場合は、世帯全体の利用料で算定します。
※又、同じ世帯に第1段階または第2段階の利用者が複数いる場合は、世帯の上限額が24,600円になります。
3.低所得者向けは軽減措置を拡大
軽減の対象になる人は、世帯全員の市町村民税が非課税か、本人が非課税であることが前提です。
・生活保護被保護者、世帯全員が市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者等
・世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円以下等
2015年3月末までの保険料→基準額×50%
2015年4月以降の保険料→基準額×30%
・世帯全員が非課税かつ本人年金収入等80万円超120万円以下
2015年3月末までの保険料→基準額×75%
2015年4月以降の保険料→基準額×50%
・世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入120万円超等
2015年3月末までの保険料→基準額×75%
2015年4月以降の保険料→基準額×70%
※保険料基準額は市区町村により異なります。
4.特別養護老人ホーム等の補助の条件が厳しく
これまで、補足給付については、利用者本人の所得を基準にした段階を設け、その段階ごとに金額を設定してきまし た。ところが、「所得は少なくても資産が多い人がいる」「自分に所得がなくても、配偶者に余裕のある人がいる」などというケースもあります。そもそも、低所得者のサポートのために存在する給付なのに、裕福な人にも適用されるとなると、財源の危うさが取りざたされるこの現状には、ふさわしくありません。
そこで、これまでの本人の所得条件とは別に一定の基準を設け、補足給付の支給対象外となるケースを加えた、ということです。
(a)配偶者の有無とその所得(2015年8月利用分から)
たとえ世帯分離をしていても、在宅の配偶者が住民税の課税対象者であれば、補足給付の支給対象外になります。
(b)高額な資産(2015年8月利用分から)
単身なら1000万円以下、夫婦の場合は2000万円以下であることが、補足給付の支給対象となります。つまり、これ以上持っている人は「裕福」とみなされて、負担軽減はしてもらえない、ということです。
(c)遺族年金や生涯年金などの給付(2016年8月利用分から)
遺族年金や障害年金は、生活ができるような金額で支払われるので、非常に大きな額です。所得がありながらこれら年金を受け取っている人は、配偶者を亡くす、心身に障害を負うなど、ダメージは大きいものの、金銭的には恵まれているとみなされます。