民法改正(不動産賃貸契約)
国税不服申立制度の改正
平成26年の通常国会で、行政機関に対する不服申立ての手続き等について規定した基本法である行政不服審査法が改正され、その一環として、国税の更正処分等に対する不服申立て等に関して規定している国税通則法も一部改正されました。
●解決までの時間が短縮
従来は、国税に関する処分等に不満がある場合、原則として処分を行った税務署長等に対して異議申立てと呼ばれる手続きを行ってから、国税不服審判所という一定の独立性をもった組織に対して審査請求をするという二段階の手続きを踏む必要がありました(この後で初めて裁判所に出訴できます)。今回の改正法では、納税者の選択によって、初めから国税不服審判所に対する審査請求ができるようになりました。それとともに、異議申立ては「再調査の請求」と名称変更されます。
この改正により、問題となっている処分等の状況に応じて、再調査の請求と審査請求のいずれかの手続きが可能となるとともに、より迅速な解決ができることが期待されます。
●不服申立期間の延長
従来は、処分等があったことを知った日の翌日から起算して2カ月以内に不服申立てをしなければならないとされていましたが、3カ月に延長されました。これにより、十分に準備をして不服申立ての手続きを開始できるようになると考えられます。
●証拠物件の閲覧・謄写(コピー)範囲の拡充
従来は、処分庁側が提出した証拠については閲覧が可能でしたが、謄写は認められておらず、また、審判官が職権で収集した証拠についても閲覧・謄写はできませんでした。改正法により、審査請求人による閲覧・謄写と、審判官による職権収集証拠の閲覧・謄写が認められました。
●審査請求における口頭意見陳述参加者の範囲の拡張
従来は、審査請求人から口頭で意見を述べたい旨の申立てがあった場合、口頭意見陳述の機会が必ず与えられていましたが、口頭意見陳述の場にいるのは、国税不服審判所の審判官と審査請求人のみであるのが原則で、処分庁の職員の同席は基本的に想定されていませんでした。今回の改正では、処分庁の職員や、参加という手続きを経て審査請求に参加した者など、全ての審理関係人が招集されることとなりました。また併せて、処分庁に対して質問も認められるようになりました。