長崎で旅館業を始めるには?旅館・ホテル、簡易宿所、下宿の違い

李泳勲

李泳勲

テーマ:許可・申請


近年長崎では、宿泊施設の不足により、新たに宿泊施設を立ち上げたいとの相談が増えています。長崎県内で宿泊施設(ホテルや民泊、ゲストハウス、下宿など)を営業するには、旅館業法に基づく許可を受ける必要があります。ひとくちに旅館業といっても「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つの営業形態があり、それぞれ施設の基準や向いている事業スタイルが異なります。今回は、それぞれの違いと、長崎県内で許可を取得するための手続きについて解説します。

旅館業法に基づく3つの営業形態

旅館業法上の営業は、次の3つに区分されています。

旅館・ホテル営業

客室ごとに独立した宿泊サービスを提供する、一般的なホテル・旅館の形態です。現在は客室数の下限がなく1室からでも許可を受けられますが、各客室の床面積は原則9平方メートル以上、フロント(玄関帳場)の設置が必要とされています。営業期間の制限はなく、通年での営業が可能です。

簡易宿所営業

ゲストハウスやカプセルホテル、ドミトリー型の宿泊施設のように、多数人で共用する構造の施設を対象とする形態です。延べ床面積33平方メートル以上(宿泊定員10人未満の場合は1人あたり3.3平方メートル以上)が目安とされ、フロント(玄関帳場)の設置義務が自治体の条例で緩和されているケースも多く、比較的小規模な物件でも開業しやすいのが特徴です。

下宿営業

1か月以上の期間を単位として宿泊させる営業形態で、学生寮や社員寮に近い性格を持ちます。短期の観光客向け宿泊には向かず、長期滞在者向けの施設を想定した形態です。

民泊(住宅宿泊事業)との違い

「民泊」として広く知られているのは、旅館業法とは別の「住宅宿泊事業法」に基づく仕組みです。両者は根拠となる法律も手続きも異なります。

  • 旅館業法:知事等の営業許可が必要(許可制)。営業日数の制限はなく、通年営業が可能
  • 住宅宿泊事業法(民泊):知事への届出のみで営業可能(届出制)。ただし年間の宿泊提供日数は180日以内に制限される

対象となる建物にも違いがあります。旅館業法は宿泊営業用に設計された施設を前提とするのに対し、住宅宿泊事業法は「現に人の生活の本拠として使用されている住宅」等が対象です。また、旅館業は原則として住居専用地域での営業ができませんが、住宅宿泊事業は用途地域にかかわらず営業できるのが原則です(長崎県では、本記事作成時点で営業区域や日数を制限する独自条例は設けられていません)。
手続きのハードルは民泊の方が低い一方、年間180日という営業日数の上限があるため、通年でしっかりと稼働させたい場合は、旅館業(特に簡易宿所営業)の許可を選ぶ事業者様も多くいらっしゃいます。物件の立地や運営方針に応じて、どちらの制度が適しているかを見極めることが大切です。

長崎県内での申請窓口

旅館業の許可申請窓口は、施設の所在地によって異なります。

  • 長崎市・佐世保市内:各市の生活衛生担当課(長崎市は「市民健康部生活衛生課」)
  • その他の地域:施設所在地を管轄する県の保健所(県北・県央・県南・五島・上五島・壱岐・対馬など)

長崎市・佐世保市は中核市として独自に保健所業務を行っているため、それ以外の地域とは提出先が異なります。着工前に、必ず管轄窓口への事前相談を行いましょう。

許可申請に必要な主な書類

旅館業の許可申請には、主に次のような書類が必要です。

  • 旅館業許可申請書
  • 営業施設の構造設備を記載した図面
  • 法人の場合は定款または登記事項証明書
  • 施設付近100メートル以内の見取り図
  • 消防法令適合通知書の写し
  • 建築確認検査済証の写し
  • 井戸水等を使用する場合は水質検査結果

施設が学校等の周囲一定範囲内にある場合は、別途「意見聴取」の手続きが必要になることもあります。建築基準法・消防法の基準適合も求められるため、工事着手前の早い段階で関係機関に相談しておくことが重要です。

事前調査の重要性

旅館業法に基づく営業を行うためには、様々な制約があります。中には、既存建物では対応できないものもあり、下記の場合は特に注意が必要です。

・所在地の用途地域の種別
・客室の排煙基準
・消防法上の避難経路の確保 など

これらの基準に適合しない場合は、そもそも営業できませんので、必ず事前に法令適合有無は調査する必要があります。

手続きの流れ

  1. 事前調査(旅館業を営むことができるかを調査)
  2. 行政機関との相談(図面等を持参し、担当窓口に相談)
  3. 許可申請書・添付書類の提出
  4. 施設調査(工事完了後に実施)
  5. 許可証の交付
  6. 営業開始(許可証を施設内の見やすい場所に掲示)

新規許可申請の手数料は自治体により異なりますが、長崎市の場合は22,000円(承継承認申請は7,400円)が目安です。
※令和8年9月現在

リーガルナビにご依頼いただくメリット

旅館業の許可申請は、営業形態ごとに異なる構造設備基準の確認や、消防・建築関係機関との調整など、専門知識が求められる手続きです。リーガルナビにご依頼いただくことで、次のようなメリットがあります。

  • 事業内容に合った営業形態(旅館・ホテル営業/簡易宿所営業/下宿営業)の選定をサポート
  • 図面作成や必要書類の収集から申請書作成までを一括して代行
  • 消防法令適合通知書の取得など、関係機関との調整も含めて対応
  • 意見聴取が必要なケースなど、個別の事情に応じた手続きもサポート

長崎で旅館業を始めたいとお考えの際は、リーガルナビ行政書士法人までお気軽にご相談ください。

報酬額の目安

当社の報酬額の目安は以下の通りです。

  • 相談料:5,000円
  • 事前調査:30,000円〜
  • 営業の許可申請:150,000円〜
  • 平図面作成:50,000円〜

※表示は税別。実費(書類取得代等)が別途発生する場合があります。

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