遺言の種類と自筆証書遺言①
学園前司法書士事務所の司法書士の上北です。
お読みいただいてありがとうございます。
自筆証書遺言のメリット・デメリット(長所・短所)について
まずは、メリットです。
(1)費用がかからない
ご自身で遺言を書きますので、筆記用具にかかる費用しかかかりません。
(2)いつでも好きなときに書ける
ご自身の自由に記載することができます。
(3)遺言の作成に証人などは不要。
公正証書遺言は証人2名の立会が必要ですが、自筆証書遺言の場合は必要ありません。
費用がかからず、いつでも書ける点がメリットといえます。
次に、デメリットです。
(1)遺言の効力について争いが起こる可能性が高まる
ご自身で作成され、誰の関与も必要がありませんので、遺言作成時の意思能力の有無等で相続発生
後に相続人間で争いになる可能性が高まります。また、同居の相続人の方がおられるケースでは、別
居の相続人の方から、同居の相続人が書かせたなどというトラブルに発展する可能性が高まります。
(2)偽造や変造の可能性が高まる。
遺言作成後の保管方法も自由です。保管場所によっては、偽造・変造の可能性は高まります。
(3)遺言書の存在が気づかれないおそれが高まる
逆に遺言書の存在が発見されない可能性も高まります。
(4)家庭裁判所の遺言書の検認手続が必要になる
自筆証書遺言の場合、相続開始後、家庭裁判所において、相続人全員を呼び出したうえ、遺言を開封
するという検認の手続きが必要です。この検認という手続きは、遺言の有効・無効を判断するのでは
なく、遺言が存在することを確認する手続きです。相続人の方が手続きをしなければなりません。検
認の手続きによってトラブルになる場合もあります。なお、公正証書遺言の場合は、検認手続きは不
要です。
(5)銀行預金・証券口座の解約・名義変更に
別途相続人全員の同意書・印鑑証明書が必要になる可能性が高まる
遺言があっても相続人全員の書類・印鑑証明書が必要になる可能性が高まり、相続開始後の手続き
に時間を要す、または一部の相続人の協力が得られず、手続きが停滞するということになる可能性が
あります。
上記のデメリットは、公正証書遺言にすることにより、かなり軽減することが可能になります。
次回は公正証書遺言の作成方法や要式です。
相続・遺言のご相談は学園前司法書士事務所までお気軽にご相談下さい。